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売れるソニーのZVシリーズ、Vlogger向けカメラが市場をけん引できるか

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2021/10/04 18:00

 Vlogger向けカメラが売れている。動画で日常を記録しYouTubeなどで配信するVloggerのニーズにマッチしたカメラだ。ソニーが9月17日に発売したレンズ交換型デジカメ「VLOGCAM ZV-E10」は、同社のVlogger向けカメラ第2弾。9月、デジカメ全体の販売台数、金額シェアでいずれも1位を獲得した。今市場で一番ホットなカメラだ。ボディ単体で6万円台(税抜き、以下同)、レンズキットで7万円台と手ごろな価格ながら、動画と音声の収録機能に優れているとの評価もあり、人気を呼んでいる。

カメラ市場をけん引するソニーのVlogger向けカメラ。
ZV-1(上)とZV-E10。風防の「モフモフ」が印象的だ

 Vlogger向けカメラの第一弾は昨年6月にソニーが発売したレンズ一体型の「VLOGCAM ZV-1」。コンパクトカメラとしては久々に大ヒットを飛ばした。平均単価が3万円弱の市場で9万円台という高価な製品だったため、コンパクトの販売台数ランキングは最高で7位、昨年6月~この8月までの累計でも12位とそこそこの成績だった。しかし、販売金額のランキングに目を転じると、発売月から14カ月連続で1位。この8月、9月こそ新製品に食われランクを落としたものの、昨年6月~この8月までの累計では堂々の1位。レンズ交換型も含めたデジカメ市場全体でも1位のソニー α6400、2位のキヤノン EOS Kiss Mに続く3位につけた。
 

 ZV-E10もZV-1も、共通する特徴はピントの速さと音声収録精度の高さだ。いずれも動画の基本機能。特に、3つのマイクユニットを搭載することで高精度な音声収録を実現した点については評価が高い。これまでのデジカメは、画像・映像には気を遣うが、音声収録についてはおざなりになってしまっていた。それを根本的に見直した。専用の風防、いわゆるモフモフを標準搭載したスタイルも目を引いた。マイクシステムと風防の連携で、例えば屋外で自撮りする際にもクリアに声を録ることができる。ちなみに、パナソニックも昨年、ZV-E10と似たコンセプトと機能の「LUMIX G100」を発売した。しかし、昨年6月~この8月の累計金額ランキングで65位と振るわない。

 折からの縮小市場にコロナ禍が加わり試練のカメラ市場。そこへ颯爽と登場したのがZVシリーズだ。しかし、Vlogger向けというだけあり、重点機能はほとんどが動画向けのもの。写真も撮れるビデオカメラともえいる製品だ。デジカメ市場は、もう「写真撮影」だけでは市場を維持できなくなってしまったのかもしれない。(BCN・道越一郎)