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キオクシアの爆速SDカード、その実力はいかに?【道越一郎のカットエッジ・番外編】

レビュー

2026/03/27 11:17

 最近、SDカード選びで「迷ったらキオクシア」という声をよく聞くようになった。それもそのはず。キオクシアの前身は東芝。その東芝の舛岡富士雄氏が発明したNAND型フラッシュメモリーがSDカードの中核だからだ。年間販売数のトップメーカーを表彰するBCN AWARDの「メモリカード」部門も、2025年、26年と2年連続獲得。消費者からの支持も厚い。そのキオクシアがこの2月21日、最新の高速SDカードのラインアップ「EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-II V90」(64GB/128GB/256GB/512GB)と「EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-II V60」(128GB/256GB/512GB)を発売した。いずれも写真の高速連写や高精細な動画撮影にも耐える、転送速度の速さが特徴だ。そこで、実際にこれらのSDカードを使って、その実力を検証した。

今回テストを行った爆速のキオクシアSDカード。
上が「EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-II V90」で、
左から512GB、256GB、128GB。
下が「EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-II V60」で、
左から512GB、256GB、128GB

 動画撮影のためにSDアソシエーションが規格化したのが「ビデオスピードクラス」。SDカードの最低保証書き込み速度を表し、種類は「V6、V10、V30、V60、V90」の5つ。特に最近ではV30以上のカードが多い。ビデオのVに続く数字は、毎秒何MBの書き込み速度を保証するかを表す。つまり、最高ランクのV90のSDカードでは、毎秒90MBの書き込み最低速度が保証されている、というわけだ。V90ともなれば、8K動画を筆頭に、4KでもRAWファイルで収録する際などに必要なスピードだ。

 実際に各メモリーカードのスピードを計測してみた。対象は、「EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-II」のV90版、V60版それぞれで128GB、256GB、512GBの6種類。比較対象として、他社製でV30の512GB UHS-Iメモリーカードを加え、計7枚のカードのスピードを比較した。測定方法は、PCと接続した際の読み書きスピードチェックだ。また、実際の使用環境を想定した検証では、ニコンのミラーレス一眼「Z5II」を使って、静止画の連写時と高負荷なビデオ撮影時のスピードや挙動を確認した。
 
今回テストしたSDカードの裏面。「SDXC UHS-II」なので、
UHS-Iなどと異なり、カードの接点が2列になっているのが特徴。
高速転送の恩恵を受けるには、UHS-II対応のカメラやカードリーダーが必要だ

 まず、PCとの接続時の読み書きスピードチェックだ。使用したソフトは、ストレージのスピード測定では定番の「CrystalDiskMark」。バージョンは9.0.2。PCがSnapdragon X Plus搭載モデルだったため、ARM版を使用した。テスト回数は5回、ファイルサイズは1GBだ。動画撮影時の性能評価に使うことが多い「SEQ1M Q8T1」の読み書きスピードを取り上げた。カードリーダーは、SD/microSDマルチスロットのUHS-II対応リーダーを使用。結果詳細は一覧表を参照いただきたいが、いずれのカードもビデオスピードクラスで保証された書き込みスピードをはるかに上回る値を記録した。
 
SDメモリーカードスピードチェック、結果一覧

 まずは、V90版の3枚。キオクシアが公表している最大読み書き速度は、512GBでは310/300(読み込み/書き込みMB/s)。256GBと128GBでは310/295ということになっている。測定値ではこれらを若干下回ったが、512GB、256GBモデルともいずれも読み書きで280MB/sを上回るスピードだった。128GBモデルは書き込みで280MB/sを若干下回ったものの、270MB/s以上のスピードは確保しており、十分に高速だということがわかった。次にV60版の3枚。こちらの公表最大スピードは、512GBと256GBが300/250MB/s。128GBが300/170MB/sだ。今回の実測値では、512GB、256GBモデルとも、書き込みで240MB/sを上回った。128GBモデルは書き込みで公表された最速値を上回る172MB/sを叩き出した。
 
「CrystalDiskMark」計測結果の一例。
V90版512GBモデルの測定結果

 カメラにメモリーカードをセットし、実際に撮影した場合の使い勝手もチェックした。静止画撮影の場合、画像ファイルはいったんカメラに内蔵された高速なバッファメモリー(バッファ)に記録される。そして順次メモリーカードに転送されていく。つまり、高速で連写し続けると、いずれバッファが一杯になり、メモリーカードへの転送が追い付かなくなる。そうなると連写速度が極端に遅くなる。つまり、メモリーカードが高速であればあるほど、高速連写できる枚数が多くなるという利点がある。さらに、メモリーカードへのデータ転送が完了するまでの時間も短く済むため、再びカメラの最高速で連写できる状態になるまでの時間も短くなる。
 
検証に使用したニコンのミラーレス一眼
「Z5II」

 今回テストに使用したカメラはニコンの「Z5II」。プロ向けの上位モデルに引けを取らない基本性能を有する、フルサイズのミラーレス一眼だ。まず、静止画では、RAWファイルとJPEGファイルの同時記録モードで高速連写を行い、連写速度を維持しながら何枚まで撮れるかの枚数を測定。さらに、バッファが一杯になってから、メモリーカードへの書き込みが終わるまでの時間も計測した。

 V90モデルは、各容量とも85枚まで連写スピードを維持することができた。これだけ撮れれば、おそらくほとんどの状況で連写が追い付かない、ということはないだろう。85枚撮影したのち、カメラ背面のメモリーアクセスランプが消え、メモリーカードへのデータ転送が完了するまでの時間も併せて計測した。こちらはいずれも13秒台で、ちょっと一息つけばすぐに撮影再開できる程度の時間で転送が完了した。V60モデルは、512GBと256GBモデルでほぼ同じだった。連続撮影枚数は80枚で転送速度は約15秒。128GBモデルは74枚で約18秒と少しスピードが遅かった。いずれにしても、全てのモデルで多くの場合で快適な連写が可能であることが分かった。

より快適な撮影環境を求めるなら、V90版を選べばいいだろう。ちなみに、比較対象の512GB V30のカードは、63枚で約34秒と、やや見劣りする結果になった。
 
テスト時のニコンZ5IIの画質設定。左が静止画時で「RAW+FINE★」、
右が動画時で「N-RAW 12bit(NEV) 4K30P」

 次に動画撮影だ。ニコンでは、Z5IIで動画用RAWファイル「N-RAW」で記録する場合、V90以上の高速メモリーカードの使用を推奨している。そこで今回は「N-RAW 12bit(NEV) 4K30P」での動画連続撮影が、それぞれのメモリーカードで問題なくできるかどうかについて試した。結果はいささか拍子抜けするものだった。今回テストした7枚のSDカードすべてで、ほぼ容量いっぱいまで、問題なく撮影できたからだ。512GBでZ5IIの最長録画時間である2時間5分、256GBで1時間13分、128GBで36分、トラブルなく撮影が可能だった。
 
ニコンZ5IIでテスト撮影した動画から切り出した画像。
動画の撮影では、メモリーカードがいっぱいになるまで、
一度も録画が止まることはなかった

 全てのカードで問題なく撮影できた理由は簡単だ。ニコンが推奨するV90は、90MB/s以上の書き込みスピードが出るカード、ということになる。テストした7枚はビデオスピードクラスにかかわらず、実測値でこのスピードを上回っていた。これが問題なく撮影できた理由だ。ちなみに、何枚ものカードを連続して動画撮影したわけだが、カメラ側での問題も全くなかった。さすがにカメラの温度は多少上昇したものの、継続撮影ができたのは、カメラの性能によるところも大きいだろう。しかし、今回は冬場のテスト。SDカードは温度上昇に伴ってスピードが低下する。真夏の炎天下では、また違った結果になったかもしれない。

 過酷な条件でも書き込みで90MB/s以上を維持するというのが、V90メモリーカード。ニコンも幅広い撮影条件を見越したうえでV90以上を推奨しているわけだ。今回の検証では、速さは正義ということが改めて分かった。特に静止画で連写を多用するような撮影スタイルの場合、シャッターチャンスを逃さないためにも、できるだけ高速なV90カードの利用が望ましいだろう。また、4K以上でRAWファイルで記録するような場合は、安心して撮影できる、最高速のV90のカードを使うのが無難だ。もっとも、EXCERIA PRO G2 SDXC UHS-IIのいずれのカードも十分高速だった。用途に応じて使い分けるのがいいだろう。(BCN・道越一郎)
 
 
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