【木村ヒデノリのTech Magic #010】 家事の中でも料理はかなりの比重を占めるタスクだ。そんな料理の“自動化”に注目した製品が、近年各社からリリースされている。ソニーのコンセプトムービーに登場したような、ロボットアームを使う製品はまだ先の話かもしれないが、煮る・焼くなど特定の調理方法の自動化はかなり現実的なものになっている。調理方法ごとに家電を組み合わせることで味も抜群な時短料理が可能になるので今回はそれを紹介したい。

AIの発達がめざましい近年、
人間とロボットアームがコラボレーションする日常が視野に入ってきた

調理ごとに特化した使い方をするのが吉

 今回紹介するのはパナソニックの電子レンジ「ビストロ」、シャープのマルチクッカー「ヘルシオホットクック」、アノーバの真空調理器「プリシジョンクッカー」だ。どれも1台でさまざまな調理が可能な製品だが、筆者は調理法に合わせて特化させることをおすすめする。

 例えば、焼き料理ならビストロ、煮込料理ならホットクックといった具合だ。焼き料理の中でも肉や魚などのメイン料理はプリシジョンクッカーを使うと外出先からでも調理を始められるし格段に美味しくできる。ベストな家電を見つけてそれ一つでさまざまな調理をするのもよいが、形状によって得手不得手があるので、やはり複数種類の自動調理家電を活用するのがよい。
 
自動調理家電をフル活用すれば働きながらの家事にも余裕が出てくる

 家族の人数によってはホットクックを2台購入して活用しているようなケースもあるが、筆者が使ってみたところでは1.6Lタイプ1台でも家族4人分くらいは余裕なので、別の器具を揃えると料理のバリエーションが増える。ビストロとホットクックとでは一部レシピが重複する部分もあるが、味で比較すると煮込みに関しては圧倒的にホットクックに軍配が上がるため、やはり見た目のイメージ通りのレシピをそれぞれに担当してもらうのがよさそうだ。

 プリシジョンクッカーは焼き物・煮物の間を埋めてくれる画期的な製品で特にメイン料理で威力を発揮する。美味しく調理できるのはもちろん、容器を選ばないので急な来客で6人分のメイン料理が必要となった場合でも対応できる。また、メインの料理をプリシジョンクッカーに担当させることでビストロやホットクックに別の料理を任せられるため、リソースが有効活用できる面もある。
 
真空低温調理が家庭でも簡単、かつ自動で行えるアノーバの
「プリシジョンクッカー」

 本体は小さいので使わない時には場所を取らず収納しておける。いざという時のために1台用意しておくと便利だろう。日本製品はマルチ型の製品が多いが、ユーザー側で特化させることでより便利・柔軟に調理が進められ、自動化の恩恵が最大限受けられる。
 
プリシジョンクッカーは自由な容器を使えるため、
パーティなどでの大量調理も自動化できるのが魅力

低温ローストが可能なビストロと圧力調理が秀逸なホットクック

 具体的な使い方で優れている部分を紹介しよう。まず焼き物で威力を発揮するビストロだが、解凍機能もかなり実用的だ。「スチーム全解凍」という機能を使うと、電子レンジでありがちな部分焼けを起こさずに冷凍前に近い状態に解凍することができる。

 実際に筆者が使ってみても1度も部分焼けしたことがないレベルの機能で、マリネ状態で冷凍したものなども冷凍前に戻せる。時短と切り離せない冷凍保存がこれでグッと身近になるので、ホットクックやプレシジョンクッカーでの調理にもつなげやすい。

 もう一つは低温での調理が可能な点だ。他社の家庭用オーブンレンジが100℃より低温の調理ができないのに対し、ビストロはなんと70℃から調理が可能。これによってプロのコンベクションオーブンのように低温でじっくり調理できるため、旨味を凝縮したドライフルーツや野菜チップスなども作れる。ドライトマトなどはパスタやサラダ、アクアパッツァにも使える万能調味料なので、これが家庭で作れるのは非常にありがたい。
 
90℃で3時間調理して作ったセミドライトマトは旨味成分が約3倍に増し絶品

 一方、ホットクックは牛スジ煮込みなど、圧力鍋で調理するようなレシピがとても美味しく調理できる。例えばスペアリブは、玉ねぎと調味料、リブ肉を入れてスタートを押すだけ。90分で肉がホロホロの最高の出来上がりになる。また一部メニューは予約調理できるため、夕飯の時に一緒に仕込んでおけば、翌朝弁当のおかずが自動的に出来上がっている、といったことも可能だ。筆者は翌日余裕がなさそうな時はこれを使っており大変重宝している。

保存や下ごしらえなどの時短にも活用できる真空調理

 プレシジョンクッカーは「真空調理」という調理法を使えるようにしてくれるだけでもすぐれているが、下ごしらえしたものを長期間保存できる点でも時短に大きく貢献してくれる。例えば安いステーキ肉をローズマリー、オリーブオイルと一緒にジップロックに入れ、空気を抜いて保存しておくと冷蔵でもかなりの期間保存ができるとともに、マリネされることで安い肉がとても柔らかくなるメリットもある。

 空気を抜くにはジップロックの口があいたまま鍋に張った水に静かに浸けていく。こうすることで水圧によって綺麗に空気が抜けるが、ツヴィリングヘンケルスなどの製品にラインナップされる専用真空バッグ&ツールを使うとより一層長く保存できる。
 
真空バッグの他にガラス製真空容器もラインナップ、
保存と調理の幅が広がる

 プレシジョンクッカーは具材と器具をセットしておけば外出先からも調理過程の確認ができるため、日曜の外出時にセットしておき、帰ってきたら出来上がっているという使い方もできる。火を使わないので留守時の調理も安心で、まさに保存と調理の両面から料理を助けてくれるツールだ。

 このように一つのツールで全てを自動化するロボットは実用化されていないものの、用途特化すれば時短しながら美味しい料理を作ることができる。筆者自体がフルタイムで働きながら家事料理もやっていけていることを考えても実用的なのは疑いようがない。

 手料理の美味しさはもちろんだが、メニューによっては自動調理を使うことで美味しさを損なわずに自分に時間を作ることができる。これをうまく活用してさらに手間暇かけた自分の料理を振る舞ってみてはいかがだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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