2026.9.26 19:00

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「体が動かなくても働ける」を実現! 障がい者が遠隔操作する「分身ロボットカフェ」の可能性

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 オリィ研究所が運営している「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」(東京都中央区)では、難病や障がいなどで外出が困難な人たちが、パイロットとしてロボットを遠隔操作して接客を行っている。ロボットを活用することで「今まで働くことが難しかった人」が働けるようになり、さらに人が操作することで心のこもったサービスを提供できるので、まさに“いいとこどり”だ。同社広報の濱口敬子さんにお話をうかがった。

「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」のレポートはこちら
https://www.bcnretail.com/market/detail/20260921_660467.html
席にドリンクを運ぶ「OriHime-D」 

3種類のロボットが接客

 同店では3種類のロボットが接客を行っている。自走できる身長120cmの「OriHime-D(オリヒメディ)」は、受付やドリンクを運ぶホール業務を行い、各テーブル上に設置されている身長23cmの「OriHime(オリヒメ)」は、接客(話し相手)を担当している。さらに、細かい手作業が得意なテレバリスタ「OriHime×NEXTAGE(ネクステージ)」は、コーヒーを淹れることができるのだ(毎週月、水、土曜のみ)。
 
上手にコーヒーやお湯を注ぐテレバリスタ

 お客が来店したら、まずは受付の「OriHime-D」がお店のシステムを説明する。カウンターでメニューを注文し、席に着くと、各テーブルの上にいる「OriHime」が話しかけてくれ、ホール業務担当の「OriHime-D」がドリンクを持ってきてくれるという流れだ。
 
ドリンクを持っていく「OriHime-D」

 1ドリンク付きの入場チケットは、大人(12歳以上)は2200円、子どもは1100円で、3歳以下は無料。フードメニューもあり、サンドイッチやピザ、カレー、スイーツなどを提供している(※別料金)。

 ロボットを遠隔操作するパイロットの人たちは、全身の筋肉が徐々に動かなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)、SMA(脊髄性筋萎縮症)、筋ジストロフィーなど、体を思うように動かせない人が多いが、明るい声で生き生きと対応してくれるのが魅力だ。

外国人観光客が8割

 取材当日は、多くの外国人観光客で賑わっていた。客層は、8割が外国人だという。濱口さんは、「観光目的で訪れる方のほか、YouTubeを通じて移動困難者が働く背景を知り、共感して来店される方もいらっしゃいます」と説明した。
 
外国人観光客が多いという

 日本人の場合は、「パイロットとお話しすることを目的にされている方や、こういう働き方に興味のある地方自治体の人のほか、小学生が宿題の自由研究を目的に来たり、中学生が教科書に載っていたからと立ち寄ってくれたりします」とのことだ。

 お客からは好評で、「コンセプトに共感する」「うちの国にも作ってほしい」「パイロットの人と会えてよかった」といった声をいただくという。

操作は簡単。ボタン1つでジェスチャー

 店内には「OriHime」の操作体験ができるコーナーがあるので、実際にやってみた。ボタン1つで「うなずく」「手を振る」といったジェスチャーができるので、意外と簡単だ。これなら、体が不自由な人でも操作しやすいだろう。
 
OriHimeの操作体験コーナー。
右側のボタン1つでジェスチャーができる

 ただし、会話は人間の声で行う。海外のお客が多いので、英会話は必須だ。パイロットの多くは、働き始めてから英語を学び、会話ができるほどにレベルアップした。

 「はじめは『英語での接客は無理です』なんて言っていた人も、今では上達して、受付を担当しているんですよ」と濱口さん。

 その代わり、同社は海外イベントに出ることもあり、パイロットたちは英語が話せることで活躍の場が広がっているという。
 
カメラ・マイク・スピーカーを搭載し、
インターネットを通して操作ができる「OriHime」

 「私たちが海外に『OriHime』を持っていき、休憩時間はみんなに『今、デンマークの街中にいるからログインしていいよ』と言って、一緒に買い物をしたり、お散歩したりしています。だから、みんな、結構、海外に行っているんですよ(笑)」

 テクノロジーの力によって、移動が困難な人でも海外の街を旅するような体験を楽しんでいるのだ。

 同社のミッションは、「孤独の解消」。移動が困難な人たちが社会参加し、必要とされ、明日に希望を持てるようになるために、このカフェをオープンしたのだという。

働くことでいい変化が続々

 お店で働いているパイロットの方々にもお話をうかがってみた。

 二分脊椎症のあくさんは、自分の子どもに「明るく楽しい人生を歩んでいる後ろ姿を見せたい」と思い、働き始めたという。周りから「表情が明るくなった」と言われるようになったようだ。
 
パイロットのまやさん(公式サイトより)

 SMA(脊髄性筋萎縮症)のまやさんは、「自宅にいながら、外国の方やさまざまな人とお話しできることが楽しい。いろいろな方と楽しく会話をするためにも情報が必要なので、テレビを見ても、『これは覚えておこう』とか、アンテナが立つようになった」と嬉しそうに話してくれた。

 研修生のダリさんは男性だが、赤いリボンを付けた「OriHime」を操作しているので、「みんなにかわいいと言われているよ」と冗談を言った。そして、「仕事はシンプルに楽しい。疲労感があることで、仕事をしている実感を味わえている」と喜びを露わにした。
 
赤いリボンを付けた「OriHime」を操作するダリさん

 こんなふうに人々を幸せにするロボットこそが、「テクノロジーの美しい在り方」だと言えるだろう。(加藤弓子)

■店舗情報
分身ロボットカフェ DAWN ver.β
東京都中央区日本橋本町3丁目8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3(1F)
営業時間:11~19時
TEL : 03-3527-2136
https://dawn2021.orylab.com/
※完全予約制の「OriHimeダイナー利用(パイロットの卓上接客の体験。お食事、ドリンク付き)」や日本酒が楽しめる「OrySNACK」などのサービスもある
※2027年夏に横浜店がオープン予定
写真ギャラリー

加藤 弓子

Yumiko Kato

ライター・コラムニスト。明治大学文学部演劇学専攻卒業。フードビジネス会社や出版社で広報を経てライターに転身。夕刊フジ、アエラデジタル、All Aboutなどで執筆。

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