あおり運転の大々的な報道によって、ドライブレコーダー市場は大きく伸びている。そこで、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で、2015年7月以降のドライブレコーダー市場と最近の2年における、広画角での撮影可能な製品動向についてみていく。


 BCNが集計し始めた2015年7月の販売台数を「100.0」としたドライブレコーダーの指数をみていくと、17年までは3月、7月、12月に販売台数が増加する季節変動が現われた(図1)。しかし、17年10月に指数が226.5、伸び率(前年同月比)は236.9%と大きく動いた。この要因は、同年7月に発生した東名あおり運転事故の加害者の逮捕が、3カ月後の10月に大々的に報道されたためだ。その後一年にわたり、指数は高い水準を維持したものの、伸び率では18年10月と11月に反動減でマイナスに転じた。また19年8月には、常磐道のあおり運転・殴打事件の報道により再び市場が大きく動き、指数は215.1、伸び率は151.8%と売れ行きは拡大した。その後は消費増税の駆け込み需要も加わり、指数では集計以来、最も高い値となる295.8を記録したが、需要の先食いにより直近の2カ月の伸び率は前年割れとなっている。

 BCNは以前、ドライブレコーダーの購入者を対象にアンケート調査を実施。その結果、ドライブレコーダーを実際に利用してみると、前方は録画できるが、側面や後方の録画ができないことに不満を持つ利用者が多いことが分かった。今後は広範囲に撮影できる製品に、需要がシフトしていくことをうかがわせる結果となっている。
 

 こうした結果から、リアカメラセット製品と一台で全方向を撮影できる360°撮影対応製品の販売台数比率を算出してみた(図2)。まず、リアカメラセットの比率をみると、18年8月に13.7%と1割を超え、その後右肩上がりとなった。19年6月以降は4割前後で推移している。一方、360°撮影対応の比率の動きは鈍く、19年11月にようやく5.6%と、かろうじて5%超えとなった程度で、リアカメラセットよりも市場規模は小さい。この背景には、平均単価との関係があるかもしれない。現状、ドライブレコーダー市場全体の平均単価は1万5000円前後だが、リアカメラセットは2万-2万5000円。一方の360°撮影対応は3万円を超えており、市場全体の倍以上と高め。この単価差が360°撮影対応製品が普及する上で支障になっていると言えそうだ。しかし、車両の前方・側面・後方に加えて車内も撮影できるメリットを訴求することで、この単価差は埋まる可能性はある。

 あおり運転だけではなく、いろいろな事件や事故の映像がテレビの報道番組で使用されている。本来の目的である事故や旅の記録だけでなく、ドライブレコーダーは今後、まちなかを走る監視カメラといった位置付けになるかもしれない。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。