ネックスピーカー入門におすすめ! シャープの超軽量モデルを試す

 どうしても深夜にテレビを見たいときは音量を絞って視聴している、という人は少なくないと思う。迫力がなく没入感は薄れるが、就寝中の人に迷惑はかけられない。記者は一時期ヘッドホンなどを試したが、長時間の使用は耳が疲れるのでやめた。次に目を付けたのはネックスピーカー。中でも、シャープ「サウンドパートナー(AN-SS1)」を試してみたら、価格と性能のバランスに思わず魅了された。入門機として、おすすめの製品だ。

シャープのネックスピーカー「サウンドパートナー(AN-SS1)」の実力を検証してみた

 ネックスピーカーの特徴は、耳をふさがず、自分だけに接続した機器の音が聞こえること。実際に自分の肩に乗せて使ってみると、ワイヤレススピーカーが耳元にあるような印象だ。周囲の音が聞こえる仕様のおかげで、子どもが起き出したり、連絡が来たりしたらすぐに分かるので、安心してコンテンツを楽しむことができる。ヘッドホンやイヤホンのように耳に負担がなく、映画を1本見ても疲れない。
 
肩に乗せて使うのがネックスピーカーの特徴

 自分だけに聞こえるといっても、耳元にスピーカーを置いている格好では、音漏れが防げない。自分が聞きやすい音量でテレビを見ていると、同じ部屋にいる人にはネックスピーカーから出る音が聞こえてしまう。しかし、壁で隔たった別の部屋にいる人には聞こえないことが確認できた。

 音は少しこもって聞こえるが、テレビから出てくる小さい音を懸命に聞き取るより、はるかに快適だ。本体の左右にあるスピーカーから音が出てサラウンドのように聞こえてくると、どことなく臨場感が出るのも追加でうれしい。結果的に、家族や近所に迷惑をかけることなく、深夜にテレビ番組やゲームを楽しむことができた。

サウンドパートナー「AN-SS1」の魅力

 AN-SS1のおすすめポイントは、価格と軽さにある。まず価格については、ネックスピーカーに共通した魅力を備えながら、税別の実勢価格が1万円を切っている。さらに、Bluetooth 4.1に対応した送信機を付属し、テレビとの接続が手軽だ。初期設定では、送信機のボタンを3秒ほど長押してから、AN-SS1の電源を入れるとペアリングが完了。映像と音のズレが少ないのも特徴だ。
 
送信機のヘッドホン端子とUSB端子(電源用)をテレビに接続する

 重さは88gと軽量で、長時間使用しても負担をほとんど感じない。例えば、ハイエンド機種(300g程度)を装着してみると、確かな重みを感じる。長時間使えば、さらに負担を感じそうだ。

 あえて気になる点があるとすれば、「音」の設定。本体で操作できる音量が限られており、それ以上大きくするにはテレビの音量を上げるしかない。料理や洗物、掃除機の使用中など、音が出る家事の最中にテレビの音だけ聞こうと思ったら、テレビの音量をあらかじめ調節する必要がある。
 
洗物をしていてもテレビの音が聞こえてくる

 また、ネックスピーカーとテレビから同時に音を出すには、テレビ側の設定を変更しなければならない。テレビによって方法は異なるが、自宅のテレビ(シャープ)だと、設定から、外部端子設定、ヘッドホン、「モード2」を選択していくと、ヘッドホンとスピーカーの両方から音が出るようになった。

 ハイエンド機種のようなクリアで響く音質は期待できないが、約1万円で家事中のテレビ視聴や深夜のテレビ・ゲームが快適に楽しめるなら、コストパフォーマンスには優れているといえる。今までの我慢とこれからするであろう我慢を思えば、十分に元が取れる。もし、もっとクオリティの高い音を楽しみたいのなら、シャープやBOSE、ソニーなどが出しているハイエンド機種を購入すればいい。
 
BOSEのハイエンドモデル「SOUNDWEAR COMPANION SPEAKER」。
公式オンラインストアで税込3万4560円

 ネックスピーカーを見かけることがあったら、ぜひ一度手に取って、使い心地を試してみてほしい。ヘッドホンやスピーカーでは体験できなかった、新しい聴体験ができるはずだ。ただ、家電量販店で試すと、周囲の音が大きく思ったようにネックスピーカーの音が聞こえないかもしれないので、静かな場所で試せないか聞いてみるといいだろう。(BCN・南雲 亮平)