2025.11.09 18:30
スマホ・PCスマホでできる電波時計の時刻合わせ【道越一郎のカットエッジ】
最高の腕時計は「太陽電池で動く電波時計」だと思っている。電池いらずでほおっておいても正確に時を刻み続ける。まさに文明の勝利。素晴らしいじゃないか。ただ、残念なのは時刻合わせの電波がなかなか受信できないことだ。しまい込んでいた電波式の腕時計を久々に使おうと引っ張り出した時のこと。とっくに止まっているので、まずは太陽電池に光を当てて充電。ほどなく動き始めたが、当然時刻は狂っている。強制受信モードで時刻合わせを試みるも、なかなか受信しない。電波の到達状況が悪かったのだろう。時間帯を変えつつ何度試してもダメ。そのうち受信して時刻が合うようになるんだろうが、いつになることやら。どうにかならないものか。まあないだろうとは思いつつ、スマートフォン(スマホ)アプリを検索すると、なんと複数のアプリがヒットするではないか。スマホで電波時計の時刻合わせができるらしい。半信半疑で試してみると、一発で成功した。
今回使用した「JJY 電波時計 時刻合わせ 標準電波 疑似送信アプリ」。
今回は何もいじらず初期設定状態で成功した。
失敗したら設定変更で調整が可能だ
今回試したのは、Android端末用の「JJY 電波時計 時刻合わせ 標準電波 疑似送信アプリ」(以下、標準電波疑似送信アプリ)というものだ。GooglePlayでダウンロードできる。インストールして立ち上げると「現在の日時(日本時間)」と「タイムコード(設定する日時)」がリアルタイムで表示される。イヤホン端子に有線イヤホンをつなぎ、音量を最大にして、腕時計の周りにイヤホンケーブルをぐるぐると配置。腕時計を強制受信モードにしてしばらく放置すると、あら不思議、時刻がぴったりと合うではないか。2本のシチズン製腕時計で試したがいずれもうまくいった。
なぜこんなことができるのか……。もともと電波時計は、JJYが送信する標準電波を受信して、時刻を合わせる仕組みになっている。日本では、福島県のおおたかどや山と佐賀県のはがね山の2か所から電波が送信されている。周波数は福島県が40kHz、佐賀県が60kHz。いわゆる長波という周波数帯だ。地表を這って伝播し、建物や障害物も回り込むため比較的遠くまで届く。同時に、波長が長いため、送受信とも大規模なアンテナが必要な周波数帯でもある。腕時計のような小さなデバイスで長波を受信する、というのは、そもそもかなり無理をしているわけだ。時刻合わせの電波がなかなか受信できない理由はここにもある。
2本の腕時計をスマホで時刻合わせ。スマホにつないだ有線イヤホンの
ケーブルを時計の周りにぐるりと配置。音量を最大にして待つこと数分で
時刻合わせが完了した。うまくいかない場合はケーブルを
時計にぐるぐる巻きするなどで成功する場合もある
前置きが長くなったが、そこで登場するのが前述した標準電波疑似送信アプリ。JJYの電波を疑似的に発生させることで、時刻を合わせる仕組みだ。詳しい説明は省くが、まず有線イヤホンを接続。ボリュームを最大にして、13.333kHzの「音」をスマホから発生させる。音を発生させるために流した電流に伴って39.999kHzの「高調波」と呼ばれる微弱な「電波」も発生する。福島県から送信されている時刻合わせ用電波の周波数とほぼ同じだ。これに時計同期用の信号を乗せることで、時刻合わせができるようになる。スマホにイヤホンを刺して使用するのは、イヤホンから音を出すのが目的ではなく、ケーブルから漏れる微弱な電波を時計に送信するアンテナとして使うためだ。
この裏技はかなり前から行われてきたもののようだ。広まったきっかけは2011年の東日本大震災。福島県からの標準電波が一時停波してしまったことから、代替策として使われた。同様のアプリはいくつもある。いずれも動作原理は同じだ。Android版では「JJYEmulator」「radio watch sync」、iOS版では「JJY Simulator」「電波時計較正 - 世界6局の電波シミュレーション」、Web版では「JJYシミュレータWeb版」などがあるようだ。選択肢は多い。最近のiPhoneのようにイヤホンジャックがないスマホでも、変換アダプターを介してイヤホンをつなげばいい。イヤホンケーブルなしでスピーカーから音を出すだけでも時刻合わせができる場合もある。WebサービスやPC版アプリを使えば、PCから伸ばしたイヤホンでもOKだ。時計も腕時計だけではなく、置時計などでも同様に合わせることができる。
情報通信研究機構(NICT)の「日本標準時」ページ。
ここで表示されているものが最も信頼のおける時刻だ。
自分の端末の時刻のずれも確認できる
さてこれで、いつでも電波時計の時刻合わせができるようになった。ただし、時刻合わせの元はスマホの時刻。そもそもこれは正しいのか? 最も正しい時刻を知るには、JJYを運用している情報通信研究機構(NICT)の「日本標準時」ページを訪れるのが一番。ここで表示されている「日本標準時(JST) 」が最も正確な時刻だ。ちなみに、電話で117にかけると聞ける「時報」も、完全に同期している。実は、スマホの時刻はいろいろなサーバーから取得されているが、往々にして数秒程度ずれていることが多い。日本標準時ページでは、そのずれも確認することができる。せっかく電波時計を合わせるなら、正確な時刻にしたいものだ。今回時刻合わせに使ったアプリでは、時刻のずれを修正する機能がついている。+とーで時刻を微調整すれば、腕時計を正確な時刻に合わせることができる。電波時計の時刻合わせで苦労している人は意外に多いと思う。そんな人はぜひ、スマホを使った時刻合わせを試してみてほしい。(BCN・道越一郎)
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今回は何もいじらず初期設定状態で成功した。
失敗したら設定変更で調整が可能だ
今回試したのは、Android端末用の「JJY 電波時計 時刻合わせ 標準電波 疑似送信アプリ」(以下、標準電波疑似送信アプリ)というものだ。GooglePlayでダウンロードできる。インストールして立ち上げると「現在の日時(日本時間)」と「タイムコード(設定する日時)」がリアルタイムで表示される。イヤホン端子に有線イヤホンをつなぎ、音量を最大にして、腕時計の周りにイヤホンケーブルをぐるぐると配置。腕時計を強制受信モードにしてしばらく放置すると、あら不思議、時刻がぴったりと合うではないか。2本のシチズン製腕時計で試したがいずれもうまくいった。
なぜこんなことができるのか……。もともと電波時計は、JJYが送信する標準電波を受信して、時刻を合わせる仕組みになっている。日本では、福島県のおおたかどや山と佐賀県のはがね山の2か所から電波が送信されている。周波数は福島県が40kHz、佐賀県が60kHz。いわゆる長波という周波数帯だ。地表を這って伝播し、建物や障害物も回り込むため比較的遠くまで届く。同時に、波長が長いため、送受信とも大規模なアンテナが必要な周波数帯でもある。腕時計のような小さなデバイスで長波を受信する、というのは、そもそもかなり無理をしているわけだ。時刻合わせの電波がなかなか受信できない理由はここにもある。
ケーブルを時計の周りにぐるりと配置。音量を最大にして待つこと数分で
時刻合わせが完了した。うまくいかない場合はケーブルを
時計にぐるぐる巻きするなどで成功する場合もある
前置きが長くなったが、そこで登場するのが前述した標準電波疑似送信アプリ。JJYの電波を疑似的に発生させることで、時刻を合わせる仕組みだ。詳しい説明は省くが、まず有線イヤホンを接続。ボリュームを最大にして、13.333kHzの「音」をスマホから発生させる。音を発生させるために流した電流に伴って39.999kHzの「高調波」と呼ばれる微弱な「電波」も発生する。福島県から送信されている時刻合わせ用電波の周波数とほぼ同じだ。これに時計同期用の信号を乗せることで、時刻合わせができるようになる。スマホにイヤホンを刺して使用するのは、イヤホンから音を出すのが目的ではなく、ケーブルから漏れる微弱な電波を時計に送信するアンテナとして使うためだ。
この裏技はかなり前から行われてきたもののようだ。広まったきっかけは2011年の東日本大震災。福島県からの標準電波が一時停波してしまったことから、代替策として使われた。同様のアプリはいくつもある。いずれも動作原理は同じだ。Android版では「JJYEmulator」「radio watch sync」、iOS版では「JJY Simulator」「電波時計較正 - 世界6局の電波シミュレーション」、Web版では「JJYシミュレータWeb版」などがあるようだ。選択肢は多い。最近のiPhoneのようにイヤホンジャックがないスマホでも、変換アダプターを介してイヤホンをつなげばいい。イヤホンケーブルなしでスピーカーから音を出すだけでも時刻合わせができる場合もある。WebサービスやPC版アプリを使えば、PCから伸ばしたイヤホンでもOKだ。時計も腕時計だけではなく、置時計などでも同様に合わせることができる。
ここで表示されているものが最も信頼のおける時刻だ。
自分の端末の時刻のずれも確認できる
さてこれで、いつでも電波時計の時刻合わせができるようになった。ただし、時刻合わせの元はスマホの時刻。そもそもこれは正しいのか? 最も正しい時刻を知るには、JJYを運用している情報通信研究機構(NICT)の「日本標準時」ページを訪れるのが一番。ここで表示されている「日本標準時(JST) 」が最も正確な時刻だ。ちなみに、電話で117にかけると聞ける「時報」も、完全に同期している。実は、スマホの時刻はいろいろなサーバーから取得されているが、往々にして数秒程度ずれていることが多い。日本標準時ページでは、そのずれも確認することができる。せっかく電波時計を合わせるなら、正確な時刻にしたいものだ。今回時刻合わせに使ったアプリでは、時刻のずれを修正する機能がついている。+とーで時刻を微調整すれば、腕時計を正確な時刻に合わせることができる。電波時計の時刻合わせで苦労している人は意外に多いと思う。そんな人はぜひ、スマホを使った時刻合わせを試してみてほしい。(BCN・道越一郎)
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外部リンク
情報通信研究機構(NICT)の「日本標準時」=https://www.nict.go.jp/JST/JST5.html
「JJY 電波時計 時刻合わせ 標準電波 疑似送信アプリ」=https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.ne.neko.freewing.RadioClockAdjust&hl=ja
「JJYEmulator」=https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.houryo.jjyemulator&hl=ja
「radio watch sync」=https://play.google.com/store/apps/details?id=com.jntc.clockwavesync&hl=ja
「JJY Simulator」=https://apps.apple.com/jp/app/jjy-simulator/id431054911
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