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急速に回復するフルサイズミラーレス、王者ソニーに迫るキヤノン

 デジタル家電市場の中で、コロナ禍によって最も大きな打撃を被ったデジカメ市場。特に、販売金額で市場の7割弱を占めるレンズ交換型は4月、販売台数も金額も前年同月比で25%台と4分の1に減少、大きなマイナスに落ち込んだ。しかし、5月以降は徐々にコロナ前の水準に向けて回復しつつある。中でも、このところ力強く回復してきたのが、フルサイズミラーレス一眼だ。


 4月時点で、レンズ交換型全体よりもミラーレス一眼の落ち込みは大きく、販売台数前年比で19.7%と8割を超えるマイナスに達した。ところが、7月以降急回復。この9月は、販売台数で前年同月比97.8%、金額で90.3%と前年並みの水準に近づいてきた。昨年9月に起きた、増税前の駆け込み購入の反動で、レンズ交換型全体では、台数52.1%、金額56.3%と一時的にマイナス幅が拡大。こうした環境ながら、フルサイズミラーレスは大健闘している。

 Go To トラベルキャンペーンなど、カメラにとってプラスの環境が整ってきた上、フルサイズミラーレス一眼の新製品が相次いで発売されているのも好調の一因だ。キヤノンは、4月にEOS RP、7月にR5、8月にR6を発売。ニコンは、Z5を8月に、パナソニックがLUMIX S5を9月にそれぞれ発売した。10月以降も、ソニーがα7C、α7S III、ニコンがZ6II、Z7IIを発売。消費者の選択肢が一気に広がり、カメラ市場に久々の賑わいが戻りつつある。
 
キヤノンが8月に発売したフルサイズミラーレス一眼「EOS R6」。
今年発売モデルの中では9月までの時点で最も売れている

 メーカーシェアも変化してきた。2018年の夏までは、ほぼソニーの独壇場で100%近いシェアを維持していた。そこへ、18年の秋にニコン、キヤノンが相次いで参入。パナソニックが19年の2月に、シグマが10月に参入し、本格的にフルサイズミラーレス一眼市場が立ち上がった。しかし、ソニーが5割以上のシェアを維持する構造は変わらず、1強対その他という状況が続いていた。

 今年は、特にキヤノンが投入した新製品の販売が伸び、販売台数シェアで34.7%を獲得。43.9%まで落ちてきたソニーのすぐ背後に迫っている。ニコンは、主力製品がまだ発売されておらず、勢いは今のところ以前と変わらない。パナソニックは廉価モデルの投入で、5.8%と1桁シェアながらもようやく存在感が出てきた。一時ニコンを抜いたシグマは、ラインアップが1モデルだけということもあり、パナソニックに抜かれ2.6%に甘んじている。
 

 レンズ交換型に占めるフルサイズミラーレス一眼の販売構成比をみると、この9月販売台数が10.7%と初めて2桁に到達。販売金額は25.0%と4分の1の市場にまで拡大した。いずれも過去最大だ。ただし、18年の第1幕では6月から12月までの間、一定の勢いで市場が拡大していたが、そのあとが続かなかった。今回の第2幕でも、いまのところ拡大基調ではあるものの、勢いは物足りない。平均単価はレンズ交換型全体で10万円なのに対して、フルサイズミラーレス一眼が23万円とかなり高価だ。

 平均単価が20万円台前半、台数1割、金額3割弱というフルサイズミラーレス一眼市場。一本の柱として着実に成長してきた。しかし、縮小が続くカメラ市場をV字回復させるには、まだまだ荷が重い。問題はAPS-Cやマイクロフォーサーズといったフルサイズ未満のミラーレス一眼。手頃な大きさと価格で台数6割、金額5割と多数派の製品群をどうテコ入れしていくかが、レンズ交換型カメラ市場の今後を大きく左右することになるだろう。(BCN・道越一郎)

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