自宅のテレビをスマートテレビ化する手段として、ストリーミングデバイス(スマートTVアダプター)の人気が高まっています。代表的な製品は、Appleの Apple TV 4K、Amazonの Fire TV Stick 4K、そしてGoogleが2024年に発売した最新モデル Google TV Streamer(4K) の3機種です。これらはいずれもテレビのHDMI端子に接続し、ネット動画や音楽配信サービスを大画面で楽しめる便利なデバイスです。各社のエコシステムには特徴があり、対応するサービスや機能にも違いがあります。この記事では自分の目的に合ったスマートTVアダプターを選ぶための比較ポイントを用途別に整理します。
スマートTV するならどれを選べばいい?
3メーカーのスマートTVアダプター概要
初めに、3製品の特徴を簡単におさらいしましょう。
Apple TV 4K(第3世代)
Apple TV 4K(第3世代・2022年発売)はApple製のセットトップボックス型デバイスで、処理性能が高くインターフェースも洗練されています。Wi‑Fi 6対応に加え一部モデルにはギガビット対応の有線LANポートも搭載され、スムーズで安定したストリーミングが可能です。
Fire TV Stick 4Kシリーズ(写真はMAX)
Fire TV Stick 4K(Amazon製、最新モデルは2023年発売)はスティック型で手頃な価格が魅力。Amazonのサービスと親和性が高く、音声アシスタントはAlexaを搭載。最新Fire TV Stick 4KシリーズはWi-Fi 6にも対応し(※有線LAN接続は別売アダプタで対応)、コストパフォーマンスに優れています。
Google TV Streamer
一方、Google TV Streamer(4K)は2024年発売のGoogle製ストリーミングデバイスで、従来の「Chromecast with Google TV(4K)」の後継機です。コンパクトなボックス型筐体に刷新され、メモリ4GB・ストレージ32GBへ大幅強化(旧モデルはメモリ2GB・ストレージ8GB)されました。また初めて本体に有線LANポートを内蔵し、Wi-Fi接続だけでなく有線接続による安定動作も可能になっています。
自宅のレコーダーに録画した地デジ番組をテレビで視聴したい場合、対応アプリの有無がポイントです。結論から言うとこの用途に適しているのはFire TV Stick 4KとGoogle TV Streamer(4K)でしょう。デジオン社の有料アプリ「DiXiM Play Fire TV版」を使うことで、nasneや対応レコーダー内の録画番組やテレビ番組を再生できます。
ただし、Google PlayストアからDiXiMを見つけようとすると、なぜか検索しても出てこず、スマホのGoogle Playストア経由でGoogle TV Streamer(4K)にインストールしたら使用できました。一方、Apple TV 4KはDTCP-IP対応のDLNAプレーヤーが存在せず、録画番組の直接視聴はできません(コピーガードのない動画ファイルであればVLC等の再生アプリで視聴可能)。
国内動画配信サービス(TVerなど)の視聴
日本のテレビ番組見逃し配信「TVer(ティーバー)」やローカル動画サービスを楽しみたいなら、Fire TV Stick 4KかGoogle TV Streamerが適しています。公式のTVerテレビアプリをインストールして大画面視聴が可能です。
2019年にTVerアプリが正式リリースされた際から対応端末は「Android TV搭載テレビ(ソニーBRAVIA)」と「Amazon Fire TV」のみで、Apple TV向けには提供されていません。2025年現在でもApple TV用TVerアプリは存在せず、Apple TVでTVerを観るにはiPhone/iPad側で再生してAirPlayで映す必要があります。
このように国内サービス対応状況ではApple TVは弱く、たとえばABEMAやU-NEXTなど一部アプリも他プラットフォームに比べ提供が遅れる傾向があります。その点、Fire TVとGoogle TV (Android)は主要な日本向け配信アプリを網羅しており安心です。地上波番組の見逃し視聴や地方のテレビ番組を重視するならApple製より国内勢に強いAmazonかGoogle製デバイスを選ぶのが無難でしょう。
音楽・ミュージックビデオの大画面鑑賞
Apple MusicやSpotify、YouTubeなど音楽系サービスをTVで楽しむなら、まず使っている音楽サービスとの相性をチェックしましょう。
例えばAppleの「Apple Music」サブスクリプションを利用中ならApple TV 4K一択です。Apple TVにはApple Musicの公式アプリがプリインストールされており、高音質の楽曲や豊富なミュージックビデオをリモコン操作で楽しめます。
一方、SpotifyやYouTubeであれば3機種とも公式アプリに対応しています。Fire TV StickにはSpotifyアプリが用意されており無料プランでも利用可能ですし、Apple TV・Google TV(Android)向けにも専用アプリがあります。特にYouTube視聴については、Google TV Streamerではホーム画面からおすすめ動画を表示できるなど連携がスムーズです。
またFire TVやGoogle TVのリモコンにはYouTubeやプライムビデオなどのアプリボタンを搭載するモデルもあります。総じて、アップルのサービス(Apple MusicやiTunesライブラリ)重視ならApple TV、有料会員ではなく主に無料の音楽動画(YouTube等)中心なら価格の安いFire TV StickやGoogle TVでも十分と言えるでしょう。なおApple TVでももちろんYouTube再生は可能で、YouTubeアプリやVevo等でミュージックビデオを楽しめます。
ここではGoogleとAppleが有利です。最新のGoogle TV Streamer(4K)は本体にギガビット対応のLANポートを標準搭載し、ルーターへ直接接続して途切れのない再生が可能です。Apple TV 4Kもストレージ128GBの上位モデルならギガビットLANポート付きで、同様に安定した有線接続が利用できます(※64GBの下位モデルにはポートがありません)。
Fire TV Stick 4KシリーズはLAN端子がない
Fire TV Stick 4Kシリーズは本体にLAN端子がありませんが、「Amazonイーサネットアダプタ」という別売機器で有線化が可能です。ただしFire TV用のLANアダプタは100Mbps上限(Fast Ethernet)のため、超高速回線環境では無線のWi-Fi 5GHzと実効速度が大きく変わらないケースもあります。次にWi-Fi性能ですが、Apple TV 4K(第3世代)と最新Fire TV Stick 4Kは Wi‑Fi 6(802.11ax)に対応し高速です。
Google TV Streamerは規格上Wi-Fi 5(802.11ac)止まりですが、使用感ではアンテナ感度が良いのか旧ChromecastやFire Stickより安定していました(さらに有線LANでカバー可能)。実際、同じ部屋の同じ場所でFire TV Stick 4K使用時にDLNA再生が途切れがちだったのが、Google TV Streamerに置き換えたところ速度・応答性とも大幅に向上しました。
録画番組視聴が主目的ならGoogle TV StreamerかFire TV Stick 4K、Appleのサービスや製品との連携を重視するならApple TV 4K、最新スペックやAndroidスマホとの連携を求めるならGoogle TV Streamer(4K)という具合です。価格帯もFire TV Stickが最も手頃で、Google新モデルとApple TVはやや高価ですが高性能を備えています。それぞれの違いを正しく理解して、お持ちの機器や見たいコンテンツに合った最適なスマートテレビアダプターを選び、充実したホームエンタメ環境を整えてください。
【参考文献】
・Google TV Streamer (4K)
https://store.google.com/product/google_tv_streamer?hl=en-US
・全新 Google TV Streamer (4K) 正式在台灣推出
https://blog.google/intl/zh-tw/products/devices-services/google-tv-streamer-4k/