• ホーム
  • トレンド
  • 「イカの王様」を釣りたい! 移住7年目でアオリイカ釣りに初チャレンジしてみた!

「イカの王様」を釣りたい! 移住7年目でアオリイカ釣りに初チャレンジしてみた!

暮らし

2024/11/28 18:05

 【拝啓、徳島より39】秋から冬の徳島はおいしいものの宝庫です!マグロにブリに伊勢海老と、おいしいものがてんこ盛りの徳島ですが、筆者が愛してやまないのが、そう、アオリイカです!スルメやヤリイカよりも甘くて柔らかく、一度食べたら全員が恋に落ちるはずのアオリイカ。イカの中でも最高級食材とも言われますが、ここ徳島南部では「そこらへんで釣れちゃうもん」なんだそう。今回、移住7年目にして初めてのアオリイカ釣りにチャレンジしました。その結果はいかに?

初めてのアオリイカ釣りに挑戦!(筆者撮影)

イカの王様、アオリイカ!

 アオリイカはイカの中でも一番おいしいと言われている種類で、市場価格も高く、都会では高級食材として扱われます。

 例えば、豊洲市場の月別平均卸売価格で、アオリイカとスルメイカを比べてみると違いは歴然。2023年の卸売価格では、スルメイカは6月がもっとも安く1キロ1059円なのに対し、アオリイカは一番安い10月であっても1キロ1619円と、価格差は約1.5倍でした。

 また、卸値が一番高い月を比べると、スルメイカの1キロ1424円(23年12月)に対して、アオリイカは1キロ5272円(23年8月)と価格差は3.5倍以上。他のイカと比べるとアオリイカがいかに貴重品かがわかります。
 
白く輝くアオリイカ(筆者撮影)

刺身は絶品。焼いても干しても超おいしい。

 アオリイカの旬は秋と春。夏に生まれて秋に成長するので、秋は子イカ、春は親イカが多くなると言われています。胴の長さは最大で40~50cmほどになり、2kgを超える大物もいるんだとか。

 味の特徴はなんと言ってもその口当たりの良さ。刺身はねっとりとしていて柔らかく、噛めば噛むほどじんわりと甘さが広がります。釣り上げたばかりは歯応えがよく、1日寝かせるとまるで沖漬けにでもしたかのような柔らかさに。地元では好みに合わせて食べる日を変える人もいます。
 
アオリイカのお刺身(筆者撮影)

 徳島に移住してから、海産物を中心においしい食材にたくさん出会ってきましたが、アオリイカの刺身は絶品中の絶品。刺身以外にも、一夜干しにしたり、天ぷらにしたりしても、味のなめらかさを失わないから不思議です。

 火を通しても硬くなりにくいので、ゲソを炙ったり炒めたりしても最高。初めてお邪魔した漁師さんとの飲み会で食べたゲソのバターソテーは今でも忘れられない味です。

 水産庁のホームページには、「イカ好きの初恋はアオリイカになりがちです。」との記載もあるほど、まさに恋に落ちるくらいおいしいイカ界の王様がアオリイカなのです。
 
アオリイカの煮物。
火を通しても柔らかくおいしいのがアオリの特徴(筆者撮影)

アオリイカ釣りにチャレンジ

 高級食材のアオリイカですが、筆者が住む徳島の小さな港町では、秋から冬には普通にスーパーに売られています。小さいもので一杯1000円から、大きなものでは3000円や4000円を超えてくるものまで様々です。

 鮮魚売り場にイカが並び始めると、始まるのがアオリイカ釣り。近所の防波堤には夕方ごろから長い釣竿とバケツを持った釣り人が並びます。

 「アオリイカ釣りしてみたいな・・・」と思いつつ移住してから早6年。重い腰を上げた理由は、釣り好きのご近所さんの「めちゃくちゃ簡単に釣れるで」という言葉に背中を押されたから。実際にはめちゃくちゃ難しかったのですが、とてもいい経験になりました。
 
釣りスポットは家から5分(筆者撮影)

餌は生きたアジ

 ある平日の夕方16時。漁師さんに釣り方とポイントを聞いて、いざイカ釣りに出陣です。アオリイカは普段、水深数m~50mに生息していて、漁港や消波ブロック、海藻があるところなどが狙い目です。
 
イカ釣りは夕方から夜がベストタイム(筆者撮影)

 餌は生きたアジをまるごと一匹。エギング(イカ用の擬似餌)を使う人も多いと聞きますが、今回は一匹100円の釣り用のアジを購入して向かいました。
 
餌のアジ(筆者撮影)

 漁師さんに教えていただいた通り、アジが水中で泳ぎやすいように背中にハリを通します。ビチビチとはねるアジを竿につけるだけで苦戦しましたが、なんとか様になったような、ならないような感じのまま、海に向かって投入しました。

 今回お借りしたアオリイカ用の釣竿は3m以上あり、ほぼプロ用。釣り初心者の筆者にはまったく使いこなせなかったのですが、周りの釣り人にも教えてもらいながら30分程度格闘して、なんとか遠くの方に飛ばせるようになりました。
 
消波ブロックに立って遠くに飛ばすのも一苦労(筆者撮影)

 漁師さんからは「食いついたと思ってもしばらく待つことが大切」と聞いていたので、じっと待ちの姿勢を貫いていましたが、うんともすんともいいません。2時間ほどねばった結果、成果はゼロ。いわゆる“ぼうず”というやつですね。

 お隣さんは1時間に1~2匹のペースで釣り上げていたので、海の中にいるのは間違いないようでした。悔しいですが、ビギナーズラックは次回に持ち越しです。

 初心者にはなかなかに難しかったアオリイカ釣りですが、これはこれでいい経験!ということで、次は釣れるように修行したいと思います。
 
冬の夕方の空はピンク入りでとてもきれい(筆者撮影)

スーパーでリベンジ。アオリイカを捌く

 せっかく釣りをしたのにアオリイカが食べられないのは嫌なので、ずるいですがスーパーで買って捌くことに。これも港町ならでは。今は旬の時期ど真ん中なので、お値段もだいぶ下がっていました。
 
両手じゃ収まらないアオリイカが一杯1200円!(筆者撮影)

 まずは胴体とワタ(内臓)を引き離します。目と目の間から指を入れて胴体とつながっている部分を数センチ引き離すと、すんなり引き剥がすことができます。
 
胴体とゲソとワタの部分は簡単に剥がせますが、
墨袋に注意(筆者撮影)

 アオリイカはエンペラ(胴体の横のヒラヒラした部分)が大きいので、手と包丁を使って胴体から分離。その後、胴体とエンペラの皮を丁寧に剥いていきます。
 
開いた胴体(左)と分離したエンペラ(右)(筆者撮影)

 ワタをゲソの部分から切り離すと、手を使って目玉を取り出していきます。捌いた部位を並べると少しホラー感もありますね。
 
捨てるところがほぼないのがイカの良さ(筆者撮影)

 イカは廃棄する部分が少ないので、片付けもラクチン。最後にゲソを塩揉みしてきれいにすれば、10分程度で下ごしらえが完成です。胴体は細切りにしてお刺身に。ゲソは焼いて食べることにしました。
 

ご近所さんとのBBQでイカを食す

 ちょうどイカを捌き終えたところで、ご近所さんからBBQのお誘いが。庭が広いので家ですぐに外メシが楽しめるのが田舎暮らしの醍醐味というものです。せっかくなので、イカゲソはエノキとバターと一緒にアルミホイルで包んで炭火で蒸し焼きにすることにしました。
 
ゲソとエノキのホイルバター焼き(筆者撮影)

 お刺身はやわからくて甘くて安定のおいしさ。鮮度がよかったのか、思ったよりも歯ごたえがありました。アオリイカをお腹いっぱい食べられる日常に感謝しかありません。
 
アオリイカの刺身は安定のおいしさ(筆者撮影)

 ホイル焼きしたゲソバターは醤油を少したらしていただきます。こちらもとても柔らかく、刺身とはまた違った磯の風味が最高でした。

 焚き火を楽しみながら炭火BBQで旬の食材を焼いて食べる。シンプルですが、都会では絶対に味わえない贅沢な夜です。田舎暮らしも7年目に入りましたが、何回やってもお庭BBQは楽しい。波の音を遠くに聞きながら食べるアオリイカは最高においしかったです。

 アオリイカ釣りをした後の庭でBBQ。徳島の小さな港町だからできる贅沢な1日でした。(フリーライター・甲斐イアン)

■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
ギャラリーページ