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GoToトラベルやアウトドアのお供に必携! コスパ優秀な万能レンズ「RF85mm F2 MACRO IS STM」の魅力

 【木村ヒデノリのTech Magic #031】 デジタルカメラ市場でミラーレス一眼が主流になり、ユニークな交換レンズが多く登場している。ニコンのZマウント、ソニーのEマウント、キャノンのRFマウントはそれぞれミラーレス用の新しいマウントであり、以前より小型で高性能なレンズ開発を可能にした。

なかでも、キヤノンのRFレンズのアプローチは面白い。これまで高価格帯だったLレンズだけでなく、安価なラインアップも魅力を感じられる仕上がりになっている。特に今回紹介する「RF85mm F2 MACRO IS STM(以下、RF85mm F2)」は500gと軽量なのにF2とかなり明るい。またその名の通り、最大撮影倍率0.5倍のマクロ撮影も可能。さらにマクロ撮影に便利なレンズ内手ぶれ補正が単体で5段分効くなど、コストパフォーマンスが非常に高い仕上がりだ。

 ロードマップは明らかにオリンピック需要を意識したものではあるが、シネマカメラとして名高いREDの最新機種「KOMODO」にもRFマウントが採用されるなど、昨今動画撮影においてもRFレンズの期待が高まっている。今回はあえて「動画」という切り口でレビューしていこうと思う。
 
ミラーレス市場ではユニークな交換レンズが多く登場。
今回紹介するのはコンパクトでコスパも優秀な「RF85mm F2 MACRO IS STM」
 
ボディとレンズを合わせても1000g(ボディはEOS R5)

 RFレンズは「EOS R5」などと組み合わせることで手ぶれの強調補正が可能になるのが特徴の一つだ。RF85mm F2の手ぶれ補正はR5と組み合わせると8段分とかなり強力になる。手持ちでの長時間露光も1秒程度までは問題なく撮れるなど、スチルの幅を広げてくれたが、これは動画でも同じことが言える。

 例えば、屋外での撮影だとスライダーなどを用いて動きのある動画を撮ろうとするとセッティングにかなりの時間を要する。ジンバルなどでブレを補正することも可能だが、機材のボリュームが増え、長時間の撮影は大変だ。

 しかし、RFレンズの手ぶれ補正を活用すれば、手持ちでもパンやチルトなどは三脚を使ったかのような映像になる。カメラ用ケージやトップハンドルも付ければ、ドリー的な動きも問題ないだろう。さらに短時間ではあるものの、内部記録でRAW動画も撮影できる(EOS R5)ので、旅の風景や車窓、料理などを高画質で収録したい動画クリエーターにとっては大きなメリットがある。

 昨今、Vlogを撮る方も増えているが、自撮り中心のVlogにはソニーの「α7C」などのフルサイズコンパクトカメラとシグマ16mm F1.4などを組み合わせるのがいいだろう。ただ、前述したような風景から料理まで、自分は登場しないものの幅広いシチュエーションで高画質に撮りたい場合にはキヤノンのカメラとRFレンズという組み合わせが有利だ。そして、こうした幅広いシチュエーションを少ない本数のレンズでカバーできるのが、RFレンズの二つめの魅力である。
 
コンパクトさと高画質のバランスを追求するのであればソニーのα7Cがベスト

 国内や行き慣れた場所など、ある程度撮りたいものが想像できる場合はともかく、どんな状況に出くわすかわからない海外などでは、携行するレンズの本数がどうしても多くなってしまう。これがRFレンズならかなり減らせる。あくまで「できる限り高画質で撮りたい」という前提付きだが、筆者はRF85mm F2の登場でキャノンなら3本のレンズで事足りるようになった。
 
フォーカス幅が長く時間がかかる問題は切替スイッチで対応

 3本のうち2本はズームレンズだ。今までズームレンズといえば単焦点に劣るという印象があったが、RFシリーズのズームレンズは単焦点に引けを取らないクオリティだ。1本目はRF15-35mm F2.8Lで従来広角側が16mmだったのが15mmと1mm短くなっており、風景の撮影などで威力を発揮する。2本目はRF28-70mm F2Lで、ズームレンズでありながらF2通しという他に類を見ないスペックを誇る。街中ではこちらの汎用性が高く、ボケ味も綺麗だ。ここに今回のRF85mm F2を加えることで、全てのシチュエーションに対応しながらさまざまな種類のクリップ(寄り、引き、広角、望遠など)を撮影する装備が完成するわけだ。
 
旅行で8K Vlogを撮る際も3本でレンズは完結

 筆者の京都撮影を例に挙げると、寺院や観光スポットなど、景色を楽しむシチュエーションが多そうな場合はRF15-35mm F2.8Lを、街中や食事をする際はRF28-70mm F2Lを付けている。場所が変わらない限りレンズの交換はせず、ズーム機能を使ってバリエーションを作っていく。

 一方、RF85mm F2は工芸品や食事など、小さいものを見つけて寄りたい時にすぐ取り出せるようにポケットへ入れておく。こうすることで、最小限のレンズ交換で庭や寺院の外観から小さな工芸品まで余すところなく撮影できるわけだ。この中でRF85mm F2は他の2本で撮れないものが撮れるのが最大の魅力。画のバリエーションという意味でも有効だし、500gという重量は3本目にもってこいだ。
 
R5の動物瞳フォーカスと組み合わせれば、適度な距離からかなりアップで動物も撮れる
 
左から35mm、85mm、70mm (28-70mmの望遠側)。
被写体までの距離はそれぞれ80mm、200mm、170mmとなっている。
35mmと85mmは同じ0.5倍だが85mmは距離が取れて撮りやすいのがわかる。
70mmは85mmより距離は寄れるものの、マクロ機能がないので被写体は小さくなってしまう

 デメリットを少し挙げるとするなら、まずはUSM(超音波モーター)ではなくSTM(ステッピングモーター)という部分だろうか。コンティニュアスフォーカスにして動画を撮るとどうしても「ジー、ジー」と音がする。マイクが近くにある場合は気になるかもしれない。もう1点はインナーフォーカスでないこと。フォーカスを合わせる際に鏡筒が伸びるので、レンズに固定するタイプのマットボックスなどは強度の問題で装着できない可能性がある。最後は逆光にやや弱い部分だ。状況によってフレアやゴーストが出やすいので、レンズフード(別売)はマストで購入した方がいい。
 
MAXで3cmほどだが、フォーカスの際に長さが伸びるのは少し気になる

 繰り返しになるが、動画用装備としてはRF85mm F2が出たことで完成形が見えた。軽さを求めればキリがないが、撮れる動画のクオリティと機材の重さのバランスはかなり良いと思う。筆者は同じ機能性で長さが短いRF35mm F1.8も所有しているが、マクロ撮影でかなり寄らなければいけないので、動画という想定だと撮りづらい。

 一方、RF85mm F2ならある程度離れた場所、例えばショーケースの外側(もちろん許可を得てだが…)からマクロ撮影するなど柔軟なので、断然こちらをおすすめする。最大撮影倍率はどちらも0.5倍で、価格も同じくらいなので、小さいレンズが欲しい方は12月発売のRF50mm F1.8を待つのがよいのではないだろうか。レンズ沼にどっぷり浸かってきた筆者だが、一旦これで動画装備は完成としたい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)

■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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