従来のドアホンと何が違う? Amazonの「Ring Video Doorbell 4」が大本命と言える理由

レビュー

2022/06/04 17:00

【木村ヒデノリのTech Magic #113】 ようやく日本にもこの流れが来てくれた。「Video Doorbell 4」はこの分野で実績のあるRing社の製品。2018年にAmazon傘下に入ったことも話題を呼んだ。国内では長らくアイホンとパナソニックの2強状態だったが、ついに黒船が来たといった様相だ。Amazonに先立つ形で2021年8月にGoogleが「Nest Doorbell」を投入。筆者はすぐに試したものの定着しなかった経緯がある。今回はどうしてNest Doorbellが定着しなかったのかも踏まえて、Video Doorbell 4のメリット・デメリットを解説していきたい。

カバーを変えることで玄関の雰囲気に合わせられる
「Video Doorbell 4」(2万3980円、盗難保証付き)
 
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「レスポンスが良い!使える!」が最初の印象

 とにかくファーストインプレッションが良かったのがVideo Doorbell 4だ。2018年からパナソニックの外でもドアホンを使っていた筆者だが、アプリのUIや起動までの遅さ、通話の不安定さにものすごく不便を強いられていた。早く代替製品が出ないかと待ちに待って3年越しで購入したのがGoogleのNest Doorbellだったがこれも却下。ボタンが押されてから応答までの遅延が気になったのだ。
 
筆者のユースケースには合わなかったNest Doorbell。
とはいえ、Googleのエコシステムでスマート化している家にはこちらの方が向いているだろう

 こうした経験からVideo Doorbell 4にもあまり期待していなかったがとりあえず試してみようと購入。すると驚くことにかなりスムーズなレスポンスだったのだ。スペックや開発力にそこまでの差はないと思うのだが、差ははっきりとある。もちろん外でもドアホンのような有線接続の従来製品と比べると見劣りする。しかし、自宅で応答する以外の選択肢を兼ね備えていてこのレスポンスなのは総合点で見れば優秀だ。
 
筆者がこれまで使っていた外でもドアホン。
フラッグシップモデルは当時5万円以上と高額だった

 さらにこのアクセサリーの存在が決定打になった。Chime Proと呼ばれるスピーカーと中継機が一体となったデバイスは、室内用のチャイムとして機能するほか、常夜灯やWi-Fiネットワークの拡張用としても使えるのだ。Google Nest DoorbellにはこうしたオプションがないのでNest Hubが無い場合はアプリで応答するしかない。

 スマホで出られるのは便利ではあるが、通知音が非常に聞こえづらい。室内であればどこかに置いてある場合も多いだろう。一方でChime Proがあればスマホが手元になくてもこれまで通り「ピンポーン」と呼び鈴が鳴ってくれる。この選択肢の有無は日常使いする上でとても重要だった。

ドアホンの日本市場は完全にガラパゴスだった

 これまで選択肢がなかったので不便さから目を背けていたが、Video Doorbell 4を使ってみてわかるのは国産ドアホンの合理性の無さだ。これまでの慣習を踏襲するがゆえにあらぬ方向へ進化しており、便利とは言い難い。それでも売れていたのは選択肢がなかったからだ。
 
独自の進化を遂げる国産ドアホン。
設置のハードルが高そうというのが一般的な印象だ

 例えば、設置に必ず工事が必要(一部商品は工事不要だがラインアップの中ではあくまでライトユーザー向けになっており機能が十分ではない)で、拡張性も皆無。一方でVideo Doorbell 4はドライバー1本で交換することができ、電源もバッテリー駆動だ。

 考えてみればそこまで電力を使うわけでは無いので現在ならバッテリ運用でも十分。実際筆者のケースではバッテリ1本で1ヶ月ほど動いたので、2本を交互に使うことで十分間に合っている。最後の砦のように残っていた国内ドアホンの市場だが、今後こうしたスマートドアベルで置き換えられることは明白。MD(ミニディスク)のような運命を辿るのは時間の問題だろう。
 
Video Doorbell 4には角度調節台や取り付け部品も付属。
ドライバー1本で既存のドアホンと交換できる手軽さだ

Amazonエコシステムとの親和性が快適、デスクから応答できる利点

 さらにVideo Doorbell 4はAmazonのスマートスピーカー「Echo」シリーズとも連携できるのが便利だ。元々別会社だったからか、あえてそうしているのかはわからないが、一般的なデバイスと同じくスキルをインストールして初期設定しないと使えないのはやや不便。しかし一度設定してしまえば任意のエコーにアラートが表示され応答できるようになる。ベッドの脇やデスク上にEcho showシリーズを置いている人は多いと思うので、ここで玄関の応答ができるようになるのは大きなメリットと言える。
 
専用端末を買い増さなくてもAmazonエコシステムを使っていればいろいろな場所で応答できるようになる。
ベッドからインターホンに応答できるのは便利だ

 また、キッチンにEcho Show 10、リビングにEcho Show 15を増設すれば家中どこからでも応答でき、かつスマート化も進められる。筆者の場合はリビングにEcho Show 15を増設し、普段はデスク上のEcho Show 5で応答しているが、いずれのデバイスにも来客がスムーズに表示されるので誰が来たのかわかってとても便利に使えている。
 
キッチンに回転式のEcho Show 10を設置すれば料理中でも応答がスムーズ
 
筆者宅では元々ドアホンがあった場所に
Echo Show 15を設置しているので電源コードの露出もない。
フレームカラーはブラックしか無いので、DIYで白にカスタマイズしている
(※電源の変換には有資格者による工事が必要)

防犯用途の機能も充実、しかし課題もちらほら

 防犯用途においてもVideo Doorbell 4は優秀だ。人が通ったのを感知して自動で録画、通知してくれるので置き配を使っている場合なども安心できる。筆者のように小さい子供がいる場合は不審者がいないかなども気になるだろう。プライバシーやモーション検知ゾーンも設定可能なので隣家に配慮しながら適切な防犯性能に設定できるのが良い。

 ただ完璧かというと気になる点もある。ケースバイケースだが、筆者の環境では接続が不安定になることがあった。多くの場合再起動すれば遅延なくつながるように戻ったが、この辺りの安定性はもう少し上げてほしい。また、カラーは変えられるもののデザイン性という意味ではNest Doorbellに負けている感もあるので新製品には期待したい。
 
今後登場するであろうRing製品の数々、拡張性を考えると2022年現在、
自宅のスマート化Amazonエコシステムを選択するのが良いかもしれない

 ドアホンの交換となると多くの読者はとても面倒に感じるかもしれない。しかしVideo Doorbell 4は非常に簡単に交換でき、今後の拡張性もある。重い腰を上げて交換するだけの価値は十分にあると断言しておく。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)