スマートフォンからネット音源まで 1台10役の2.1chシアターコンポ「BDV-EF1」を試す

レビュー

2013/08/30 18:42

 寝室、書斎などの個室や、一人暮らしの部屋でもしっかりと音楽を楽しめるコンパクトでサブウーファー付きのソニーのシアターコンポ「BDV-EF1」が登場した。音楽CDやDVD/BD、スマートフォンやポータブルオーディオに保存した音楽、YouTubeなどのネット音源などを一台で再生できるマルチな使い勝手を試した。

BDV-EF1

2.1chのシアターコンポ「BDV-EF1」
 

テレビとの接続はHDMIケーブル一本でOK!



 結婚し、子どもが生まれると、家族でリビングのテレビを囲む時間が増えた。もちろん、家族の団らんは心和むひとときだが、独身時代のように一人で好きな音楽や映画を楽しみたくなるときがある。しかし、狭い仕事部屋ではコンポや、ましてやホームシアターなど置けるスペースがない。普段はPCで音楽を聞き、テレビ番組は小さなテレビで見ているが、やはり音が貧弱なことが不満だった。

 そんなプライベートルームにぴったりのコンパクトな2.1chのホームシアターコンポ「BDV-EF1」が8月31日に発売する。「BDV-EF1」はワイヤレスでインターネット接続ができるWi-Fi機能、FMチューナー、USB端子、ディスクトレイなどを内蔵したアンプ部と、小型のステレオスピーカーとサブウーファーで構成する。アンプ部は高さ50.5mmと非常に薄く、テレビやディスプレイの足下に設置できる。

 本体だけでなく、スピーカーもコンパクトだ。2基のスピーカーの高さは約189mmと、500mlのペットボトルとほぼ同じ。リビングのテレビの横に置くのはもちろん、デスクまわりなどにも気軽に設置できる。また、サブウーファーもA4サイズの雑誌などとほぼ同じ高さと奥行きで、ブックエンド代わりに雑誌などと並べて置くことができそうだ。
 

サブウーファーはA4雑誌とほぼ同じ高さ、奥行きだ

サブウーファーはA4雑誌とほぼ同じ高さ、奥行きだ

 接続も非常にシンプルだ。スピーカー、サブウーファーを本体と接続し、本体とテレビをHDMIケーブルでつなげるだけで、テレビの音声を「BDV-EF1」から出力できる。ARC(Audio Return Channel)に対応していない古いテレビの場合は、光ケーブルを追加接続すれば、問題なく使用できる。
 

テレビとHDMIケーブル1本で接続する

テレビとHDMIケーブル1本で接続する

 さっそく、テレビと「BDV-EF1」を接続してテレビ番組の音を聞き比べてみた。するとテレビの内蔵スピーカーとは明らかに次元の異なるレベルのサウンドが体感できた。高音域から低音域まで音の情報量が豊かになっていることが感じられた。特に、コンパクトながらもサブウーファーがしっかりと低音を響かせてくれる。とはいえ、低音はズンズンと響くほどではないので、隣室を気にすることはないだろう。
 

音楽を楽しむ スマートフォンの音源からCDまで再生できる



 仕事中はモチベーションを上げるため、音楽を聴くことが多い。最近は音源のほとんどをスマートフォンに入れてイヤホンで聴くか、PC内の音源を再生してPCのスピーカーで聴いているが、やはり音質・音量の点で不満があった。

 「BDV-EF1」は、Bluetoothに対応し、スマートフォンやPCとワイヤレスで接続してスマートフォン内の音楽を再生することができる。Bluetooth接続というと、ペアリングが非常に面倒なのだが、「BDV-EF1」はNFC(近距離無線通信)を搭載し、対応するAndroidスマートフォンを「BDV-EF1」にタッチするだけでペアリングができ、非常に便利だった。
 

本体前面のNFCタグ。ここに対応スマートフォンをかざして認証する

本体前面のNFCタグ。ここに対応スマートフォンをかざして認証する

 また、PCとあらかじめペアリングをしておけばいちいち、「BDV-EF1」側で設定を行うことなく、PCのサウンドを「BDV-EF1」から高音質で出力することができるのだ。Bluetoothに対応していないPCでも、付属のステレオミニケーブル1本で接続ができる。
 

PCとは付属のステレオミニケーブルで接続する

PCとは付属のステレオミニケーブルで接続する

 もちろん音質は、スマートフォンやPCのスピーカーとは比較にならないしっかりしたサウンドが楽しめた。が、ここまではBluetooth対応スピーカーとそれほど変わらない。スマートフォンの楽曲を聴くためだけにBluetooth対応スピーカーを買うのはためらわれるが、「BDV-EF1」は、ドライブを備え、音楽CDも再生できる。さらにテレビに接続すればDVD/BDプレーヤーとして映画ソフトなども楽しむことができる。FMチューナーも内蔵しているので、ラジオ好きにもオススメだ。
 

ドライブを搭載し、CD/DVD/BDの再生ができる

ドライブを搭載し、CD/DVD/BDの再生ができる

 せっかくDVD/BDで映画を見るなら、臨場感を味わいたい。「BDV-EF1」は、独自のフロントサラウンド技術「S-Force PRO フロントサラウンド」を搭載し、フロントスピーカーだけで仮想的にサラウンドサウンドを再現。音に包み込まれるような感覚が味わえる。また、BDの高音質サウンドフォーマットであるDTS-HD Master Audio、Dolby True HDに対応し、BDならではの高音質を手軽に楽しむことができる。

 このほか、デジタル音楽ファイルを保存したUSBメモリの接続にも対応。本体右前面に装備するUSB端子にUSBメモリを差し込むと、メニューの「ミュージック」にUSB機器を表示する。
 

USBメモリ内の音楽ファイルを再生できる

USBメモリ内の音楽ファイルを再生できる
 

YouTubeなどのネット動画をテレビで楽しむ



 「BDV-EF1」を使っていて、最も便利だと感じたのがネットワーク機能だ。PCやスマートフォンなどを利用することなく、インターネットに接続することができるので、動画や音楽配信サービスなどを楽しむことができる。

 もちろん、PCでこれらのコンテンツを楽しむ人は多いだろう。しかし、「BDV-EF1」ならいい音が楽しめるうえ、コンテンツ再生の負荷をPCにかけなくてもすむ。PCで作業をしながら、などの「ながら聴き」に最適だ。

 さらに、Wi-Fi機能を備えているので、ネットワークケーブルをはわせることができない環境でも、ワイヤレスでインターネットに接続できる。

 ネットワーク機能では、YouTubeやhulu、DMM.TV、U-NEXTを始はじめ、ソニーが展開する「Video Unlimited」や「Music Unlimited」など10以上のサービスを利用できる。このほか、「日本経済新聞 電子版 映像ニュース」や「TBS世界遺産コレクション」、世界各地のラジオを聴けるインターネットラジオ「vTuner」など、無料で視聴できるサービスにも対応している。
 

海外ドラマや映画などが定額で楽しめるhuluに対応

海外ドラマや映画などが定額で楽しめるhuluに対応

 実際、「BDV-EF1」でYouTubeを再生すると、リモコン操作で動画を探すことができた。さらに専用アプリをインストールしたスマートフォンやタブレット端末で操作することもでき、リモコンに比べ文字入力がしやすく、興味のある動画をスムーズに検索することができた。
 

ホームネットワークを利用してさまざまな機器と繋がる



 「BDV-EF1」のネットワーク機能は、インターネット接続機能だけではなかった。ホームネットワーク機能に対応し、DLNAサーバー機能をもつ機器と接続できる。例えば、別の部屋に置いてあるPCやNASにアクセスし、保存してある音楽を再生することができるのだ。

 ただ、録画したテレビ番組は著作権で保護されているので、録画したレコーダーやPCでしか再生できないことが多い。「BDV-EF1」はデジタル放送の番組を再生する際に必要なDTCP-IP規格に対応している。これならリビングに置いたDLNAサーバー機能をもつBDレコーダーや、ネットワーク対応HDD「nasne」に保存した録画番組をネットワーク経由で視聴できる。
 

DLNAによるネットワーク機器へのアクセスに対応

DLNAによるネットワーク機器へのアクセスに対応。
「ビデオ」や「ミュージック」から接続先を選択する

 アクセスの仕方は、ホームメニューの「ビデオ」から、レコーダーなどのDLNA対応機器を選択。ジャンルやフォルダを選択すると録画番組にアクセスができる。これなら、寝室や書斎などのプライベート空間に「BDV-EF1」を設置して、リビングに設置したBDレコーダーや「nasne」で録画したテレビ番組を楽しむことができる。
 

「nasne」に録画していた番組の一覧

「nasne」に録画していた番組の一覧。
ここから見たい番組が選択できる。ジャンル別表示できた

 「BDV-EF1」は、一般的な薄型テレビより明らかによりクオリティの高いサウンドが楽しめる。しかし、魅力はサウンド環境の向上だけではない。これまでPCに依存していた音楽再生やネットサービスへのアクセスを、「BDV-EF1」が担当してくれるのだ。

 「BDV-EF1」は音楽や動画がより楽しくなるオールインワンコンポだ。個室で楽しむのはもちろん、実勢価格4万円前後と、一人暮らしの人向けのメインコンポとしても十分活躍してくれる。間違いなく「買い」のアイテムとしてイチオシといえるだろう。(デジタル&家電ライター/コヤマタカヒロ)
 

●コヤマタカヒロ
PCからAV、シロモノ家電までを対象に日々、取材、検証、執筆するデジタル家電ライター。いろんな媒体でレビューや紹介記事を執筆する。