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5G人口カバー率99%やスマートシティ100地域を目指す「デジタル田園都市国家構想」とは?

 2022年12月23日に、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市の差を縮める「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023~27年度)」が閣議決定した。通称「デジ田」と呼ばれるこの5カ年の新たな総合戦略の政策概要から気になったポイントを紹介しよう。

ウェブサイト「デジタル田園都市国家構想」トップページ

「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指す

 デジタル田園都市国家構想総合戦略の概要は、内閣官房のウェブサイトで確認できる。特設サイト「デジタル田園都市国家構想」(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/)でも資料や動画が掲載されており、ビジュアルの多いこちらのほうが分かりやすそうだ。
 
デジタル関連の新たな主要KPI(「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023~27年度)」より)

 「デジ田」構想に基づき、デジタル技術を活用した「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指し、東京圏(首都圏)への過度な一極集中の是正や多極化を図り、地方に住み働きながら、都会に匹敵する情報やサービスを利用できるようにすることで、地方の社会課題を成長の原動力とし、地方から全国へとボトムアップの成長につなげていく。

 内容は多岐にわたり、「地方に仕事をつくる」「人の流れをつくる」「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「魅力的な地域をつくる」と、誰もが賛同する目標を掲げている。また、デジタル社会の前提条件・KPIとして、光ファイバーの世帯カバー率99.9%(27年度)、次世代通信規格「5G」の人口カバー率99%(30年度)、日本周回の海底ケーブル(デジタル田園都市スーパーハイウェイ、25年度)の完成を目指す。5Gについては23年度に95%、25年度に97%と段階的に拡大する計画で、主要キャリアのうち、20年3月に5Gサービスを開始したNTTドコモは、すでに高速・大容量の5G用周波数だけでかなり広域をカバーし、ソフトバンク・KDDI(au)は4G用周波数帯を使った転用5Gを中心にすでに幅広いエリアで5Gを展開している。最後発の楽天モバイルもサービスエリアマップを見る限り、都市部や主要エリアを中心に急激にエリア拡大を進めているようだ。
 
2022年12月18日時点のドコモの5Gサービスエリア

 このほか、「人の流れをつくる」として、自宅やシェアオフィスで業務を行うリモートワークを前提とした「転職なき移住」や関係人口を増やす「二地域居住」の推進など、「魅力的な地域をつくる」として、教育DX、医療・介護分野でのDX、物流・インフラDX、地域交通のリ・デザイン(MaaS活用、自動運転サービス導入)などを挙げた。
 
<官と民><交通事業者間><他分野>との「3つの共創」により、地域交通をリ・デザインする
(「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023~27年度)」より)

 さらに、持続可能なスマートシティ、コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくり、文化・スポーツによる地域づくり、デジタルによる地域コミュニティ機能の維持・強化といった、意欲的・挑戦的な取り組みが盛りだくさんだ。目標とするスマートシティの選定数は25年までに100地域、地域限定型の無人自動運転移動サービスは25年度をめどに50カ所・27年度までに100カ所以上。
 
人間中心のコンパクトでゆとりあるまちづくりや物流DXを推進する。
いわば、デジタル=ひと・まち・しごとだ

 20年春から続く、新型コロナ禍を受けて変わった社会情勢において打ち出された新しいキーワード「デジタル田園都市国家構想」。はたして本当に、デジタルの力によって、不便で活気を失いつつある地方と、便利で活力ある都市の差がなくなるのか。記者は、掛け声だけで地方から首都圏への人の流入は止まらないと予想するが、それぞれの場所で暮らす人にとって利便性が高まる「無人自動運転移動サービス」「ドローン利活用」など、主に5Gやスマートフォンを活用する個々の取り組みには注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
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