カシオ計算機(カシオ)が8月20日に発表した楽器演奏に関する意識調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響で、新たに楽器を始めた人、再開した人が増えたという。外出自粛要請などの措置がとられた今年3~4月にかけて、新たに楽器を始めた人は、この1年で楽器を始めた人の中で40%を占めた。この中で、最も演奏頻度の高い楽器は「電子ピアノ」だった。

 家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、電子ピアノ(デジタルピアノ)の売れ筋の価格帯は税別9万円以下のエントリーモデル。通常のピアノと同じ鍵盤数88鍵以上の製品に限っても税別9万円以下、3万円以上6万円未満が売れ筋だ。なお、スタンドや椅子、ペダルなどが別売の場合、総費用は本体価格プラス2~3万円となる。
 

 本格的なピアノ演奏が楽しめる88鍵盤に限定し、カラーや付属品の違いを合算した電子ピアノ(88鍵盤)のシリーズ別ランキングで、2020年8月は、カシオの「Privia PX-770」「Privia PPX-S1000」が1位・2位に僅差で並び、Amazon.co.jpで本体・スタンド・椅子の3点セットが税込約4万円で販売されているAlesisの「RECITAL PRO」がシェア9.3%で3位に入った。
 

 2020年1月~8月の累計では、シェア31.2%でヤマハがトップに立ち、カシオ、コルグ、河合楽器、Rolandと続く。
 

 カシオの調査によると、楽器を始めた/再開した理由の1位は「自分1人で楽しめそうだから」、2位は「以前から演奏を始めたかった・興味があったから」、3位は「気分を変えたかったから」で、いずれも4割を超えている。BCNランキングで直近3年間の電子ピアノ(88鍵盤)の販売動向を振り返ると、確かに今年3月~6月は例年より売れ行きは好調で、特に4月は前年同月比127.5%、5月は138.2%、6月は147.7%と2桁増を記録。始めるにあたり、まず楽器を購入した人が多かったようだ。
 

一部のピアノコンクールが新型コロナ対応で「オンライン」開催に

 新たに楽器演奏を始めた人にはハードルはかなり高いが、今春から再開した経験者なら、コンクール参加でより練習に気合が入るだろう。

 主要ピアノコンクールは、新型コロナウイルス感染症の影響で中止・延期、オンライン開催と、対応が分かれているが、9月19日・20日には、業界初、予選から本選まで全てオンライン形式による全国規模のピアノコンクール「全日本ピアノeコンクール」も開催される(予選の演奏動画の投稿は受付終了、当日はライブ配信を行い、結果発表は10月5日の予定)。また、世界規模の有名な5年に1度の「ショパン国際ピアノコンクール」の開催は20年から21年へ1年延期となったが、「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」の地区大会・全国大会・アジア大会は初のオンライン開催で実施。演奏動画を投稿し、審査員が審査するオンラインコンクールのメリットとして、「日時や場所に問わず、納得できるまで撮り直しできる」「講評をもとに復習できる」「(リアル開催の)例年と比べ、参加しやすい参加料」などを挙げている。
 
「全日本ピアノeコンクール」の告知

 インドアでできる、電子ピアノなどの楽器演奏は、新型コロナウイルス感染症を受けた「新しい生活様式」にマッチする。従来より参加しやすい、オンラインコンクールの認知度が高まると、ますます楽器を始める人・再開する人が増えそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。