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「ベビー用品・関連サービス市場」は前年比0.9%増の4.3兆円で堅調 矢野経済研究所調べ

暮らし

2023/02/16 18:00

 矢野経済研究所は2月14日、国内のベビー用品、ベビー関連サービスの各分野別の市場動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにするために実施した、ベビー用品・関連サービス市場の調査結果を発表した。同調査は2022年10~12月の期間に行われている。

2021年のベビー用品・関連サービス市場は4兆3513億円規模に

「値上げ」で1、2年はカテゴリにより市場縮小のペースが鈍化または増加

 調査結果によれば、2021年のベビー用品・関連サービスの市場規模は、前年比0.9%増の4兆3513億円と推計された。

 堅調な保育園市場に支えられプラス推移となった一方で、ベビー用品・育児用品、ベビーウェア・ベビーシューズ、食品、出版物・玩具の中には、新型コロナ禍での外出自粛などの影響による需要減から回復傾向にあるカテゴリもあるものの、出生数減少のペースが加速している中で厳しい状況にある。

 22年から、育児用ミルクやベビー用紙おむつ、チャイルドシートをはじめとするいくつかのカテゴリ・商品では、値上げの動きがみられることから、この1、2年はカテゴリによって市場縮小のペースが鈍化、または増加に転じることが見込まれる。

 育児用ミルク市場やベビーフード市場は、新型コロナ禍前の19年まで順調に成長してきたものの、20年は新型コロナ禍での在宅時間の増加により時短ニーズや外出需要の低下が影響し、減少に転じた。今後は、時短ニーズや外出需要の回復に伴い、再び拡大成長していくと予想される。

 ベビーウェア市場は、新型コロナ禍において20年は商業施設・店舗の休業や営業時間の短縮といった、店舗販売の機会減少の影響を受けて市場が縮小した。一方21年は、新型コロナ禍は継続したものの、行動制限や外出控えの緩和、小売店・商業施設の営業正常化などによって、わずかに持ち直している。

 ベビーシューズ市場も、20年は新型コロナ禍における外出自粛により、外履き需要が大幅に減少し、市場が大きく縮小。しかし、21年は外出控えが緩和され、外履き需要の回復と店舗販売の復調などにより増加に転じた。22年も回復基調が継続するとみられるものの、出生数減少の影響で大幅な伸長は見込みにくい。

 ベビーカー市場は、新型コロナ禍で大きなマイナス影響を受けたことにより大幅な市場縮小となったが、21年からは徐々に外出自粛傾向が緩和され、ベビーカーの利用機会が増加したことで需要は回復基調にある。

 ベビー用品・関連サービス市場の多くは、出生数減少の進行やそのペースの加速にともなう需要層の減少によって長期的な漸減トレンドにあり、日本国内の需要拡大には期待が持てない状況にあることから、ンバウンド需要や越境EC経由での外需の取り込みが、市場の維持や今後の成長に不可欠となっている。

保育施設の新規開設の頭打ちで保育園市場は縮小に

 一方、近年のベビー用品・関連サービス市場における拡大を牽引している保育園市場では、伸長率の鈍化がみられるものの保育施設の整備・拡充によって堅調な推移を維持する。

 しかしながら、保育施設の整備・拡充の進展と少子化進行の影響も相まって、多くの地域で保育園の定員充足率の低下、利用園児数の減少がみられるようになってきた。このような状況に加えて、保育施設の新規開設の頭打ちにより、今後の保育園市場は縮小に転じる可能性があり、ベビー用品・関連サービス市場もその影響によって縮小傾向へのシフトが予想される。
 
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