話題先行で、まだ実際に体験できる場所が少ないVR(バーチャルリアリティ)。アミューズメントパークを中心に設置施設は増えているが、休日は長蛇の列ができているし、プレイできる時間も短く制限されている。

 そんななか、秋葉原にVR体験の穴場スポットが期間限定で出現した。PCブラウザやスマートフォン向けのゲームコンテンツを配信するモノビットが運営す る「モノビットVRカフェ」だ。期間は4月26日から5月5日までの10日間限定だが、食事をしながらじっくりとVRのコンテンツを満喫することができ る。
 


秋葉原に期間限定でオープンした「モノビットVRカフェ」

 「モノビットVRカフェ」で体験できるのは、サムスン電子の「Gear VR」とHTCとSteamが共同開発した「HTC Vive」。「Galaxy S6」と連携する手軽な「Gear VR」は各席ごとに、体の位置や手の動きと連動するハイエンドな「HTC Vive」はフロアの半分ほどのスペースをとって1機、備えつけてある。店内でかかる料金は食事代だけで、VR体験自体は無料だ。
 


体験できるのは「Gear VR」と「HTC Vive」

 今回、筆者が体験したのは「HTC Vive」。3月1日に予約販売を開始したが、価格が税別11万1999円と高価なうえに、十分に動き回るスペースが必要でハードルが高いVR機だ。その 分、視覚だけでなく動作も仮想現実に反映されるなどハイスペックな仕様で、究極の没入感を提供してくれる。

 プレイできるコンテンツは飛び出てくる物体を銃に見立てたコントローラーで撃ち落とす射撃ゲームと、バットで打ったボールでフィールドのオブジェクトを破壊する野球ゲームの2種類だ。

 筆者はそのなかの野球ゲームをプレイした。カフェのスタッフにヘッドギアとヘッドホンを装着してもらい、着席した状態でセッティングを行う。セッティン グは1分程度で完了した。セッティングが終了すると、両手に専用コントローラーが手渡される。プレイエリアに設置したセンサがコントローラーを認識し、 ゲーム内で手元の動きがトレースされるという仕組みだ。
 


セッティングはカフェのスタッフが手伝ってくれる

 ゲームが起動すると、視界には青空のきれいな美しい野球場が出現した。後ろを振り返るとバケツがあり、実際に歩いて近づき中を覗きこむと野球ボールが 入っていた。この野球ボール、なんと手に持つことができる。コントローラーを握った手をボールの側にもっていきトリガーを引くと、ボールが手の中に! そ して再びトリガーを離すと、ボールは地面に落下。ゲーム内のこととは思えない驚くべき再現度の高さだ。

 ボールを持つ方とは逆の手にあるコントローラーのボタンを押すと、今度は手元にバットが出現。両手の動きを組み合わせて、ボールを宙に放り、バットを回すと、トスバッティングの要領でボールはフィールドを飛んでいく。

 動作の作り込みも細かく、バッドにボールを当てるのがなかなか難しい。ボールにかすって足元に転がったり、打ち損ねてそのまま真下に落下したり。ゲームだから万能というわけではなく、自分の運動センスがそのまま反映されるのが新鮮だった。
 


(左)コントローラーをバットに見立ててボールを打つ!
(右)プレイヤーの視界を伝える店内の液晶ディスプレイ

 ゲーム本番がスタートすると、フィールドには皿を並べた棚や陶器、銅像など多数のオブジェクトが出現。プレーヤーはボールをバットで打ち、それらのオブジェクトを制限時間内にできるだけ破壊してスコアを競う。

 一打終わるとボールは自動的に手の中に出現する……ということはなく、わざわざ後ろのバケツから取り出さなければならない。これがなかなかの運動量が必要で、実際のトスバッティングの苦労が身に染みた。

 破壊するオブジェクトも本物そっくりにプログラムされており、皿や陶器は当たればすぐに割れるが、銅像や車は強打が当たってもびくともしない。あまりの 現実感に、なにか悪いことをしているような愉快な罪悪感にかられた。体力は使うが、ストレスをスカッと解消することができるゲームだった。
 


店内の様子。ほかのプレイヤーの動きやディスプレイの映像を見ているだけでも楽しい

 店内にある液晶ディスプレイには、プレイヤーの視界が映し出されるので、順番待ちをしているユーザーも、退屈せずに楽しめる。筆者がプレイしたときは4 人順番待ちをしていたが、各々「Gear VR」をプレイしたり、食事をしたりして自分の番が回ってくるのを待っていた。フードの看板メニューはVRをかたどった具を乗せた「VRローストビーフ御 膳」と「VRカレーセット」。本格的な味でランチや一息つくのにぴったりだ。
 


(左)VRローストビーフ御膳(右)VRカレーセット

 モノビットの鹿住淳氏は「VR普及のために、コンテンツメーカーも一般ユーザーがVRを体験できる機会を提供する必要がある」と企画の意図を語る。カ フェという形式をとったのは「リラックスして楽しんでもらうため」だ。実際に店内はVRに対する期待感と高揚感が充満しており、ユーザー同士のコミュニ ケーションも積極的に行われていた。VRが実現する世界への驚嘆ばかり耳にするが、ゲームである以上“楽しく”なければ意味がない。「モノビットVRカ フェ」は、そんなコンテンツメーカーだからこその思いを体現しているといえる。

 なお、営業時間は4月29日~5月4日が11時~21時で、5月5日が11時~18時。開店時に整理券を配布するので、早めの来店がおすすめだ。(BCN・大蔵 大輔)