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<地域No.1店舗の売れる秘訣・ビックカメラ渋谷東口店(上)>新たに別館をオープン 売り場面積が3000m2規模に

特集

2015/02/23 10:38

 ビックカメラは、旗艦店の一つ、東京・渋谷にあるビックカメラ渋谷東口店の強化に踏み切った。まず1月28日、新たに別館がオープン。これによって、渋谷東口店は「本館」と「別館」の2館体制になった。その本館は、2月5日にリニューアルオープンした。渋谷駅周辺の都市再開発が進んで、街への来訪者がますます増えている状況にあわせて、ビックカメラは売り場面積全体を3000m2規模まで拡大し、大幅な顧客増を狙う。


ビックカメラ渋谷東口店(上)
店舗データ(別館)
住所 東京都渋谷区渋谷1-24-10
オープン日 2015年1月28日
売り場面積 約1430m2
従業員数 50人程度(正社員)

駅前の都市再開発で来訪者が増加 アーリーアダプタを獲得



 JRをはじめ4社の鉄道が乗り入れて、都内最大級のバスターミナルがあるなど、都市活動拠点の渋谷駅。駅周辺は、2005年に特定都市再生緊急整備地域として指定されて、複数の大型開発プロジェクトや区画整理事業が進んでいる。高層複合施設の渋谷ヒカリエが渋谷駅東口に竣工したのは記憶に新しく、2012年4月のオープンから4か月で1000万人、1年後に2200万人と来館者を増やしていて、渋谷の街を活性化させている。

 家電量販店では、1990年代にビックカメラが渋谷に進出して、今では渋谷東口店と渋谷ハチ公口店の2店舗展開で顧客を集めている。東京では、池袋に次ぐ出店ということもあって、渋谷の2店舗は旗艦店として位置づけられている。

 ビックカメラ渋谷ハチ公口店と渋谷東口店の競合店として、ヤマダ電機が都市型店舗のLABI渋谷を2008年にオープン。5000m2規模の売り場面積をもち、若者から会社員まで幅広い層が来店している。

渋谷ヒカリエによって渋谷駅東口の集客力がアップした

渋谷駅周辺には都市型店舗のヤマダ電機LABI渋谷がそびえ立つ

 ビックカメラとヤマダ電機が激しい競争を繰り広げるなかで、主要な家電量販店が最先端のデジタル機器や白物家電を販売する店舗も存在感を高めていて、今では渋谷は家電の街として定着している。加えて、ビックカメラは、区画整理事業で街が活性化していることから、渋谷地区の強化を決断。渋谷東口店として新たに別館をオープンすることになった。

 江澤哲也・別館館長は、「オープン当日は、予想以上にお客様がいらっしゃった」と満足げだ。しかも、「新しい店づくりで、リピーター率が高まり、新規のお客様も獲得しやすくなる」と捉えている。

気になる商品で楽しめる店舗 サービス・サポートも充実



 ビックカメラ渋谷東口店別館は、地上1~2階の構成で、売り場面積が約1430m2。別館の誕生に伴い、渋谷東口店は本館という名称に変更。本館と別館を合わせると、売り場面積が3000m2超になった。本館と別館には、異なる商品を揃えている。別館のコンセプトとして江澤館長は、「気になる商品やサービスを揃えて、いつ来店していただいても楽しめる店舗」としている。

 まず1階では、スマートフォンやタブレット端末に加えて、最近話題のウェアラブル端末も展示している。しかも、すべてが身につけて試すなど、体感できるようになっている。その数は、「競合店では味わえないほど実物に触れることができる」(江澤館長)という。

 顧客の“気になる”を解決するサービスとして力を入れているのがSIMカード関連。江澤館長は、「SIMフリーになったものの、どれを購入すればいいのかがわからないというお客様は多い。そのような悩みを解決するために、用途別に商品を展示しているほか、当店で作成したPOPによって、お客様に理解していただけるようにした」という。SIMカードのことなら何でも聞くことができる相談窓口も設置。「悩みが解決できるということで、好評価をいただいている」(江澤館長)とのことだ。

当店で作成したPOPによって、お客様に理解していただけるようにした

 2階では、パソコンなどのデジタル機器をはじめ、趣味をテーマとするスポーツコーナーも設けている。ビックカメラ渋谷東口店には男性の会社員が来店する傾向があって、その来店者から要望のあった商品の取り扱いを開始した。一つは、ゴルフ関連用品だ。江澤館長は、「実は、渋谷駅周辺にはゴルフショップが少ない。渋谷に勤務する会社員の方から、会社帰りなど電車に乗る前にちょっと立ち寄れると好評」と自慢する。また、ゴルフクラブの試し打ちができる個室を設置したことも来店者を増やす要因になっている。

ゴルフクラブの試し打ちができる個室を設置したこと

 iPhoneやiPadを利用していて、しかもデジタル機器にあまり詳しくない女性に人気が高いのが、Apple製品修理サービスカウンターだ。このカウンターは、オープン当時から必ずといっていいほど利用者が途切れず、「iPhoneやiPadのことを何でも聞けて気軽に訪れることができるとの声をいただいている」という。

Apple製品修理サービスカウンターだ

 ほかには、店内で天井近くに商品が展示できるようにして、「さまざまな商品に興味をもっていただく」ことにも取り組んでいる。ここに展示する商品は不定期に変えている。「いつ来店しても、新しい商品に出会える楽しい店舗を目指す」と、江澤館長はアピールしている。(次号「下」では本館を紹介する)

店内で天井近くに商品が展示できるようにして、「さまざまな商品に興味をもっていただく」ことにも取り組んでいる



店長が語る人気の理由――江澤哲也 別館館長



 都心の店舗で業務に携わった経験が豊富で、赤坂見附店では立ち上げに参画した。その実績が認められて、渋谷東口店別館をオープンする際に館長に就任。「渋谷東口店にいらっしゃってくださっていた、これまでのお客様がさらに喜ぶのはもちろん、あまりなじみのなかったお客様に何度も足を運んでもらえるような店舗づくりに取り組む」という。

 都心をよく知る人物ということもあって、情報の収集には長けている。「渋谷は、幅広い年齢層が訪れるようになって、ますます賑わいをみせている。豊富な情報が必要」と気を引きしめる。今は、地域特性とお客様を知るために勉強中。得た知識を店舗づくりに反映していく。

■人気の理由
・話題の商品・サービスの品揃えを充実
・顧客から要望のあった商品の取り扱いを開始
・サポートカウンターで気軽な来店を促進

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2015年2月16日付 vol.1567より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは