2010年9月の携帯電話ランキング、iPhone 4 32GBがトップ獲得も2位とは僅差

特集

2010/10/08 19:49

 2010年7月・8月の携帯電話ランキングでは、2位以下を大きく引き離してダントツのトップだった「iPhone 4」の32GBモデル。9月もトップを維持したものの、2位の「Xperia」とはわずか0.1ポイント差だった。携帯電話全体の販売台数に占めるスマートフォンの比率は、8月の20.2%から過去最大の27.8%に上昇。トップ3は、「iPhone 4」と「Xperia」が独占した。

spモード開始で「Xperia」人気復活、1位に0.1ポイント差まで迫る



 「BCNランキング」によると、スマートフォンを含む、2010年9月の携帯電話全体の販売台数1位はソフトバンクモバイルのアップル製スマートフォン「iPhone 4」の32GBモデル、2位はNTTドコモのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のAndroid搭載スマートフォン「Xperia SO-01B」、3位は1位と同じ「iPhone 4」の16GBモデルだった。

2010年9月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>
順位 キャリア メーカー 品名 型番 タイプ 発売年月
1 SoftBank アップル iPhone 4 32GB iPhone 4 32GB スマートフォン 2010/06
2 NTTドコモ ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ Xperia SO-01B スマートフォン 2010/04
3 SoftBank アップル iPhone 4 16GB iPhone 4 16GB スマートフォン 2010/06
4 au 日立コンシューマエレクトロニクス beskey HIY02 - 2010/06
5 au 京セラ 簡単ケータイ K004 K004 - 2010/02
6 NTTドコモ パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-07B P-07B - 2010/09
7 NTTドコモ 富士通 らくらくホン7 F-09B - 2010/07
8 au ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ URBANO BARONE SOY03 - 2010/02
9 NTTドコモ 富士通 F-06B F-06B - 2010/06
10 NTTドコモ NECカシオモバイルコミュニケーションズ N-06B N-06B - 2010/06
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年9月 月次<最大パネル>

 「Xperia」の月間販売台数は、発売直後の4月をピークに減少傾向にあったが、9月は前月から大幅に増加した。iモードと同じメールアドレスが使えるスマートフォン向けISP「spモード」が9月1日からスタートし、スマートフォンの大きな弱点だった「今まで使っていたメールアドレスが使えない」という問題を解消したことが最大の要因だろう。

「spモード」の開始とともに大きく販売台数が伸びた「Xperia」

 もちろん、「iPhone 4」の32GBモデルと16GBモデルを合算すれば、7月8月同様、ダントツの1位であることには変わりはない。しかし、これまで32GBモデルに集中していた「iPhone 4」の人気が分散してきたことと、ドコモのスマートフォン向けサービスの強化が重なり、「iPhone 4」の32GBモデルのシェア9.3%に対し、「Xperia」が9.2%と、わずか0.1ポイント差まで接近した。9月1日~9月28日までの途中集計では「Xperia」がトップに立ったほど、差は小さい。

メモリ容量が異なる32GBモデルと16GBモデルをラインアップする「iPhone 4」

 続いて、主要3キャリア、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルについて、それぞれ2010年9月の月間トップ10を紹介しよう。

 NTTドコモは、前月に引き続き、「Xperia」が1位を獲得。2位には9月発売のパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P-07B」、3位には富士通製のシニア向け携帯電話「らくらくホン7」が入った。

2010年9月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<NTTドコモ>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ Xperia SO-01B 約810万 ストレート 2010/04
2 パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-07B P-07B 約510万 折りたたみ 2010/09
3 富士通 らくらくホン7 F-09B 約810万 折りたたみ 2010/07
4 富士通 F-06B F-06B 約1320万 スライド 2010/06
5 NECカシオモバイルコミュニケーションズ N-06B N-06B 約510万 折りたたみ 2010/06
6 富士通 らくらくホン ベーシックII F-07A 約200万 折りたたみ 2009/04
7 富士通 ekubo F-08B 約510万 折りたたみ 2010/06
8 富士通 F-07B F-07B 約1220万 回転2軸 2010/05
9 シャープ AQUOS SHOT SH-07B 約1210万 回転2軸 2010/05
10 パナソニック モバイルコミュニケーションズ VIERAケータイ P-06B 約1320万 回転2軸 2010/07
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年9月 月次<最大パネル>

 KDDI(au)は、6月発売の「beskey HIY02」が前月10位から大幅ランクアップで1位を獲得。また、シャープ製のAndroid搭載スマートフォン「IS01」がトップ10内に再登場した。7月は9位、8月は16位だったが、9月は10位と、再び順位を上げてきた。スマートフォン向けキャンペーン「ISデビュー割」(キャンペーン期間の延長に伴い、現在は「IS01/02割」に名称を変更)の効果が出たようだ。

2010年9月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<au>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 日立コンシューマエレクトロニクス beskey HIY02 808万 折りたたみ 2010/06
2 京セラ 簡単ケータイ K004 K004 197万 折りたたみ 2010/02
3 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ URBANO BARONE SOY03 514万 折りたたみ 2010/02
4 京セラ SA002 SA002 808万 スライド 2010/05
5 京セラ K002 K002 320万 折りたたみ 2009/05
6 シャープ AQUOS SHOT SH008 SH008 1210万 回転2軸 2010/06
7 京セラ 簡単ケータイ K005 K005 331万 折りたたみ 2010/06
8 東芝 T003 T003 322万 折りたたみ 2009/11
9 シャープ SOLAR PHONE SH007 SH007 800万 折りたたみ 2010/06
10 シャープ IS01 IS01 527万 折りたたみ 2010/06
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年9月 月次<最大パネル>

大幅ランクアップで1位を獲得した「beskey」

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 ソフトバンクモバイル(SoftBank)は、トップ10の顔ぶれにほとんど変動はなかった。「iPhone 4」の32GBモデル、16GBモデルが1位・2位を占め、3位以下はシャープ、パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の従来タイプの携帯電話が並ぶ。

2010年9月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<SoftBank>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(画素) 形状 発売年月
1 アップル iPhone 4 32GB iPhone 4 32GB 500万 ストレート 2010/06
2 アップル iPhone 4 16GB iPhone 4 16GB 500万 ストレート 2010/06
3 パナソニック モバイルコミュニケーションズ COLOR LIFE 840P 840P 200万 折りたたみ 2009/12
4 シャープ Jelly Beans 840SH 840SH 200万 折りたたみ 2010/02
5 シャープ THE PREMIUM6 WATERPROOF 841SH 320万 折りたたみ 2010/06
6 シャープ AQUOS SHOT 945SH 945SH 1210万 回転2軸 2010/07
7 シャープ THE PREMIUM5 942SH 800万 折りたたみ 2010/02
8 SAMSUNG AQUA STYLE 840SC 840SC 314万 折りたたみ 2010/06
9 シャープ かんたん携帯 843SH 320万 折りたたみ 2010/08
10 シャープ ガンプラケータイ 945SH G Ver.GP30th 945SH G 1210万 回転2軸 2010/09
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2010年9月 月次<最大パネル>

 注目は、10位に入った「ガンプラケータイ 945SH G Ver.GP30th」。テレビアニメ『機動戦士ガンダム』ではなく、ガンダムのプラモデル「ガンプラ」の30周年を記念した特別仕様モデルで、2007年発売の「シャア専用ケータイ」ほど話題になっていないようにみえたが、やはりガンダム人気は根強かった。数量限定販売だが、ソフトバンクモバイルのオンラインショップでは、10月8日現在、まだ購入することができる。

携帯電話のメーカー別シェア、シャープはダウンでアップルが伸びる



 携帯電話業界では、10月に入って、いくつかトピックスがあった。一つには、富士通と東芝の携帯電話事業の統合と新会社の発足。もう一つが、au、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルから、Android搭載スマートフォンが相次いで発表されたことだ。

 特に11月下旬発売予定のauのシャープ製Android搭載マートフォン「IS03」は、おサイフケータイやワンセグ、赤外線通信などに対応し、従来の携帯電話とスマートフォンのイイとこ取りの1台。auのスマートフォンに対する意気込みがうかがえる(詳しくは「auスマートフォン第3弾、おサイフケータイ対応の「IS03」、カラーはオレンジも」を参照)。ドコモは、SAMSUNG電子製の「GALAXY S」を発表、さらに11月には、追加で5機種のスマートフォンを発表する予定という。

 2010年9月の携帯電話全体のメーカー別販売台数1位は、主要3キャリアすべてに端末を供給するシャープが獲得。シェアは16.7%だった。2位は「iPhone」のアップルで、シェアは16%。以下、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(13.2%)、NECカシオモバイルコミュニケーションズ※(12.6%)、富士通(11.7%)、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(11.7%)、京セラ(9.8%)と続く。富士通と事業統合する東芝はシェア4.1%で8位だった。

※NECカシオモバイルコミュニケーションズの数値は、事業統合後に発売した製品と、事業統合前に個々のメーカーが発売した製品の販売台数を合算して集計

 この上位7社に限って、過去1年間のシェアの推移をみると、2010年4月以降、1位のシャープのシェアがダウンし、7月以降は、アップルが大きく伸びている。その他のメーカーは月によってかなり上下している。2008年に「D」の略称で知られた三菱電機が撤退、2010年6月には、NECとカシオ、日立の携帯電話事業を統合し、新たにNECカシオモバイルコミュニケーションズが発足するなど、国内の携帯電話メーカーの再編が進む。その一方で、ここ数か月のアップルの躍進には目覚ましいものがある。


 2010年9月の携帯電話全体の販売台数に占めるスマートフォンの比率は、過去最大の27.8%を記録し、1か月間に新たに販売された携帯電話の3割近くに達した。新サービス「spモード」のスタートが最大の要因と思われる「Xperia」の9月の好調ぶりをみると、手持ちの携帯電話からスマートフォンへの乗り換えの条件として、「従来の携帯電話のアドレスが使えること」に対するニーズはかなり高そうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。