2010年12月の携帯電話ランキング、Android搭載スマートフォンが4位まで独占

特集

2011/01/14 20:36

 スマートフォンの勢いが止まらない。根強い人気をもつiPhoneと、10月から12月にかけて続々と発売されたAndroid搭載スマートフォンがその原動力だ。「BCNランキング」によると、2010年12月の携帯電話全体の販売台数に占めるスマートフォンの割合は、11月の35.5%から12.6ポイント増の48.1%まで上昇した。5割突破には至らなかったものの、前月からの増加幅は、2010年4月の10.2ポイントを上回る過去最大値を記録。いよいよ本格的な普及期に入ったといえるだろう。


ワンセグ非対応でも人気! 10月発売の「GALAXY S」がトップに浮上



 まず、SIMフリー端末を含む全キャリア合算の携帯電話全体の販売台数ランキングをみてみよう。「BCNランキング」によると、2010年12月の携帯電話全体の販売台数1位は、10月28日発売のNTTドコモのサムスン電子製のAndroid搭載スマートフォン「GALAXY S SC-02B」だった。

2010年12月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>
順位 キャリア メーカー 品名 型番 タイプ 発売年月
1 NTTドコモ SAMSUNG(サムスン電子) GALAXY S SC-02B スマートフォン 2010/10
2 NTTドコモ シャープ LYNX 3D SH-03C スマートフォン 2010/12
3 au シャープ IS03 IS03 スマートフォン 2010/11
4 NTTドコモ 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ REGZA Phone T-01C T-01C スマートフォン 2010/12
5 SoftBank アップル iPhone 4 32GB iPhone 4 32GB スマートフォン 2010/06
6 SoftBank アップル iPhone 4 16GB iPhone 4 16GB スマートフォン 2010/06
7 NTTドコモ パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-07B P-07B - 2010/09
8 NTTドコモ 富士通 F-01C F-01C - 2010/11
9 NTTドコモ SAMSUNG(サムスン電子) GALAXY Tab SC-01C スマートフォン 2010/11
10 SoftBank シャープ GALAPAGOS 003SH スマートフォン 2010/12
※太字は2010年12月発売
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>

 前月1位だったKDDI(au)のスマートフォン「IS03」は、3位に後退。12月3日発売のNTTドコモのスマートフォン「LYNX 3D SH-03C」は2位に入り、同じくドコモの12月17日発売のスマートフォン「REGZA Phone T-01C」も4位に食い込んだ。

 これら新製品に押し出されるかたちで、前月2位・3位だった「iPhone 4」の32GBモデルは5位、同16GBモデルは6位にダウンした。32GBモデルと16GBモデルを合算すると、1位の「GALAXY S」を0.7ポイント上回って1位にはなるものの、発売直後の7-8月のようなダントツのトップというわけではない。

 1位の「GALAXY S」は、「IS03」をはじめとする国内メーカー製の最新スマートフォンとは異なり、「ワンセグ」や「おサイフケータイ」など、日本の携帯電話ではならではの便利な機能には対応していない。しかし、OSにAndroid 2.2を搭載し、画面がきれい、動作が速いなど、ユーザーからはおおむね高い評価を得ている。

GALAXY S SC-02B

 こうした口コミ情報の広まりや、入荷待ちの品薄状況の改善などが重なり、「GALAXY S」の販売台数は10月から右肩上がりで上昇。10月に5位、11月に4位そして12月はついに1位に浮上した。同じサムスン電子製の7インチの大画面スマートフォン「GALAXY Tab」も、11月の24位から9位に大きくランクアップしている。

ハイエンド端末を求める層がスマートフォンにシフト



 続いて、主要3キャリア、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルについて、それぞれ2010年12月の月間トップ10を紹介しよう。

 NTTドコモは、「GALAXY S SC-02B」が1位、「LYNX 3D SH-03C」が2位、「REGZA Phone T-01C」が3位につけ、トップ3はスマートフォンが占めた。従来型の携帯電話では、4位の「P-07B」が最上位。常にランキング上位につけていた「らくらくホン」シリーズの端末は姿を消している。

2010年12月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<NTTドコモ>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 SAMSUNG(サムスン電子) GALAXY S SC-02B 約500万 ストレート 2010/10
2 シャープ LYNX 3D SH-03C 約960万 ストレート 2010/12
3 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ REGZA Phone T-01C T-01C 約1220万 ストレート 2010/12
4 パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-07B P-07B 約510万 折りたたみ 2010/09
5 富士通 F-01C F-01C 約1320万 回転2軸 2010/11
6 SAMSUNG(サムスン電子) GALAXY Tab SC-01C 約320万 ストレート 2010/11
7 NECカシオモバイルコミュニケーションズ N-02C N-02C 約1320万 折りたたみ 2010/11
8 シャープ AQUOS SHOT SH-01C 約1410万 回転2軸 2010/11
9 パナソニック モバイルコミュニケーションズ LUMIX Phone P-03C 約1320万 スライド 2010/12
10 富士通 F-02C F-02C 約1220万 折りたたみ 2010/11
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>

 2位のシャープ製スマートフォン「LYNX 3D」は、その名の通り、「3D」に対応。専用メガネをかけずに、裸眼で立体的な3D映像を視聴したり、3D写真を撮影したりできる。今はまだ対応機器は少ないが、今後、スマートフォンに限らず、さまざまなモバイル機器が「裸眼3D」に対応しそうだ。3位の富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の「REGZA Phone T-01C」は、スマートフォンでは初のIPX5・IPX7相当の防水性能をもち、角ばったデザインが特徴だ。

左からLYNX 3D SH-03C(Fairy Blue)、REGZA Phone T-01C(Mellow Bordeaux)

 どちらも発売直後は品薄で、いざ買おうと思っても、予約待ち・入荷時期未定で、なかなか手に入れられなかったようだ。順位は発売時期と在庫状況によるところが大きく、週次集計では、昨年11月下旬以降、毎週のように1位が入れ替わっている。ちなみに、直近の2011年1月第1週(2011年1月3日-9日)は、「LYNX 3D」がトップだ。

 KDDI(au)は、Android搭載スマートフォン「IS03」がトップ。2位から10位までは従来型の携帯電話が並び、すべて発売からやや日数の経った旧機種だった。12月23日発売のスマートフォン「SIRIUS α IS06」は、22位にとどまっている。

2010年12月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<au>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 シャープ IS03 IS03 957万 ストレート 2010/11
2 日立コンシューマエレクトロニクス beskey HIY02 808万 折りたたみ 2010/06
3 京セラ 簡単ケータイ K004 K004 197万 折りたたみ 2010/02
4 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ Cyber-shotケータイ S003 S003 1209万 スライド 2010/05
5 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ URBANO BARONE SOY03 514万 折りたたみ 2010/02
6 京セラ K006 K006 331万 折りたたみ 2010/09
7 京セラ 簡単ケータイ K005 K005 331万 折りたたみ 2010/06
8 京セラ SA002 SA002 808万 スライド 2010/05
9 カシオ EXILIMケータイ CA005 CA005 1295万 回転2軸 2010/05
10 京セラ K002 K002 320万 折りたたみ 2009/05
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>

 ソフトバンクモバイル(SoftBank)は、ドコモ同様、トップ3はすべてスマートフォンが占めた。1位は「iPhone 4」の32GBモデル、2位は同16GBモデル。3位には、「LYNX 3D」同様、裸眼で3D映像を視聴できるシャープ製のスマートフォン「GALAPAGOS SoftBank 003SH」が入った。

2010年12月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<SoftBank>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 アップル iPhone 4 32GB iPhone 4 32GB 500万 ストレート 2010/06
2 アップル iPhone 4 16GB iPhone 4 16GB 500万 ストレート 2010/06
3 シャープ GALAPAGOS 003SH 960万 ストレート 2010/12
4 シャープ PANTONE 3 001SH 320万 折りたたみ 2010/11
5 パナソニック モバイルコミュニケーションズ COLOR LIFE 840P 840P 200万 折りたたみ 2009/12
6 シャープ ガンプラケータイ 945SH G Ver.GP30th 945SH G 1210万 回転2軸 2010/09
7 シャープ mirumo2 944SH 800万 折りたたみ 2010/06
8 シャープ Jelly Beans 840SH 840SH 200万 折りたたみ 2010/02
9 シャープ AQUOS SHOT 002SH 002SH 1410万 回転2軸 2010/11
10 シャープ AQUOS SHOT 945SH 945SH 1210万 回転2軸 2010/07
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>

 前述の通り、2010年12月の携帯電話全体の販売台数に占めるスマートフォンの比率は5割目前の48.1%に達した。しかし、2010年年間を通してみると、スマートフォンの比率は21.4%にとどまり、依然として従来型の携帯電話の販売台数のほうが多かった。しかし、昨年秋以降の売れ行きをみる限り、逆転は時間の問題だ。

 若干の揺り戻しはあるだろうが、物理的なボタンで操作し、iモードなどの閉じた携帯インターネットを利用する従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)から、タッチ操作やアプリのインストールによるカスタマイズ、OSアップデートなどを特徴とする「スマートフォン」への流れは止まらないだろう。特に、高画素カメラ、大画面ディスプレイを搭載したハイエンド端末は、スマートフォンとの差別化が難しくなり、従来ならハイエンド端末を選んでいた層は、より大画面・高性能で、話題性の高いスマートフォンにシフトしているようだ。

 2011年は、最終的に、スマートフォンが販売台数の6、7割を占めるようになるのではないだろうか。そのなかで、どのメーカー、どのOS、どの端末が人気を得るのか――新機種の動向など、今年もし烈な戦いをお伝えしていく。(BCN・嵯峨野 芙美) 

→2011年1月のランキングはこちら(2011年1月の携帯電話ランキング、「GALAXY S」が2か月連続トップ)

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