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<地域No.1店舗の売れる秘訣・ドスパラ金沢店>北陸3県から常連が来店 パソコン上級者を囲い込む

特集

2014/11/17 12:25

 ドスパラ金沢店は、石川県をはじめ、富山県や福井県の北陸3県から多くのパソコン上級者を吸引している専門店だ。オープンから約15年が経過し、北陸3県のパソコン上級者なら誰もが知っている店になった。常連をしっかりと囲い込むことで、国内パソコン市場の落ち込みに左右されずに売り上げを確保。パソコンやパーツにくわしいお客様を相手にしての接客にも定評がある。(取材・文/佐相彰彦)


ドスパラ金沢店
店舗データ
住所 石川県金沢市八日市5-441
オープン日 1999年9月
売り場面積 約130m2
従業員数 4人

閑静な住宅街で出店 PC専門店として定着



 JR金沢駅から北陸本線で一駅のJR西金沢駅。駅周辺は、幹線道路の国道8号(金沢バイパス)まで、閑静な住宅街が広がっている。金沢バイパスのこの付近には、飲食店やホームセンター、紳士服専門店、ゴルフショップ、自動車販売店などがあるが、この地区を除けば沿線も住宅街。ドスパラ金沢店は、そのショッピングエリアから外れた一角に出店している。

JR金沢駅から北陸本線で一駅のJR西金沢駅

ドスパラ金沢店の周辺には住宅街が広がっている

 ドスパラ金沢店は、オープンから15年余りが経過していることもあって、地元ではパソコン専門店としてよく知られた存在だ。地方での出店で、しかも駅から離れているという、ドスパラが強みとする地域密着型の郊外店として、近隣の住民がパソコンに関する悩みを解決するために訪れる。ほかのドスパラ店舗と異なるのは、「北陸にお住まいで、お仕事を問わずパソコンを使いこなしている方の来店が多いこと」と、守三之店長は説明する。県内だけでなく、北陸全域からお客様が訪れるのは、「メーカー製パソコンでは満足できないお客様がお住まいの地域に、当店のような専門店がないからだ」と守店長は捉えている。

 常連のほとんどは、Windows XPの発売時にはすでにパソコンを使っていたという「比較的高齢のお客様」(守店長)だ。店頭での会話も、「例えば、Windows 98発売のときの話で盛り上がる」など、昔話になることもあるそうだ。地元住民のなかには、パソコンにあまりくわしくないお客様も少なくない。そこで、「住民の方々とは、周辺地域の話題でコミュニケーションをとっている」。初級者と上級者への接客を切り分けることで、地域密着型でありながら、広い地域に常連を抱える店舗として定着した。

SNSでの情報配信で顧客開拓へ パソコンユーザーの屋台骨になる



 ドスパラ金沢店の売り上げを支えているのは、カスタマイズパソコンだ。ネットゲームユーザーたちには、大きな画面で楽しみたいということから、デスクトップで高性能のモデルが売れるが、「最近は、ほしい機能を搭載して持ち運ぶことができるノートが人気」という。お客様がパソコンを購入する際は、「まずは要望を聞いて、その要望を満たすには、どんなパーツが必要なのかをていねいに説明する」(守店長)。この接客は上級者に限らず、中級者や初級者にも好評で、「お客様から『パソコンの仕組みがわかって勉強になる』と、おっしゃっていただける」という。

ほしい機能を搭載して持ち運ぶことができるノート

 パソコンの不具合は、修理受付総合カウンターで対応。ドスパラが販売しているカスタマイズパソコンに限らず、メーカー製のパソコン修理も受け付けることで、地元住民の信頼を高めている。

修理受付総合カウンターで対応

 ドスパラ金沢店には、平日、休日を問わずコンスタントに常連が来店する。市場の落ち込みの影響を受けずに堅実に利益を確保しているが、守店長は「課題は、新しいお客様が増えていないこと」と打ち明ける。北陸には、まだ多くのパソコン初級者・中級者がいる。彼らの来店をいかに促すかが、これからの成長のポイントだ。

平日、休日を問わずコンスタントに常連が来店する

 そのために取り組んでいるのが、TwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った新モデルなどの情報提供。とくに来店促進に向けて力を入れているのが、ユニークなデジタル雑貨を扱うドスパラの通販サイト、上海問屋の商品群のアピールだ。店内では、広いスペースを確保して販売している。上海問屋の商品を訴求すれば、「あまりパソコンになじみのないお客様でも、気軽に行くことができる店だと思ってくれるだろう」と守店長は考える。

ユニークなデジタル雑貨を扱うドスパラの通販サイト上海問屋

 上海問屋の新商品を店舗で扱うときに、「発売と同時に紹介して、当店にはおもしろい商品があるとアピールしている。以前、自転車チェーンクリーナーをTwitterで紹介した際、自転車マニアが来店したこともある」という。現在の集客の秘密兵器は、水没によって操作できなくなったスマートフォンや携帯電話を復活させる乾燥剤パック。もちろん、水没した機器のすべてが復活するわけではないが、「ネットで話題になるよう、コンスタントに紹介していく」(守店長)。このほか、自社ブランドのタブレット端末「Diginnos Tablet」や中古のスマートフォンなども訴求していく。

 守店長は、「パソコンユーザーではない方々にパソコンのよさを伝え、販売増につなげる。市場の活性化にも寄与したい」と、将来への展望を語る。

店長が語る人気の理由――守 三之 店長



 東京・秋葉原電気街にあるパーツ館やモバイル館を経験し、千葉など関東の店舗で業務に従事した後、昨年8月、金沢の店長を任された。「常連だけで売り上げを伸ばすことができる店舗」というのが第一印象だ。

 売り上げは堅調だが、「Windows XPのサポート終了に伴う駆け込み需要で、春は爆発的に売れたが、その反動が少なからず出ている」という。「常連に守られているだけでは成長はない」と判断。「常連だから許してくれていたのかもしれない。なれ合いで接客していた」。新たな顧客の開拓は売上増が目的だが、もちろん「常連がさらに満足する店舗」も念頭に置いている。

■人気の理由
・地元住民の来店を促す地域に密着した接客
・パソコン上級者に対応する品揃え
・SNSでの情報発信で新たな顧客を開拓


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年11月10日付 vol.1554より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは