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挽き方でコーヒーの美味しさは変わるのか!? 4万円の最高級グラインダー「COMANDANTE C40」

レビュー

2020/07/07 18:35

【木村ヒデノリのTech Magic #011】 豆にはじまり、淹れ方、器具にまでこだわりたくなるのがコーヒー愛好家の性だろう。「COMANDANTE C40」はそんな玄人も満足させてくれるハンドグラインダーだ。ナイトロブレードという鋭い刃を備えた構造でコーヒーの雑味となる微粉を最低限に抑え、クリアな味を実現してくれるので以前の記事で紹介した浸漬式の抽出法にも適している。

 とはいえ、COMANDANTE C40は税込価格で3万9980円とハンドグラインダーの中では群を抜く価格で、購入には一考の余地がある。今回はハイエンド製品で挽くことがコーヒーの味に及ぼす影響がどれほどか検証してみたい。
 
「COMANDANTE C40」は税込で約4万円と値が張る。
果たしてその価値はあるのか検証してみた

センスを感じるシンプルなパッケージング

 パッケージは至ってシンプルだ。本体、ハンドル、そして2つのガラスジャーが二つ付属している。透明なタイプは挽き目が一眼でわかり、遮光タイプは挽く前の豆を入れてアウトドアなどに持っていくのに適している。
 
パッケージ側面には“GOOD CHOICE!”と記載されているなど、各所にユーモアが溢れている

 ガラスジャーは別途、各色4個セットでも購入でき、挽く前の豆を保存しておくこともできる。ハンドルも色やサイズ違いで販売されており、自分好みにカスタマイズできるのがうれしい。専用ブラシも、手入れして長く使いたいと思わせてくれる一品だ。
 
各種オプション品もユーザーの所有欲を満足させてくれる

豆を「切る」という発想から生まれた特殊ブレード

 分解してみると一般的な陶器のものと形状は同じものの、かなり鋭いブレードになっていることが見て取れた。今までいくつかのハンドグラインダーを使ってみたが、本体が小さいと挽く際に支えるのが大変だった。

 しかし。COMANDANTE C40は驚くほど軽く回せ、挽き終わるまでの時間も短い。刃の鋭さが粉の均一性だけでなくこうした利便性にも貢献しているのは明らかだ。挽くのではなく”切る”ために開発されたこのナイトロブレードは、なんとコーヒーだけでなく紅茶の香りも最大限に引き出せるというから驚きである。
 
「分解清掃の際は要注意!」とマニュアルに記載があるほどの鋭さ

 クリック機構によりダイヤルをどのくらい回したかわかるため、エスプレッソ用(極細挽き~細挽き)は5~15クリック、ハンドドリップ用(中挽き)は15~35クリック、フレンチプレス(浸漬法)用(粗挽き)は33~52クリックと挽き目の調整も正確に行うことができる。
 
カチッカチッと何クリック回したかわかる秀逸な機構

味の違いは本当に出るのか検証

 機構が優秀なのはわかったが、果たして本当に味に違いが出るのか。愛用しているoceanrichの電動コーヒーミル「G1」と比較してみた。G1は挽き目をダイヤルで設定することができ、アウトドアでも使える充電式なので気に入っている。
 
左がCOMANDANTE C40、右がOceanrich G1。
COMANDANTE C40は1回で最大40gまで挽ける

 ハンドドリップでは淹れ方で差が出てしまうので、浸漬式で比較してみた。豆の量は10g、同じ種類のものを使い、抽出時間は3分30秒、蒸らし時間40秒で抽出した。これまでG1で挽いた豆には問題を感じることはなかったが、実際に淹れてみて驚いた。明らかに味が違う。同じ量、同じ淹れ方で、だ。
 
COMANDANTE C40の豆を淹れたものの方が濁りが少ない(左:C40 右:G1)

 まず、引いた豆を比べてみると、COMANDANTE C40は細かいながらも粒立っており、均一に挽けているのがわかる。それに対してG1は粒立っている部分もある一方で、かなり細かく砕けてしまっているものもある。深く焙煎すると微粉が多くなってしまうのは仕方ないことだが、今回は全く同じ焙煎の豆を使っているので、ここまでの違いが出るとは正直予想していなかった。
 
COMANDANTE C40で挽いたものの方が粒立って均一に挽けている
(左:C40 右:G1)

 淹れたコーヒーの色を見ても明らかだが、COMANDANTE C40で挽いた豆で淹れたものの方が透き通っている。味も、G1のものは一口目に苦味が強く感じられるのに対して、C40で挽いたものは上質なお茶のように苦味と酸味、後味の甘味が渾然一体となった印象。全く別物だった。

 レビューしてみようと思い立った時点では、正直、ここまでの違いが出ると思っていなかったので非常に驚いた。試しに普段あまりコーヒーを飲まない妻にも試してもらったが、ブラインドではっきりと美味しい方を認識できていた。おそらく誰にでもわかるレベルで違いが出ていると思っていただいていいだろう。

 購入するまでは半信半疑でいたが、世界のバリスタ大会でも使われるレベルのグラインダーは伊達ではなかった。抽出する粒の均一性がここまで味に影響を与えるというのは、あまり知られていないのではないだろうか。おいそれと手を出しづらい価格帯であるのも一因ではあるが、コーヒー愛好家なら試してみる価値は十分にあると感じた。

 業務用グラインダーなら同様の性能を持つものもあるだろうが、個人が所有するには必要なスペースも価格も現実的ではない。その点C40は収納場所もコンパクトで、かつ、業務用に匹敵する均一な挽豆を提供してくれる。従来のハンドグラインダーのように多くの豆を挽く際に時間がかかることもない。味にこれだけの差が出るのであればコーヒー系の機材の中で真っ先に購入するのをおすすめするほどの良機だった。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
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