ケータイ不要の「もうひとつのワンセグ」大人気、1万円前後の安さがウケて

特集

2007/01/16 23:55

 パソコンに接続するだけで「ワンセグ放送」が見られるワンセグチューナーが売れている。当初はバッファローの「ちょいテレ」の独壇場だったが、人気ぶりに目をつけた多くのメーカーが参入。現在はUSB接続タイプを中心に、10数種類の製品が店頭に並ぶ。市場規模は、第1弾製品の発売からわずか2か月ほどで10倍以上に拡大し、ワンセグ対応携帯電話に匹敵するほど。「BCNランキング」から、その人気沸騰ぶりを見てみよう。

 パソコンに接続するだけで「ワンセグ放送」が見られるワンセグチューナーが売れている。当初はバッファローの「ちょいテレ」の独壇場だったが、人気ぶりに目をつけた多くのメーカーが参入。現在はUSB接続タイプを中心に、10数種類の製品が店頭に並ぶ。市場規模は、第1弾製品の発売からわずか2か月ほどで10倍以上に拡大し、ワンセグ対応携帯電話に匹敵するほど。「BCNランキング」から、その人気沸騰ぶりを見てみよう。

●突如現れたワンセグチューナー メーカーの予想を超える人気

 「BCNランキング」では、TVキャプチャボードや外付けキャプチャボックスなどを「映像関連ボード」に分類しており、「ワンセグチューナー」も、このカテゴリで集計している。このカテゴリの中から今回は特に、USBやPCカードスロットでPCに接続する「ワンセグチューナー」に焦点をあてて動向を分析した。

 06年4月1日にスタートした携帯・移動端末向けの地上デジタル放送「ワンセグ」。注目度は高かったものの、開始当初の対応機器は携帯電話が中心で、それ以外の選択肢はほとんどなく、携帯電話向けのサービスという印象が強かった。

 しかし、9月にロジテックが、パソコンに挿すだけでワンセグが見られる業界初のUSBチューナー「LDT-1S100U」を発売。その翌週にバッファローが、同様の「ちょいテレ(DH-ONE/U2)」の発売を発表。この時点で携帯電話以外の機器で楽しめる「ワンセグ需要」に火がついた。

 ロジテックの「LDT-1S100U」は当初、録画機能を備えておらず、ワンセグを「見るだけ」のチューナーという位置づけだった。逆に後発の「ちょいテレ」は、録画機能を備えていたこともあり、人気が集中した。その後、ロジテックの「LDT-1S100U」もソフトウェアのアップデートで録画機能に対応したが、「ちょいテレ」に奪われたシェアを奪還するにはいたらなかった。

●火付け役「ちょいテレ」がシェア48.8%でトップに君臨

 「ちょいテレ」の成功を目の当たりにした周辺機器各社は、12月から年末にかけて続々と同様の製品を発売。「ワンセグチューナー」がにわかにブームになってきた。家電量販店のチラシで目玉商品として登場するばかりか、新聞や女性誌のプレゼントにまで使われるようになり、こうした効果も人気を増幅。最近になって、その存在を知った人も多いかもしれない。

 ただ、いくら大人気とはいえ、ワンセグチューナーを購入する際は、自分の使いたい場所が地上デジタル放送の受信可能エリアか、事前に必ず確認しておこう。さらにサービスエリア内でも、受信感度は使用環境やチャンネルによってバラツキがあり、最悪の場合、実用に耐えない可能性もある。また、ワンセグを受信するプレーヤーソフトによっては、デジタル放送の特徴である「データ放送」や「字幕表示」などに対応していないものもあるため、注意が必要だ。購入前にメーカーのサイトなどで機能をチェックしておきたい。


 それでは売れ筋を見ていこう。07年1月第1週(07年1月1日-1月7日)では「BCNランキング」に登場したワンセグチューナーは計12製品にのぼる。1位は、依然としてバッファローの「ちょいテレ」だ。シェアは48.8%と飛びぬけて高い。バッファローでは、06年12月までに当初の計画の約2倍近い12万台を出荷したという。予想を超える人気に供給が追いつかず、今も「すべての注文をさばききれない状態」(同社広報)が続いているが、年末年始あたりから在庫のある店も増えはじめ、品薄状態は徐々に解消しつつあるようだ。

 2位には、シェア21.1%でサンワサプライの「VGA-TV1S」がランクインした。通常のショートアンテナに加え、ビルの中など電波が届きにくいところでも受信しやすい高感度ロングアンテナも備える。それでも受信できない場合のために、屋外アンテナのケーブルと接続できる「F型変換アダプタ」も付属。さまざまな環境で確実に受信できるよう設計されている。発売は12月中旬で、12月最終週では3位だったが2位にランクアップした。

 一方、3位のI・Oデータ機器「SEG CLIP(GV-1SG/USB)」はシェア13.9%で、前週2位から1ランクダウンした。12月末に発売されたばかりで、製品が店頭に十分行き渡っていなかったことも響いたようだ。

●発売当初の10倍以上に売り上げが拡大 ワンセグケータイに匹敵する規模に

 ここで売れ行きの「勢い」を見てみよう。業界初のワンセグチューナー、ロジテックの「LDT-1S100U」が「BCNランキング」に初めて登場した9月第3週(06年9月11日-9月17日)の販売台数を1として、ワンセグチューナー全体の伸びを数値で算出してみた。


 最初のピークは、「ちょいテレ」の販売が始まった10月半ばから後半にかけて。販売台数は当初の4-5倍まで拡大した。品薄状態に陥ったためか、11月にいったん落ち込んだが、その後はずっと右肩上がりで推移し、10倍以上の水準に。1月第1週に至っては祝日効果もあり、約22倍に達した。

 急拡大したワンセグチューナーの市場規模は、台数ベースではワンセグ受信機能付き携帯電話に匹敵。さらに12月中旬から直近3週間では、ワンセグチューナーの販売台数がワンセグ携帯を上回った。12月に入ってワンセグチューナーの売れ行きがさらに加速している。


 ちなみに、07年1月第1週の「BCNランキング」の全データから、携帯電話やノートPCなどワンセグに対応する製品のみ抽出し、ワンセグ対応機器全体で集計すると、機種別1位はダントツで「ちょいテレ」。シェアは25.2%で約4分の1を占めた。人気の「AQUOSケータイ」第2世代モデル「911SH」が2位につけているものの「ちょいテレ」が、ほぼ倍のシェアを占めている状況。3位は再びサンワサプライのUSBワンセグチューナー「VGA-TV1S」で、ワンセグチューナーはワンセグ携帯を凌駕する勢いだ。

●作業をしながらの「ながら視聴」の潜在的なニーズにジャストフィット

 ワンセグチューナーと、携帯電話をはじめとする他のワンセグ対応機器との決定的な違いは価格。OSなど最低限の動作条件を満たしていれば、新しいハードウェアを購入することなく、手持ちのパソコンを活用できるうえ、チューナー自体も実売1万円前後で、比較的気軽に買えるのもヒットにつながった。

 一方、デジタル放送対応とはいえ、「ワンセグ対応ノートPC」や「地上デジタルチューナー内蔵ノートPC」の動きは鈍い。ワンセグを含む、地上デジタル放送が受信できるチューナーを搭載したノートPCの割合は、9月以降、ノートPC全体の3%後半から4%の間で上下し、大きな変化はない。また、新OS「Windows Vista」搭載のPC春モデルでワンセグ対応機種が増えるが、これがどれだけ差別化につながるかは不透明だ。

 もともとワンセグは、携帯電話のような小さな画面で見ることを想定したサービス。ノートPCの小さな画面でもフルスクリーン表示すれば画像の荒さが目立つ。画質にこだわってきれいな画面を楽しみたいならワンセグではなく、通常の地上デジタル放送が受信できる機器を選んだほうがいい。

 ただし実際、PCで見るテレビの利用シーンとして多いのは、パソコンで別の作業をしながら見る、「ながら視聴」。それほど画面の美しさが要求される場面ではない。ワンセグ対応の携帯電話も、テレビの利用シーンとして多いのは、外出先ではなく、寝る前の空き時間などで、セカンドテレビ、サードテレビとしての利用が多いといわれている。ちょっとした暇つぶしや情報収集の用途が多いとみていいだろう。

 一部のメーカーから、ワンセグ対応の携帯オーディオや電子辞書などが発売され、もはや小さくて画面がある機器なら何でも「ワンセグ対応」になりそうな勢いだ。こうした環境の中でも、PCに外付けするワンセグチューナーはもっとも安価にデジタル放送を試すことができるツール。デジタル放送の超入門ツールとして、さらに、手持ちのPCを最も簡単にデジタルテレビに変身させる小道具として、ワンセグチューナーは一度試す価値がありそうだ。(WebBCNランキング編集部・嵯峨野芙美)

*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。

**本記事中の「ワンセグチューナー」の該当製品は、各社のプレスリリースをもとに編集部が独自に調べたものです(07年1月15日現在)。