初日の出の撮影に出かけるのがこの20年ほどの恒例になっている。1月1日と2月1日の「日の出の写真」の何が違うのかと問われれば言葉に詰まってしまうが、まあ縁起物ということで毎年出かけている。しかし、太陽の位置から、このタイミングでしか撮れない日の出もあって、それもまた面白い。最近のオススメは、富士山頂から昇る初日の出とそれが湖面にも映る、いわゆる「ダブルダイヤモンド富士」だ。インスタ映え間違いなしの写真が撮れる。今年の元旦に撮りに出かけた。春には芝桜で賑わう富士本栖湖リゾートの竜神池が撮影ポイントだ。

竜神池から臨む富士山と逆さ富士を眺めながら初日の出を待つ

 関東地方では、海からの初日の出は時刻は6時50分あたり。しかし3776mの富士山頂から昇るとなれば、標高の分時刻は遅くなる。7時半ごろからが狙い時だ。しかし、ダブルのダイヤモンド富士が撮れるスポットは、ライバルのカメラマンも多い。数百人はいると思った方がいいだろう。そんな環境でいい場所を確保してガッツリ写真を撮ろうと思うなら、もっと早い時刻から「場所取り」が必須だ。遅くとも5時頃には現場に着いていたい。ベストポジションをキープしたいなら現場で年越しする覚悟が必要だろう。
 
ダブルダイヤモンド富士を撮ろうと大勢のカメラマンが集結。湖面の凍結を避けるため、夜を徹して水をまく

 このような定番撮影スポットの常として、場所取りは三脚で行うことが多い。初日の出の自体は十分に明るいので、撮影時に必ずしも三脚は必要ない。しかし場所取りでは必須だ。理由は「噴水」。本栖湖周辺の早朝、気温は氷点下だ。何もしなければ湖面が凍ってしまう。湖面に映るダイヤモンド富士が拝めなくなるわけだ。そこで、本栖湖リゾートでは気を利かせて、湖面が凍らないように初日の出の直前まで湖面に水をまく。すると凍らずにきれいなダブルダイヤモンド富士が撮れる、というわけだ。

 ところが、この散水がくせ者。複数の箇所から池に向けて散水し続けるため、近くに立っていると、時折吹く冷たい強風にあおられ、水が凍って飛んでくる。今年の元旦は、あいにく三脚を持たずに出かけたため、場所取りするものが何もなく、結局撮影したい場所に人間三脚として何時間もたたずんで撮影場所を確保した。日の出を撮影する2時間ほど前から氷が飛んでくる水際にずっと立っていると、髪の毛や服に大量の霜が付着する。もちろん寒い。手も足先も感覚がなくなってくる。そんな状態で全身真っ白になりながら初日の出を待つのは、苦行以外のなにものでもなかった。
 
苦行に耐えて撮影した「ダブルダイヤモンド富士」。残念ながら風が出てきたため、湖面にさざ波が立った。
日の出を強調するため、-1.7の露出補正を行って、富士山はほぼシルエットにした

 苦行に耐えると、富士山から昇る初日の出とそれが湖面に映る滅多に見られない光景が待っている。その場に立ち会うと、やはり感動的だ。素直に美しいと思う。つい何度も何度もシャッターを押してしまう。この数十分を体験するだけでも、行く価値十分にある。なにより、御利益も2倍はありそうじゃないか。車で行くのもいいが、日帰りのバスツアーもあるようだ。さて、2019年の元旦、彼らはどんな姿を見せてくれるのだろうか。まずは晴天を祈ろう。(BCN・道越一郎)
 
いつでも逆さ富士が撮れるスポットとして「静岡県富士山世界遺産センター」のオブジェもオススメ。
富士山本浅間大社の近くにある