「ワイヤレス」がキーボード市場のカギ、各社高価格モデルに注力

特集

2009/12/11 19:52

 キーボードは現在、高価格帯モデルと低価格帯モデルの二極化が進んでいる。メーカーはシンプルで安価なモデルを揃える一方で、ワイヤレス製品など高価格帯モデルにも力を入れはじめた。「BCNランキング」と主要メーカーへのインタビューをもとに、今後のトレンドを探った。

 通常キーボードはPCに標準で付属してくるもので、ゲーマーなど使い心地にこだわる一部のマニア層以外は、壊れたら買い換えるというのが一般的だった。しかし、最近ではデスクトップPCに比べて作業スペースの狭いノートPCが普及したことで、一般ユーザーも手に取るようになってきた。「BCNランキング」をみると、2009年の販売数量は前年を上回るかたちで好調に推移している。一方、数量に比べて金額が伸びないのは、平均単価が下がっているから。09年11月は2981円と、前年同月に比べて308円値下がり、メーカーとしてはこれを上げて行くことが課題となる。


 そこで、主要メーカーは高価格帯モデルに注力しはじめた。09年11月のメーカー別・販売数量シェアで首位のエレコムは、10月に特殊な成形方法でキートップに透明感を出した「TK-FCP011」、11月にBluetooth対応の「TK-FBP014」「TK-FBP013」を発売し、高価格帯の製品を拡充。これらについて営業部 営業企画課 広報担当の新谷直子氏は「発売直後ながら売れ行きは好調。今後も一般ユーザー向けにデザインに凝った製品を投入していく」と語る。

エレコムの「TK-FCP011」(シルバー)と「TK-FBP013」(ホワイト)

 2位のロジクールも、一つのレシーバーで対応する入力機器を最大6台まで接続できる、独自のワイヤレス技術「Unifying(ユニファイング)」を採用した製品を年末から来年にかけて拡充し、平均単価の向上を図る。

「Unifying」を採用したロジクール「Wireless Keyboard K340」

 加えて量販店と協力して「キーボードやマウス等の入力機器を製品単体でみせるのではなく、ノートPC売り場にも展示するなど、製品をクロスさせた利用シーンを提示していくことで、顧客単価を上げていく」(プロダクトマーケティング プロダクトマネージャー・古澤明仁氏)ことを狙う。

 両社が力を入れるワイヤレスキーボードは、ネットブックなどモバイルPCの外付けキーボードとして利用するユーザーが増えたことから、シェアを伸ばしている。09年11月現在のキーボード全体のうち、ワイヤレス製品の販売数量シェアは25.9%。19.7%だった前年同月に比べて6.2%伸び、今後もシェアが拡大するのは間違いない。


 2010年はネットブックやCULVノートなど、ノートPC市場の盛り上がりとともに、キーボードを含む入力機器市場はさらに成長していくだろう。(BCN・武井美野里)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。