5月28日のiPad発売からまもなく1か月。欲しい人は手にすることができただろうか? まだ迷っている人向けに、量販店のPOSデータを集計した「BCNランキング」をもとに、どのモデルが売れているのかを紹介しよう。また、実際にiPadを使った体感をもとに、同じアップル製品のiPhoneを含め、オススメモデルを考えた。

Wi-Fi+3Gの64GBモデルが一番人気!



 マルチタッチに対応した9.7インチのIPS液晶を備え、インターネットや写真・ビデオ・電子書籍の閲覧など、さまざまな用途で活用できるiPad。3Gの通信機能の有無と容量の違いで、計6モデルをラインアップする。なかでも悩みどころは、3GとWi-Fi(無線)の両方に対応し、外出先でもインターネットにアクセスできる「Wi-Fi + 3Gモデル(3Gモデル)」と、Wi-Fiのみに対応する「Wi-Fiモデル」、どちらを選ぶかだろう。

iPad Wi-Fi + 3G 64GBモデル(購入先は自宅最寄りの量販店)

 発売日の5月28日を含む、2010年5月第4・第5週、6月第1・第2週のおよそ3週間(2010年5月24日-6月20日)の累計販売台数を集計すると、一番人気は3Gの64GBモデル「MC497J/A」だった。シェアは38.0%で、期間中のiPad全体の販売台数の4割近くを占める。2位から4位まではWi-Fiモデルの64GB、32GB、16GBが並び、その後、3Gモデルの32GB、16GBが続く。

iPad モデル別 販売台数シェア
(2010年6月20日までの累計)
順位 品名 型番 タイプ 販売台数
シェア(%)
価格(円)
1 iPad Wi-Fi + 3G 64GB MC497J/A 3G 38.0 81,800
2 iPad Wi-Fi 64GB MB294J/A Wi-Fi 14.7 68,800
3 iPad Wi-Fi 32GB MB293J/A Wi-Fi 13.8 58,800
4 iPad Wi-Fi 16GB MB292J/A Wi-Fi 13.7 48,800
5 iPad Wi-Fi + 3G 32GB MC496J/A 3G 13.6 71,800
6 iPad Wi-Fi + 3G 16GB MC349J/A 3G 6.1 61,800
「BCNランキング」2010年5月第4週~6月第2週 週次<最大パネル>

 発売第1週となる5月第4週(5月24日-5月30日)は、3G 64GB、Wi-Fi 64GB、Wi-Fi 32GB、Wi-Fi 16GBと、3G 32GB、3G 16GBと、3Gモデル、Wi-Fiモデルともに、容量が大きい順に多く売れていたが、翌週はWi-Fi 16GBが2位に、その翌週の6月第1週は3G 32GBが2位、Wi-Fi 16GBが3位と、順位が変動している。直近の6月第2週(6月14日-6月20日)は、3G 64GB、3G 32GB、Wi-Fi 32GBの順だった。

 3GモデルとWi-Fiモデルの比率をみると、期間中の累計では、3Gモデルが57.7%、Wi-Fiが42.3%だった。時系列では、週を追うごとに3Gモデルの比率が増し、6月第2週は、3Gモデルの比率は65.8%に達した。Wi-Fiモデルはほとんど入荷がないらしく、在庫不足が響いているようだ。


 洗練されたデザイン、わかりやすいラインアップとは裏腹に、iPadの販売経路は複雑だ。取扱い店舗は、一部の家電量販店、ソフトバンクショップとApple Store(アップルストア)のみ。しかも、回線契約が必要な3Gモデルは実店舗でしか購入できず、オンラインのApple Storeでは購入できない。そのため、発売日時点で、県内にiPad取扱店がなかった青森、秋田、鳥取、島根、山口、佐賀の6県の在住者は、県外まで出かけないと3Gモデルを購入できなかった。

 近所にiPad取扱店がない、わざわざ予約しに行くのが面倒、家にいながら買えるネット通販の方がいい、といった理由から、購入希望者の多くがオンラインのApple Storeに流れたとみられる。「BCNランキング」の集計データには、ソフトバンクショップとApple Storeで売れた分は含まれていない。こうした事情を差し引くと、一概に3Gモデルが人気とはいえないだろう。トータルでは、やはりWi-Fiモデルの比率が高そうだ。

実際に使ってわかった! iPad/iPhone選びのキモ



 6月24日には、同じくアップルのプロダクトである「iPhone 4」が発売となる。操作方法をはじめ、共通する要素も多く、iPadと新しいiPhone、どちらを購入しようか迷っている人もいるだろう。困ったことに、現状、どちらも基本的に予約しなければ購入できず(iPhone 4の予約受付は6月18日でいったん停止)、店頭で見かけたら即購入、というわけにはいかない。iPadのWi-Fiモデル以外、回線契約料や通信費がかかるので、経済的にも慎重に選びたい。

 1番人気のWi-Fi + 3G 64GBモデルを発売直後に購入し、実際に使った印象をもとに、ニーズやライフスタイル別にどのモデルがよいか、考えた。個人的な体験に基づく独断と偏見によるものだが、購入時の参考にしていただきたい。

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▽iPhoneがオススメ
・1台で何でも済ませたい
・携帯電話の番号やメールアドレスを変更してもいい
・移動は主に徒歩/自転車/電車
・電車乗車時は座れない、常に立っている

▽iPad 3G + Wi-Fiモデルがオススメ
・外出先や旅行先でiPadを使いたい
・iPhoneを持っていない(購入予定なし)
・iPadのGPS機能(ナビ機能)が使いたい
・手持ちの携帯電話の番号やメールアドレスを変更したくない
・移動は主に徒歩/電車/自動車

▽iPad Wi-Fiモデルがオススメ
・基本的に家のなかでしか使わないつもり
・iPhoneを持っている(購入予定)
・iPadのGPS機能はなくてもよい、重視しない
・無線LAN対応機器を複数持っている、好きな回線会社を選びたい

▽Windowsの高性能モバイルノートや、今後登場する他社のタブレット型端末がオススメ
・Windowsでしか動作しないウェブサービスやソフトを外出先で使いたい
・iTunes Store アカウントを持っていない、作りたくない
・端末だけで地上デジタル放送を見たい

 このうち、iPad 3G + Wi-Fi/iPad Wi-Fiモデルの推奨理由について説明しよう。筆者の場合、iPadを自宅と電車通勤中に使おうと考えていた。主な用途はインターネット。できればiPadで原稿を書きたかったが、文字入力時の押し間違いの多さと日本語入力の変換精度の悪さのため、それはかなり厳しいとわかった。

iPadのテキスト入力画面。たとえば「の」と入力すると、変換候補が表示される。
日本語の変換精度はもう少し改善して欲しいところ

 実際に3週間ほど持ち歩いてみて、3Gモデルの730gという重さや大きさは、特に苦痛に感じることはなかった。それよりも、ソフトバンクの3G回線の重さが気になった。読みたいWebページがなかなか表示されない。特に高速で走行している電車内では遅く、途中で電波が途切れることもあった。その点で、3Gモデルではなく、Wi-FiモデルかiPhone 4を待ってから買うべきだったのでは? と軽く後悔した。

 しかし、iPadのWi-Fiモデルでは、外出先でネットにつなぐことはできず、自分の目的にマッチしない。GPS機能を利用できる点も、3Gモデルの大きなアドバンテージだ。まだほとんど使っていないが、iPadとGPSの組み合わせは、これまでにない可能性を感じる。
 

「マップ」の画面。
GPSで現在地を計測、目的地までの自動車/電車/徒歩での経路を表示できる

 iPhoneに比べ、ランニングコストを抑えられる点も個人的には良かった。iPhoneを買い増し、二つの携帯電話を持つのは心理的に抵抗があった。かといって、現在使っている携帯電話用のメールアドレスを変更するのは嫌だった。従来のケータイとiPadの組み合わせなら、電話番号・メールアドレスを変えずに、iPhone同様の体験を味わうことができる。iPad Wi-Fiモデルだと、こうはいかない。

 iPad専用のデータ定額プランの料金は月額4410円、これにiPad向けの割引(月月割)が適用されると、iPad向け専用契約加入後2か月目から24か月間は月額2910円となる。iPhone 4でパケットし放題の定額制プランを選択した時の月額料金よりいくらか安い。iPadは通話ができないとはいえ、ネットやメール、アプリの利用に関していえば、画面が大きい分、お得な気がする。

 iPadはiPhoneより画面が大きい。それがメリットであり、デメリットでもある。電車内で使いたいと考えていて、新聞を広げられないような満員電車に乗っている人は、迷わずiPhoneをオススメしたい。混雑した車内では、iPadをカバンから取り出すことすら難しい。やはりiPhone程度の大きさがベストだ。

iPhone 4とiPad(画像はアップルのサイトより)

 筆者の場合、乗車駅の関係でほぼ100%着席して通勤している。座って使う分には、まったく問題ない。iPadの大きな画面、最長9時間(Wi-Fiモデルは10時間)持つ長時間バッテリがそのままメリットになる。ディスプレイへの写り込みも、晴天の午前中以外は気にならなかった。ただ、使用する角度によっては、隣の席から覗き込まれてしまうため、できればプライバシーフィルタが欲しいと感じた。

 iPadは、使い方次第でイロイロなモノに変わる。プライベート、ビジネスどちらにも活用できる。ある人は自宅でネット端末やデジタルフォトフレームとして、ある人はモバイル端末として、持ち主の数だけで使い方があるといっても過言ではない。「3Gモデル」と「Wi-Fiモデル」の二つのモデルがあることが、その活用の幅をさらに広げている。もう少し経ったら、どのモデルがどれくらい売れたのかなど、国内での販売状況がより鮮明になるだろう。そのとき、「iPadとは何なのか?」という問いの答えが出そうな気がする。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。

*アップルの「iPad」は、3G回線を使ってデータ通信が可能なWi-Fi+3Gモデルを含め、現在すべて「ノートPC」に分類しています。