AIでランサムウェアの不正行動を防ぐ、アクロニスの新バックアップソフト

新製品

2017/10/17 09:51

 アクロニス・ジャパンは10月13日、個人・SOHO向けバックアップソフトの最新版「Acronis True Image 2018」を発売した。オンライン版はすでに9月から提供している。ランサムウェア対策機能を強化しており、ソフトウェアの不審な動作を検知することで、データを改変しようとする攻撃を未然に防ぐことが可能になった。


Acronis True Image 2018(パッケージ版)

 True Imageは、Windows、Mac、iOSAndroidに対応したバックアップソフトで、OSやデータファイルを外付けドライブやクラウドストレージに保存することで、何らかのトラブルが発生した際もデータの消失を防ぐことができる。データを不正に暗号化し、その復元に金銭を要求するランサムウェアの被害が広がっていることから、同社は最近の製品でランサムウェア対策機能に力を入れている。
 

今年に入ってランサムウェア対策機能を追加し、8か月あまりで約1万5000件の攻撃被害を防いだ

 最新版の「2018」では、ランサムウェア対策に「Active Protection 2.0」と呼ばれる新技術を導入。従来バージョンのランサムウェア対策機能は、ファイルの変更を監視し、ランサムウェアによるデータの破壊が発生した際にバックアップから復元するというものだった。加えて、機械学習技術を用い、ファイルアクセスのパターンを学習・比較することで、攻撃的なアクセスを検出する。より検出率を高められるほか、まだ報告されていない未知のランサムウェアに対しても守りを高めることができる。Active Protection 2.0はWindowsとMacの両環境で利用可能。

 そのほか、バックアップ機能ではアクティブディスクのクローニングに対応。従来は、OS自体を含むすべてのファイルをバックアップする場合はいったんシステムを終了して再起動しなければならなかったが、その必要がなくなり、完全なバックアップをより簡単に行えるようになった。また、モバイルデバイスのサポートを強化したほか、Instagramの写真やコメントなどのバックアップも可能となるなど、これ1本でユーザーの広範なパーソナルデータをバックアップできるよう機能を充実させた。
 

Instagramのバックアップにも対応

 アクロニス・ジャパンの大岩憲三代表取締役は、ある製造業のユーザーを訪ねた際のエピソードとして、「社屋はなくなっても、また建てることができるが、部品のデータが失われたら会社の再建はできないだろう」という話題が出たことを紹介。「今やデータは空気と同じように、(生きるためには)なくてはならない存在になった」と、データ保護の重要性を強調する。
 

この春以降、販売が伸びていると話す大岩憲三代表取締役

 また「ランサムウェアとの直接的な関係の有無は不明だが、4月ごろからPCの販売台数を上回る勢いで当社製品の売り上げが伸びている」(大岩代表取締役)といい、「WannaCry(ワナクライ)」に代表されるランサムウェア被害が多く伝えられた今年上半期、バックアップソフトの販売が顕著な伸びをみせたとしている。かつてバックアップソフトは操作ミスや故障への対策、HDD交換時のデータ移行に用いられることが多かったが、現在ではセキュリティ製品としての役割も大きくなっているようだ。(BCN・日高 彰)