PC買ったら即、導入 不正の種類で選ぶセキュリティソフト

特集

2007/07/08 13:14

 ブロードバンド環境が整ったいま、多くの人がネットにアクセスしてコンテンツを楽しんでいる。しかしその一方で、不正なプログラムの侵入や不正アクセスで突然パソコンが動かなくなったり、大切なデータが消失したりするトラブルが後を絶たない。その被害を未然に防ぐ心強い味方がセキュリティソフトだ。PCを買ったらまず導入しなければならないソフトでもある。攻撃といっても種類はさまざまで、セキュリティソフトも多種多様。“不正”の種類と特徴を学びながら、どのような対策ソフトを導入すればよいのか、考えていこう。

その1
他人にも迷惑をかけてしまう=コンピュータウイルス


 「コンピュータウイルス」とは、不正プログラムのこと。メールの受信やウェブサイトの閲覧など、さまざまな機会をとらえてPCの中に侵入してくる。いつものようにネットに接続しPCを操作しているだけなのに、知らない間にウイルスに感染していることがあるのだ。

 ウイルスの“悪さ”はさまざまで、単純に嫌がらせメッセージを表示する軽いものから、PCを動かなくする致命的なものまである。また、ウイルスは自分だけの被害だけではすまない。インターネットを通じて友人や知人、会社の同僚などにウイルスを送ってしまうことがある。あなたが加害者にもなってしまうのだ。

 こうした被害を防いでくれるのが「アンチウイルス(ウイルス対策)ソフト」とよばれるセキュリティソフトだ。導入することで、ウイルス感染を防ぐのはもちろん、インストールする以前にPCのなかに潜んでいるウイルスも見つけ出して駆除してくれる。

 代表的な製品として「Kaspersky AV 6.0V」(ジャストシステム)や「Norton AntiVirus 2007」(シマンテック)、「NOD32 アンチウイルス V2.7」(キヤノンシステムソリューションズ)などがある。いずれもインストールするだけで、あとはソフトが自動的にウイルスを監視・駆除するので、ユーザーに特別な知識は必要ない。初めて使う人でも、安心して導入できる。





その2
個人情報を盗み取っていく=スパイウエア

 スパイウエアは、ユーザーが気づかないうちにPCに侵入し、悪さをする点でウイルスといっしょ。侵入経路もほぼ同じで、メールでの受信や悪意あるサイトの閲覧、LAN経由で感染する。ウイルスと混同する読者が多いかもしれないが、被害はまったく異なる。

 スパイウエアは、PCのなかに保存する名前、電話番号などの個人情報や、PCの操作履歴情報をインターネットを通じて勝手に送信する。インターネット通販サイトの決済で、クレジットカード番号を入力した経験がある人は、クレジットカード番号を盗まれる危険性がある。登録していないのにメールマガジンやダイレクトメールが届くようになったり、クレジットカードの明細書に買ってもいない購入履歴があったりするかもそれない。ウイルスよりも、侵入や情報を盗まれたことに気づきにくいという点もやっかいだ。

 防御方法は、スパイウエア対策専門ソフトの導入。代表的な製品は「Spybot Search Destroy 1.4」(キヤノンシステムソリューションズ)や「SGアンチスパイ2」(ジャングル)がある。ただ、製品の傾向として、スパイウエアをウイルスの一つとしてとらえ、「アンチウイルスソフト」で、スパイウエアの侵入を防御・駆除するモデルがある。ウイルスとスパイウエアのどちらも防ぎたい人は、スパイウエア機能をもつアンチウイルスソフトを導入するのがいいだろう。


その3
泥棒がPCに入って来る=不正アクセス

 インターネットを通じて第三者のPCに侵入しようとする人を「クラッカー」と呼ぶ。このクラッカーの悪意ある攻撃を「不正アクセス」という。ウイルスやスパイウエアといった不正プログラムを使わずに、独自技術でパソコンに侵入。PCをクラッシュ(動作不能)させたり、個人情報を盗み出したりする。

 ルーターを使わずにインターネット接続しているユーザーの場合、「グローバルIPアドレス」とよばれるインターネットを使うために必要な番号がダイレクトに割り振られるために、悪意あるユーザーからの侵入を受けやすい。

 不正アクセスからPCを守るには「パーソナルファイアウォール」というソフトが効果的だ。最近ではパーソナルファイアウォールだけの機能を搭載したソフトは少なく、アンチウイルスやスパイウェア対策ソフトがこの機能を備えているケースが大半だ。購入しようと思っているソフトに、パーソナルファイアウォールが入っているかどうか、チェックしよう。


その4
インターネット詐欺で金銭被害が=フィッシング

 ネット通販サイトを利用する人が増えているのに比例して、被害件数が急激に増加しているのが「フィッシング」だ。これはインターネット上の詐欺のことで、被害が多発していることからテレビのニュースなどで取り上げられる機会が多い。耳にした人も多いだろう。

 フィッシングは、外部から侵入してくる脅威ではない。詐欺サイトにユーザーを誘導して機密情報を盗み取る。例えば銀行やクレジットカード会社、ネット通販会社になりすまし、「ユーザーの登録確認です」という内容のメールを送信して、ユーザーを偽サイトに誘導する。個人情報やID・パスワードを入力させ、個人情報を盗み出すのが手口だ。偽サイトは、本物と見分けがつかないほど巧妙につくられており、初心者は気づきにくい。

 詐欺サイトを防御する専用ソフトは、「Internet SagiWall」(セキュアブレイン)。サイトにアクセスした際、そのサイトが信用できるサイトか、偽サイトかを、わかりやすくランプで知らせてくれる。また、後述する複数の機能を備える統合型セキュリティソフトも、詐欺サイトを見極める機能をもっている。


その5
PCを操作されて情報を取られた=人的被害

 オフィスなどの共同スペースで、知らぬ間に悪意ある第三者にPCを操作され、重要な内部情報を抜き出されてしまうのが、「人的被害」だ。いやな世の中だが、同僚や友達に情報を盗まれてしまうというのは、決して珍しい話ではない。こうした脅威には、重要なファイルやフォルダ、またはHDDそのものを暗号化し、盗まれても閲覧できないようにすることが対策となる。

 代表的な暗号化ソフトには、「ファイナル暗号化4.0(USBメモリ付き)」(AOSテクノロジーズ)や「B's File Guard」(BHA)、「ドライブセキュリティPRO」(ロックインターナショナル)がある。また、それ以前に、パソコンを操作できないようにログインにパスワードを設定しておくのも効果的な手段。パスワードを効果的に管理するツールとしては、「驚速ログイン」(ソースネクスト)や「おやじの活用術 男のID記憶術 IDメモリー」(メディアカイト)がある。


その6
とにかく全部防ぎたい人は統合型セキュリティソフト

 「難しいことはわからないから、とにかくすべての不正からPCを守りたい」という人が多いだろう。そんな人にオススメなのが、あらゆる不正プログラム・アクセスからPCを守ってくれる統合型セキュリティソフトと呼ばれるツール。これまで解説してきた5つの不正への対策が打てる。

 例えば「ノートン360」(シマンテック)は、ウィルスとスパイウエア、不正アクセス、フィッシング詐欺からPCを守る。さらに、万一PCに障害が出たときに、元の状態に戻すためのバックアップ機能も備え、事後対策も万全。設定の自動化にこだわり、ユーザーの負担を軽減している。

 同様の統合型セキュリティツールとして、「ウイルスバスター2007 トレンド フレックス セキュリティ」(トレンドマイクロ)、「トータルプロテクション」(マカフィー)、「CAインターネットセキュリティS2007」(日本CA)などがある。単一機能のものよりも多少価格は高めだが、さまざまな不正からPCを守れるので、安心感は高い。迷った場合は、「統合型」を選ぶのも賢い選択肢だ。