シャープ、10年度の経営戦略は液晶・携帯とも中国市場に注力

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2010/05/18 11:48

 シャープは5月17日、都内で2010年度の経営戦略説明会を開催した。液晶テレビ事業では、最新技術を搭載したモデル中国を中心に拡販。携帯電話事業では、スマートフォンや高機能モデルを世界で展開する。会見で片山幹雄社長は、「全社で取り組んで達成させる」と抱負を述べた。

シャープの片山幹雄社長

 液晶テレビ事業は、高性能パネルへの需要が高まるとみて、高い輝度やコントラストなどを実現した技術「UV2A(ユーブイツーエー)」と赤・緑・青・黄の4色で色再現性を高める「4原色技術」を組み合わせた液晶パネル「クアトロン」搭載モデルを販売の軸に据え、10年中に全世界で展開する。クアトロンを搭載した「AQUOS」は、米国・欧州では4月に発売しているが、日本・中国でも今夏に投入。その後、新興国でも販売する。

 2010年3月期の液晶テレビの販売台数は、最新モデルを中心に1500万台を目指す。特に中国市場に注力し、販売店店舗数を2010年3月時点の5200店から同年12月には1万店にまで増やし、機種数も24から30以上に拡充する。2011年3月期には、販売台数で前期比2倍の240万台を目指す。米国は2010年3月期比で1.4倍の230万台、欧州では同1.2倍の160万台を計画する。

 携帯電話事業は、スマートフォンと高機能モデルの二本柱を全世界で展開する。スマートフォンは、マイクロソフトと共同開発したSNSの利用機能などを高めた「KIN(キン)」など、独自機種の品揃えを増やす。

 高機能モデルは、ハイビジョンの3D映像が撮影できる携帯電話用カメラモジュールと、2D/3Dの表示切り替えができる液晶ディスプレイを搭載したモデルの投入を計画。3Dカメラと液晶は、スマートフォンにも採用していく予定だ。

 海外での販売も加速する考えで、すでに進出した中国市場では、10年中に35機種以上を投入。販売店も09年9月の3500店から10年中には1万店にまで増やす。

 健康・環境事業は、国内販売が好調なプラズマクラスターイオン発生機や、同機能を搭載したエアコンなどの白物家電を中国やアジア地域でも展開。LED(発光ダイオード)照明事業は、国内向けに一般家庭や業務用の機種を増やし、コスト削減を進めると同時に法人市場を開拓する。海外では、置き替えが始まった需要の取り込みを図る。

 太陽電池事業は、発電所用の太陽電池が09年の18%から2012年には33%まで高まるとみており、発電所需要の増加を背景に販売量を増やす計画だ。

 発電所用太陽電池では、結晶タイプに比べてシリコンの使用量が大幅に少ない薄膜タイプの販売に力を入れる。11年3月期は薄膜タイプが09年3月期の8.4倍の270メガワット、結晶タイプが前年比1.5倍の1200メガワットの販売量を計画している。