日立マクセル、“記録”だけでなく“出力”のスピーカーを拡販

特集

2008/11/14 16:55

<strong>――松岡建志 コンシューマ販売事業部長</strong><br />
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 DVDディスクでトップに君臨する日立マクセルが事業領域を広げようとしている。

●“プロフェッショナル”を追求

松岡建志 コンシューマ販売事業部長


 「(DVDディスクを中心とした)記録メディア事業だけでなく、ほかの事業も伸ばしていく」。コンシューマ販売事業部長の松岡建志は、こう言い切る。アクセサリー分野では、アップル製の携帯型オーディオ「iPod」に対応したスピーカーの新製品を市場投入する。アンプ2台の搭載が特徴で、価格はオープンだが実勢は1万円前後。スピーカーのなかではリーズナブルだ。

 サイトから音楽コンテンツをダウンロード購入することが当たり前になってきた。こうした状況からスピーカーの拡販に力を入れ始めたわけだが、低価格に設定したのは「多くのユーザーに音楽を楽しんでもらいたい」との考えからだ。では、音質はどうなのか。「手を抜くのは好きではない。原価が高くなっても品質を追求する」。実際、今回の製品は利益率が低いという。音質にこだわるためにプロジェクトチームを結成し、納得できるまで何度も開発作業を繰り返した。

 「1枚10─100円単位のDVDディスクを販売してきた当社にとって、ユーザーに1万円を負担させるというのが高い商品を買わせるようで悪い。そういった意味でも、絶対に手を抜かない」。また、「ユーザーすべてが満足する高音質を提供していくことで当社の“ファン”を増やす。そうすれば、リプレースで上位機種を購入してくれるはず」との目論見もある。

 記録メディアでは、“My HDD”がコンセプトの「iVDR」を市場投入、持ち運びや保存の利便性で新しいニーズを生み出した。現段階では、日立製作所の薄型テレビ「Wooo」で使用可能であることが基本だが、「年内を目標に、iVDRのデータやコンテンツを、他のテレビやパソコンで視聴可能とするプレイヤーを発売する」計画も立てている。

 コンシューマ事業の拡大に向けて、今年度(2009年3月期)から「コンシューマ販売事業部」が設置された。これにより、開発から製造、販売、サポートまでを一貫して行える体制が整った。この組織の責任者として、営業部門での販売や企画、生産など多くの経験を持つ松岡が抜擢された。「モノづくりにこだわり、新しいことに挑戦し続ける」重要性を説く。「“プロフェッショナル”を追求している」からこそだ。(文中敬称略)(BCN 佐相彰彦)


週刊BCN 2008年11月17日付 Vol.1260より転載