年末の人気商材となっている「はがき作成ソフト」だが、2004年年末は売れ行きの伸び悩み傾向が顕著になった。今や、「はがき作成ソフト」は、パソコンソフトの中でも大きなウエイトを占めるアイテム。BCNランキングでも、02年はソフト全体の販売本数のなかで3位となる11.5%、03年は2位となる9.3%を占めていた。

 年末の人気商材となっている「はがき作成ソフト」だが、2004年年末は売れ行きの伸び悩み傾向が顕著になった。今や、「はがき作成ソフト」は、パソコンソフトの中でも大きなウエイトを占めるアイテム。BCNランキングでも、02年はソフト全体の販売本数のなかで3位となる11.5%、03年は2位となる9.3%を占めていた。

 また、はがき印刷を目的に、パソコン、プリンタ、消耗品などを購入する人も多いことから、販売店にとっては年末の売り上げを左右するきわめて重要な商品。秋口を過ぎた頃から、はがきソフト売り場を拡充して年末商戦のムードを盛り上げてきた。(表)


 しかし、その年賀状の発行枚数自体が、2000年をピークに減少傾向にある。今年元旦に全国で配達された年賀郵便物は、対前年比5.6%減となる22億2600万通。国民一人あたりに振り分けると、04年の19通から1通減り、18通と減少してしまっている。

 毎年、インクジェット用年賀はがきの発行枚数は増加し、05年の年賀状は、新たにインクジェットプリンタで写真を印刷するための光沢年賀はがきが発売になるなど、パソコンとプリンタを使って年賀状を作成するのはもはや当たり前といっていい状況になりつつある。だが、年賀状を出さない人が増えてしまっては、いかに年賀はがきやソフト、パソコンの機能が拡充されてもどうしようもない。

 企業でも、年賀状を出すのをやめて、電子メールに切り換えるケースも目立っている。はがき作成ソフトを利用する最大の機会となる「年賀状」にとっては、厳しい状況が目立っている。

●手強い強敵となった素材集付き書籍

 さらに、はがき作成ソフトを脅かす存在となっているのが年賀状を作成するための素材集を収録したCD-ROMやDVD-ROMを添付した書籍だ。書籍を発行する出版社の数も増え、墨絵風のイラストを集めたものや、人気クリエイターがデザインした年賀状を集めたものなどデザインのバラエティが豊富になっている。

 03年あたりからソフトメーカー側でも、「素材集付き書籍の存在は、ソフトの売れ行きにも影響をおよぼす、見逃せないものとなってきた」と認めている。

 ソフトメーカー側も、通常のプログラム付きのパッケージに加え、素材だけを集めたパッケージを発売するなど、対抗策をとっているものの、書籍の素材集は安価なものは数百円で購入できる。販売チャネルも、書店、パソコン販売店、コンビニエンスストアとソフト以上に多彩で、その勢いは衰えそうにない。

 なかには、ソフトメーカーの旧バージョンや機能限定版付きの書籍も登場している。いまや、素材集付き書籍は、かつてのパソコンなどへのバンドル同様、新しい顧客を獲得する場として捉えなければならないところまで拡大しているようだ。

●ついに富士ソフトABCが3位に躍進

 メーカー間の競合も相変わらず激しい。依然、トップシェアを維持しているのは「筆まめ」を販売するクレオだ。2位に「筆王」のアイフォー、3位には「筆ぐるめ」の富士ソフトABC、さらにマイクロソフト、ソースネクストと続く。(図)


 クレオのトップシェアは、BCNランキングスタート以来変わらずに続いているが、対前年比で見ると前年割れとなっている。ユーザーの母数が大きいメーカーだけに、ソフト市場の落ち込みが直撃しているようだ。

 2位のアイフォー、3位の富士ソフトABCは前年を超える売り上げとなった。とくに富士ソフトABCはここ数年着実にランキングを上昇し、ソースネクスト、マイクロソフトを抜いて、ついにシェア3位にまでのぼりつめた。

●ファミリー層は写真入り年賀状を積極的に作成

 では、このまま「はがき作成ソフト」市場は、縮小していくのだろうか?

 実は、これまでにもはがき作成ソフト市場限界説がささやかれていたものの、その予想を覆して市場は拡大を続けてきた。

 「若いファミリー世代など、デジタルカメラを使って子供や家族の写真を撮影し、オリジナル年賀状を作成する人はむしろ年賀状を積極的に活用している」という指摘もあり、そういった人に向けた光沢付き年賀状が発売になったほどだ。

 こうした状況を考えると、「はがき作成ソフト」市場が急速に減少していくとは考えにくい。かつての右肩上がりの成長期から曲がり角を迎えていることは確かだが、ブロードバンド時代に対応した新しい商品開発が進めば、当分は年末のパソコンショップの風物詩として、人気を呼ぶ存在となるのではないだろうか。(フリージャーナリスト・三浦優子)