<続報>新iPhoneキャリア対決 ソフトバンクの優勢続く、シェア4割超

特集

2013/10/01 20:35

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、ソフトバンクモバイル、KDDI(au)、ドコモの3キャリアが取り扱う「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を合算したキャリア別販売台数シェアを集計したところ、発売1週目に続き、ソフトバンクモバイルがトップを獲得した。9月29日までの累計でのシェアは42.7%。他の2キャリアに10ポイント以上の差をつけてリードしている。

・第1弾記事<iPhoneを巡って3キャリアが激突! 発売1週目はソフトバンクがトップ!>から読む


 「iPhone 5s」は、9月20日の発売以来、各キャリアとも容量・カラーによっては在庫切れ・入荷待ちの状態が続いている。アップル直営店のApple Store、キャリアショップなどを含まない家電量販店に限った数値とはいえ、ソフトバンクモバイルの4割超というシェアは、発売直後に何としても手に入れようとする従来からの熱心なiPhoneファンに支持された証とみなしていいだろう。

発売日当日の各キャリアのiPhoneコーナー(ビックカメラ有楽町店)

【iPhone 5s】1位は変わらず 2位と3位は逆転、差が広がる



 同時に発売した2モデルのうち、スマートフォンでは初めて64ビットアーキテクチャを採用したハイエンドモデルの「iPhone 5s」に人気が集まっている。9月29日までの累計でのキャリア別販売台数シェアは、ソフトバンクモバイル43.1%、au29.4%、ドコモ27.5%。発売3日後の9月22日までの累計では、ソフトバンクモバイル、ドコモ、auの順だったが、2位と3位が入れ替わり、2位と3位の差は0.7ポイントから1.9ポイントに拡大した。

 「iPhone 5s」は「iPhone 5」同様、3種類の容量をラインアップする。ドコモとソフトバンクモバイルは大容量の64GBが最も多く売れており、特にドコモは64GBの割合が高い。これに対してauは32GBがほぼ5割を占め、キャリアによって売れ筋が異なっている。発売直後に買い求めたユーザー層の違いが反映されているようだ。3キャリア合算では、32GBと64GBが40%台で並び、人気を二分している。


 ドコモの「iPhone 5s/5c」は、発売日の時点では、iモードのメールアドレスと同じ、@docomo.ne.jpのアドレスでメールを送受信できるspモードメール(キャリアメール)に対応していなかった。10月1日には、プロファイルをインストールすることでiOSの標準アプリ「メール」でspモードメールを利用できるようになったが、当面はリアルタイムでメールが届くプッシュ方式でのメール着信通知に対応せず、手動または定期的に(最短15分ごと)にサーバーに接続して取得するフェッチ方式となる。キャリアメールに対応したといっても、従来型携帯電話と同じ感覚で使えるわけではない。

 ソフトバンクモバイルとauは、設定によって、iOSの標準アプリ「メッセージ」または「メール」を利用してリアルタイムでメールをやりとりできる。もちろん、メールの着信はリアルタイムで通知される。こうしたキャリアメール関連の対応の遅れや、ドコモユーザーにはおなじみの「ケータイ補償 お届けサービス」や「ドコモプレミアクラブ」の「電池パック安心サポート」などを利用できないといったデメリットが、売れ行きにマイナスの影響を及ぼしたとみられる。

【iPhone 5c】ソフトバンクモバイルが一歩リード、シェアは4割超に



 同じく9月29日までの累計での「iPhone 5c」に限ったキャリア別販売台数シェアは、ソフトバンクモバイル41.0%、au31.7%、ドコモ27.4%だった。「iPhone 5c」の予約受付開始後の9月14日、auが新規・MNPを対象に最大1万円キャッシュバックすると発表すると、ソフトバンクモバイルも対抗するように、当初16GBモデルだけだった「iPhone 5c 購入サポート」の対象を32GBモデルに拡大。こうした積極的な販売施策がプラスに働いたようだ。

 「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を合算すると、ソフトバンクモバイルがシェア42.7%でトップ。2位のauは29.9%、3位のドコモは27.5%で、「iPhone 5s」同様、ドコモは2位から3位に後退した。内訳は、「iPhone 5s」が79.8%、「iPhone 5c」が20.2%で、発売直後より「iPhone 5s」と「iPhone 5c」の差はやや縮まった。


 モデルチェンジに伴い、現在、店舗によっては「iPhone 5s」「iPhone 5c」と前機種「iPhone 5」の3モデルを併売している。「iPhone 5」の在庫がなくなれば、「iPhone 5c」のコスト面のメリットが高まり、相対的に「iPhone 5c」の割合は高まるだろう。単なる廉価版ではなく、従来のiPhoneとは違うテイストをもつバリエーションモデルとして新たに登場した「iPhone 5c」に対するニーズをどれだけ引き出せるか、各キャリアの手腕が問われるところだ。

新iPhoneもロングセラーとなるか? 3キャリアの争いは次の段階へ



 2011年10月14日発売の「iPhone 4S」、2012年9月21日発売の「iPhone 5」は、発売直後に爆発的に売れた後も、一定の水準以上の売り上げを保ち、ロングセラーとなった。iPhoneを巡る3キャリアのシェア争いは、「様子見」している層を動かすようなキャンペーンと、実際にiPhoneを使用しているユーザーのネットワーク、キャリア独自のサービス・サポート体制などに対する感想・評価が鍵になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。