2012年4月の携帯電話ランキング、「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2強に

特集

2012/05/14 20:43

 2010年4月1日にNTTドコモがAndroid搭載スマートフォン「Xperia SO-01B」を発売してから2年。それ以前は、スマートフォンといえばアップルのiPhoneの独壇場だったが、複数のメーカーが開発するAndroid搭載スマートフォンが台頭し、最近はiPhone対Android陣営という図式になっている。iPhoneも、一社独占販売が崩れた「iPhone 4S」からキャリア間の対決に注目が集まり、今年4月までの累計ではソフトバンクモバイルが約6割を占めている。

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年4月のスマートフォンの販売台数は、集計開始以来、過去最大を記録した3月には及ばなかったものの、前年同月比191.9%と、前年を大きく上回った。一方、従来型の携帯電話は、2011年11月以降、前年の半分以下という状況が続いていたが、4月は前年同月比63.0%と少しだけ盛り返した。4月の月間販売台数に占めるタイプ別構成比は、スマートフォンが72.5%、従来型携帯電話が27.5%。スマートフォンの販売比率は、3月の77.8%から5.2ポイント下がったが、それでも過去3番目の高さだった。


1位・2位は3月と変わらず、「GALAXY Note」が10位に初登場



 SIMフリー端末を含む携帯電話全体の4月の販売台数1位は、前月に引き続き、NTTドコモのAndroid搭載スマートフォン「Xperia acro HD SO-03D」。2位は、前月と同じくソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」の16GBモデルで、3位には前月6位だったauの「iPhone 4S」の16GBモデル、4位には8位だったauの「Xperia acro HD IS12S」が入った。また、NTTドコモの「らくらくホン ベーシック3」が9位に浮上し、4月発売のGALAXYシリーズの新モデル「GALAXY Note SC-05D」が10位にランクインした。

2012年4月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>
順位 キャリア メーカー 品名 型番 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 NTTドコモ ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia acro HD SO-03D 10.8 2012/03
2 SoftBank アップル iPhone 4S 16GB(SoftBank) iPhone 4S 16GB(SoftBank) 6.6 2011/10
3 au アップル iPhone 4S 16GB(au) iPhone 4S 16GB(au) 4.7 2011/10
4 au ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia acro HD IS12S IS12S 4.3 2012/03
5 SoftBank アップル iPhone 4S 32GB(SoftBank) iPhone 4S 32GB(SoftBank) 3.4 2011/10
6 NTTドコモ 富士通 ARROWS X LTE F-05D 3.3 2011/12
7 au アップル iPhone 4S 32GB(au) iPhone 4S 32GB(au) 3.0 2011/10
8 NTTドコモ NECカシオモバイルコミュニケーションズ MEDIAS ES N-05D 2.4 2012/03
9 NTTドコモ 富士通 らくらくホン ベーシック3 F-08C 2.2 2011/04
10 NTTドコモ SAMSUNG GALAXY Note SC-05D 2.0 2012/04
「BCNランキング」2012年4月 月次<最大パネル>

「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2強でスマートフォンの半数を占める



 4月は、3月以上に「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」に人気が集中。この2機種だけで、携帯電話全体の販売台数の34.2%を占め、スマートフォンに限ると、ほぼ半分近い47.2%を占めた。どちらも、これまで培ってきたブランド力と安心感、そして「実質負担額」として示される端末価格の安さが人気の要因だろう。

iPhone 4S(ホワイト)とXperia acro HD SO-03D(Aqua)

 容量ごとに別々にカウントしている「iPhone 4S」をキャリアごとに合算すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」がトップに躍り出るが、2位の「Xperia acro HD SO-03D」との差はわずか0.02ポイントだった。ほぼ同率1位といいだろう。ただ、「iPhone 4S」のソフトバンクモバイル版とau版の合計と、ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」と「Xperia acro HD IS12S」の合計を比べると、両者の差は4.2ポイントに開いた。

 週次集計では、ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」は、発売日を含む3月第2週(2012年3月12日~18日)から5月第1週(5月7日~5月13日)まで、9週連続で機種別1位を獲得している。すでにソニーモバイルコミュニケーションズは、日本市場向けにおサイフケータイやLTEに対応した新モデル「Xperia GX」「Xperia SX」を発表しているが、現時点までの情報によると、これら2機種は「Xperia acro HD」の最大のウリである防水に対応していない。防水にこだわるなら、「Xperia acro HD」は買いだろう。

1位は3キャリアとも変化なし、初めてトップ10入りする機種も



 続いて、主要3キャリア、ドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルのキャリア別月間トップ10を紹介しよう。なお、ここからは、通常、容量ごとに別々にカウントしている「iPhone 4S/4」の各機種を合算し、1機種としてカウントしている。

 ドコモは、総合でも1位だった「Xperia acro HD SO-03D」がトップ。前月2位だった「GALAXY NEXUS SC-04D」は17位にダウンし、代わって「MEDIAS ES N-05D」とシニア向け端末の定番「らくらくホン ベーシック3」が順位を上げた。

2012年4月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<NTTドコモ>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia acro HD SO-03D 1210 21.4 2012/03
2 富士通 ARROWS X LTE F-05D 1310 6.6 2011/12
3 NECカシオモバイルコミュニケーションズ MEDIAS ES N-05D 810 4.8 2012/03
4 富士通 らくらくホン ベーシック3 F-08C 510 4.4 2011/04
5 SAMSUNG GALAXY Note SC-05D 810 4.0 2012/04
6 NECカシオモバイルコミュニケーションズ N-03D N-03D 810 3.7 2011/12
7 SAMSUNG GALAXY S II LTE SC-03D 810 3.6 2011/11
8 パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-06C P-06C 510 2.9 2011/07
9 シャープ AQUOS PHONE SH-06D SH-06D 800 2.7 2012/03
10 パナソニック モバイルコミュニケーションズ LUMIX Phone P-02D P-02D 1320 2.6 2011/12
「BCNランキング」2012年4月 月次<最大パネル>

 auは、「iPhone 4S」がシェア28.5%でトップ。昨年10月以来、7か月連続で1位を獲得しており、iPhoneとAndroid端末を併売する戦略は想定以上の成功を収めたといえるだろう。10位には、「WiMAX」に対応するグローバルスマートフォン「HTC EVO 3D ISW12HT」が初めてランクインした。

2012年4月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<au>

※「iPhone 4S」は容量の異なるモデルを合算
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 4S(au) - 800 28.5 2011/10
2 ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia acro HD IS12S IS12S 1210 14.4 2012/03
3 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ F001 F001 1310 5.7 2011/11
4 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ ARROWS Z ISW11F 1310 4.5 2011/12
5 京セラ 簡単ケータイ K010 515 3.9 2011/05
6 京セラ DIGNO ISW11K 808 3.6 2011/11
7 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ URBANO AFFARE SOY05 810 3.6 2011/10
8 SAMSUNG GALAXY S II WiMAX ISW11SC 808 3.3 2012/01
9 カシオ計算機 CA007 CA007 808 3.1 2011/06
10 HTC HTC EVO 3D ISW12HT 500 2.4 2011/10
「BCNランキング」2012年4月 月次<最大パネル>

 ソフトバンクモバイルも、前月までと変わらず、「iPhone 4S」がトップで、3位・4位には、キャンペーンを適用すると2年間基本使用料0円で利用できるブザー付き携帯電話「みまもりケータイ」と、4月発売の後継機種「みまもりケータイ 2」がほぼ同じシェアで並んだ。

2012年4月携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<SoftBank>

※「iPhone 4S/4」は容量の異なるモデルを合算(発売年月は最初に発売された時期)
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 4S(SoftBank) - 800 55.1 2011/10
2 シャープ PANTONE 4 105SH 320 6.8 2012/03
3 ZTE みまもりケータイ 005Z - 3.8 2011/03
4 ZTE みまもりケータイ2 101Z - 3.8 2012/04
5 パナソニック モバイルコミュニケーションズ COLOR LIFE 2 002P 320 3.7 2011/02
6 アップル iPhone 4 - 500 3.4 2010/06
7 シャープ かんたん携帯 008SH 320 3.0 2011/07
8 シャープ AQUOS PHONE 102SH 102SH 1210 2.7 2011/12
9 シャープ THE PREMIUM7 WATERPROOF 004SH 960 2.1 2011/01
10 シャープ AQUOS PHONE 104SH 104SH 1210 1.9 2012/02
「BCNランキング」2012年4月 月次<最大パネル>

夏モデルで画面サイズの大型化が進む?



 振り返ると、4月は約5.3インチの大画面、付属のタッチペン(Sペン)での操作を前提とした新しいスタイルを打ち出した「GALAXY Note SC-05D」の発売以外、端末に関する目新しい話題はなかった。4月6日の発売で月間ランキング10位、ドコモ内で5位という結果は、「ノート」という独自のコンセプトが受け入れられた証といえるだろう。

GALAXY Note SC-05D

 iPhoneは、初代以来、画面サイズを変更していない。モデルチェンジを重ねても、一貫して3.5インチのままだ。一方、Android搭載スマートフォンは、全体的に画面サイズの大型化が進んでおり、一部を除いておおむね4インチ台。これ以上の大画面化は、ポケットに入らない、片手で操作できないなどの理由で好ましく思わないユーザーもいるようだ。

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 KDDI(au)、NTTドコモは、5月15日・16日にそれぞれ新製品発表会を開催し、2012年夏モデルとして、さまざまなスマートフォンを発表するとみられる。発表内容によっては、いまの「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2強体制は、すぐさま崩れるかもしれない。どんな端末が発表されるか楽しみだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


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