リコー、近藤社長の本気デジカメ登場、レンズ交換式「GXR」発売へ

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2009/11/10 18:50

 リコーは11月10日、撮影意図にあわせて、レンズ・撮像素子・画像処理エンジンからなる「ユニット」を交換できるデジタルカメラ「GXR」を12月上旬から発売すると発表した。価格はオープンで、ボディのみの実勢価格は5万円前後。

GXR

 近藤史朗・社長執行役員は、「プリンタ事業と関連の薄いデジカメ事業は今後どうするのか」という弊社記者の質問に対し、「技術のリコーとして、デジカメは本気で取り組む分野」と事業縮小を否定。今回の「GXR」は、その時の本気度を具体化した製品といえる。

 「GXR」は、ボディ内に撮像素子を搭載せず、「レンズ・撮像素子・画像処理エンジン」が一体になった「カメラユニット」をボディに着脱することで、幅広い撮影シーンに対応できるようにしたユニット交換式カメラシステム。 

ボディとカメラユニットはスライド機構で接続する

 コンパクトデジタルカメラ並みのサイズで、高画質・高機動性や高い拡張性の実現を図っており、レンズ交換ができるデジタルカメラとしては世界最小・最軽量を実現した。


 ボディには各種操作機構や液晶モニタ、内蔵式フラッシュ、カードスロットなどを搭載。本体のスライド式機構を利用してカメラユニットを取り付けることで撮影を行う。また、ユニットの撮像素子は密閉されているため、交換時にゴミが付着する心配がない。 

撮影時の設定が確認できる「DIRECT画面」

 背面モニタは3型で92万ドット表示のVGA液晶。現在の撮影設定を一覧で表示し、変更を行うことができる「DIRECT画面」を備え、撮影時の設定変更が簡単に行える。また、電子水準器や3パターンのグリッドガイドなどの機能も備える。

 発売時に用意するカメラユニットは、標準マクロレンズとAPS-Cサイズの撮像素子を組み合わせた「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」と、標準ズームレンズと小型CCDを組み合わせた「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」の2種類。なお、来年の5月頃を目途に、望遠レンズと高速撮影に対応するCMOSセンサーを組み合わせたカメラユニットの発売も予定している。 

GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

 「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」は23.6×15.7mmのAPS-Cサイズの撮像素子を採用したユニット。有効画素数は約1230万画素で、焦点距離は35mmフィルムカメラ換算で50mm。画像処理エンジンには同社「GR Digital III」と同じく「GR ENGINE III」を採用する。ポートレートやマクロ撮影時に被写界深度の浅さを生かしたボケ味を表現できる。 

「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」装着時

 レンズ構成は非球面レンズ1枚2面を含む8群9枚構成で、各種収差を徹底的に補正。電気的な補正が必要ないレベルにまで歪曲収差を補正したという。なお、製品名の「GR LENS」に関して、リコーでは「ある一定の性能をクリアしたレンズ」の呼称とし、今後発売するレンズに関しても統一したネーミングを行うとしている。

 シャッタースピードは180-1/3200秒で、ISO感度は200-3200。マクロ撮影時の撮影距離は約7cmで、最大撮影倍率は1/2倍。そのほか、マニュアルフォーカスリングを備え、マクロ撮影時などにより厳密なピント合わせができるほか、AF後にシームレスでピントの微調整も行える。実勢価格は7万5000円前後の見込み。ボディ装着時のサイズは幅113.9×高さ70.2×奥行き77.1mmで、重さ423g。 

RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC

 一方、「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」はスナップ撮影などに適したユニット。撮像素子は有効約1000万画素の1/1.7型CCDで、センサーシフト方式の手ブレ補正機能も備える。焦点距離は35mmフィルムカメラ換算で24-72mmで、ズームは光学3倍、デジタル4倍。画像処理エンジンは「CX2」にも搭載する「Smooth Imaging Engine IV」を採用した。 

「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」装着時

 レンズ構成は非球面レンズ4枚4面を含む7群11枚で、ワイド端での歪曲収差や色収差、周辺光量の低下を効果的に抑制する。シャッタースピードは180-1/2000秒で、ISO感度は100-3200。実勢価格は4万円前後の見込み。ボディ装着時のサイズは幅113.9×高さ70.2×奥行き44.4mmで、重さ325g。

 そのほか、0.37型で92万ドット相当の液晶ビューファインダーや、各種コンバージョンレンズといったアクセサリも用意する。また、ボディはカメラユニットなしでも動作するため、ストレージやプリンタといった用途別のユニットを取り付けて利用する可能性も模索中だとしている。

 湯浅一弘・パーソナルマルチメディアカンパニープレジデントは「GXR」のネーミングについて、「『GXシリーズ』の拡張性と、我々のレンズ交換式カメラ『XR』の2つの血統を受け継いだという点からきている」と説明。また、「GXR」は「GXシリーズ」の進化版という位置づけのため、同シリーズは「GXR」に「吸収するつもり」(湯浅氏・同上)だという。 

湯浅一弘・パーソナルマルチメディアカンパニープレジデント

 製品については「従来の一眼レフでは、レンズは選べたが撮像素子や画像処理エンジンは固定だった。しかし、『GXR』では撮影シーンに合わせ、3つを常にベストマッチの組み合わせで撮ることができる。これは非常に大きなメリット」と語った上で、「リコーは常に新しい価値を提供し、撮影領域の拡大を実現してきたと自負している。『GXR』では、コンパクトにこだわりながら、一眼レフでしかできない、一眼レフでもできない領域に足を踏み入れることができたのではないかと考えている」とアピールした。