デジタルビデオカメラは9月に売れる。秋は行楽シーズン。運動会で、「わが子の勇姿を撮影したい」といった需要も高まるからだ。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大で売り上げが大きく落ち込んでいる。さらに、昨年9月は翌10月に控えた消費税増税前の駆け込み購入が起きた月。反動で「前年比」では落ち込むことが分かっていた。BCNランキングで集計したところ、9月は販売台数前年同月比が61.9%、販売金額が67.8%。大きなマイナスではあるものの、前年比で半減しているデジカメに比べれば健闘していることが分かった。


 新型コロナの感染拡大によって緊急事態宣言が発出された4月は、売り上げが大きく落ち込み、販売台数で42.2%、販売金額で37.3%と一時6割減に見舞われたデジタルビデオカメラ。徐々にマイナス幅を縮め、前年比で3割減の水準まで回復してきた。9月は、昨年の駆け込み購入の反動減で、マイナス幅が大きめに出ているものの回復基調が続いている。コンパクトデジカメやミラーレス一眼で動画を撮影する動きが盛んだが、ビデオカメラへのニーズはまだ底堅い。
 

 従来型の「横型」のビデオカメラに加え、小型で振動に強く、スポーツをしながらの撮影にも耐える「アクションカメラ」の人気が、市場を下支えしている。横型の売り上げが伸び悩む冬や夏に存在感を示すアクションカメラは、ビデオカメラの大きなカテゴリに成長した。販売台数構成比は、秋の需要期で横型が7割前後を占める一方、1月や5月から7月あたりまでアクションカメラが4割水準まで伸びてくる。スマートフォンで代替しにくいこともあって、ビデオカメラ市場でのアクションカメラの存在感は大きい。
 

 現在、主要メーカーは5社。9割以上のシェアを占める。9月の需要期にトップに立ったのはソニーだ。38.4%のシェアを占めた。同社が開発した「空間光学手ブレ補正」機能を備えた「HDR-CX680」の売り上げが群を抜いている。シェア27.6%で2位につけたのはパナソニック。90倍と高ズーム倍率ながら軽量な「HC-V480MS」が寄与した。そして、アクションカメラのGoProが17.5%で3位だった。9月はさすがにシェアを落としたが、過去12カ月で7回と最多のトップシェアを獲得したのはGoPro。2020年上半期(1~6月)でも販売台数シェア25.9%でトップを走っている。
 
GoProの新製品「HERO9 Black」。
斬新な新機能とサービスは市場回復へのヒントが隠れている

 GoProが9月に発売した「HERO9 Black」は、強力な手ブレ補正が評判だ。特に、水平維持機能が斬新。本体を40度程度傾けても映像では水平を維持するもので、激しく動きながらでも、これまでにない安定感のある映像が撮影できる。年間6000円の「GoPro サブスクリプション」という新しいサービスも開始。本体やアクセサリが割引で購入できるほか、無制限のクラウドストレージやカメラ故障時の無償交換など盛りだくさんの内容だ。縮小が続くビデオカメラやカメラ市場にとっては、こうした本体の大きな進化やサービスの工夫が回復への大きなヒントになるだろう。(BCN・道越一郎)