好調「音」の周辺機器、トップシェアをエレコムが奪取

 PCやゲーム機からの音声出力の重要性は年々増している。特にコロナ禍での巣ごもり期間では「よりノイズのないクリアな音を楽しみたい」「ゲームを快適に楽しみたい」などの需要が高まり、関連機器の売り上げが伸びた。BCNではPCやゲーム機に接続し音声を楽しむための周辺機器の実売データを「サウンド関連機器」として集計しているが、コロナ禍を通じて好調に推移している。



 サウンド関連機器は、一昨年12月から昨年12月までの間、4月から6月を除いて前年を大幅に上回る勢いで活況だ。前年を下回った3カ月についても、コロナ禍1年目の急激な売り上げ増の反動減に過ぎず、販売状況は好調を維持している。ただその中身は、この1年でやや変わってきている。一昨年、2020年12月の年末商戦では、販売台数が前年比で165.9%と伸長。販売金額も137.4%と伸びたが、台数の伸びが大幅に上回った。一方、昨年、21年の年末商戦の前年比では販売台数が112.7%、販売金額が150.4%と逆に販売金額の伸びが大きかった。平均単価(税抜き、以下同)もこの1年で6300円から8300円へと上昇。より高機能な製品へのニーズが高まっている。

 メーカー別の動きをみると1年で1位が入れ替わった。この12月現在で販売台数シェアのトップはエレコムで34.0%、2位がクリエイティブメディアで20.8%だった。一昨年の12月時点ではクリエイティブメディアが1位だったが、6月にエレコムが逆転。平均単価ではエレコムが1500円前後なのに対し、クリエイティブメディアが6000円前後とやや開きがある。3位はゼンハイザーのゲーミングデバイス部門を独立させたEPOSで13.7%だった。こちらもこの1年で4.7%から13.7%まで大幅にシェアを伸ばした。
 

 エレコムがトップシェアを獲得した要因は、ゲームをしながらスマートフォンで通話できるアイティア商品「デジタルミキサー HSAD-GM30MBK」が好調なのに加え、USB端子に接続し3.5mmミニプラグ経由でマイクやイヤホンを接続するアダプタを投入したこと。いずれの製品も1000円台と価格も手ごろで、売り上げを伸ばした。

 クリエイティブメディアの売れ筋は「Sound Blaster Play! 3」こちらもUSBからミニプラグに変換するアダプタだが、1000円台ながらハイレゾ再生や300Ωまでの高インピーダンスヘッドホンにも対応するのが特徴。より高機能で5000円台の「Sound Blaster G3」もPlay! 3に次いで売れている。EPOSの売れ筋は「GSX1000」。2万5000円前後と高価ながら、ゲーミングオーディオのコントロールに特化した機能が受けて売れている。売れ筋上位製品には1000円台と1万円を超える製品が混在しているが、徐々に高価格帯の製品の販売が伸び、平均単価を押し上げている。(BCN・道越一郎)