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帰省した5人に1人が「誹謗中傷」被害、「石を投げられた」も

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2020/08/28 19:30

 ゼネラルリサーチは、「帰省と新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷被害」に関する意識調査を、帰省先が関東圏外の人を対象に実施し、その結果を8月27日に発表した。


 「今年のお盆は帰省したか」と質問したところ、8割近くが「いいえ(75.7%)」と回答した。帰省しなかった理由としては、「周囲の目が気になるから(20代/女性/愛知県)」「お盆は混むので新幹線などが心配で別の月に考えている(30代/女性/東京都)」「感染者が多い地域から高齢者が多い地域に帰るのは危険と判断したから(40代/男性/福岡県)」「親にコロナを感染させたくなかったから(40代/男性/東京都)」などが挙がった。

 親や身内への感染リスクを懸念して、新型コロナウイルスを持ち込まないようにと注意を払って帰省しなかった人が多いようだ。また、周りの目を気にして帰省を諦めた人もいることから、新型コロナウイルスが終息してから帰省しようと考えている人も多いと思われる。

 「新型コロナウイルスにより、帰省をしなかったことで良かったと思うことは何か」と質問したところ、「出費が抑えられた(32.8%)」と回答した人が最も多く、次いで「時間を自由に使うことができた(24.2%)」「受けるかもしれない誹謗中傷を回避できた(16.7%)」「帰省ブルーを回避できた(8.2%)」と続いた。
 

 帰省先までの距離が長いと、新幹線や飛行機といった交通機関を利用する必要があるため1回の帰省で多くのお金がかかる。さらには、帰省することで誹謗中傷や嫌がらせを周りから受ける可能性を回避できたと考える人もいるようだ。新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷について、一部報道でも取り上げられていたことから、自分だけでなく身内にも被害が及ばないよう懸念していたのかもしれない。

 また、帰省がなくなったことで“帰省ブルー”を回避できたと思う人もいることが分かった。新型コロナウイルスを理由に今年の帰省ブルーを回避することで、金銭的にも心にも余裕をもてたという人がいるのではないかと思われる。

 「帰省の際に注意したことはあるか」と質問したところ、「帰省先での外出を控えた(44.8%)」と回答した人が最も多く、次いで「公共交通機関を使わず、車で帰省した(39.9%)」「帰省先で人と会うのを極力控えた(38.7%)」「帰省することを周りに言わなかった(34.7%)」「帰省する旨をSNSなどで投稿しなかった(23.4%)」「帰省期間を例年より短くした(21.8%)」と続いた。

 帰省した人も感染予防対策に十分に注意を払っていたことで、いつもより神経を使ったのではないか。予防意識をもちつつ、自分や家族に迷惑をかけないよう帰省することを周りに伝えることを避けた人もいるようだ。

 お盆に入るにあたり、各都道府県や自治体の中でもお盆による帰省について意見が割れた。帰省を控えることや、帰省しても大人数での同窓会などを控えるよう促す地域がある中で、帰省したことによって周りから誹謗中傷を受けるといった被害もあった。

 そこで、「帰省したことで、誹謗中傷の被害にあったか」と質問したところ、2割以上が「はい(20.6%)」と回答した。約5人に1人の人が、帰省時に誹謗中傷の被害にあっているようだ。
 

 具体的に、帰省時に受けた誹謗中傷の被害を聞くと、「このご時世に帰省すんなとか帰れとか悪口を言われた(20代/女性/鳥取県)」「石を投げられた(30代/男性/北海道)」「周囲の人から冷ややかな言葉があった(40代/男性/大阪府)」「面と向かって『早く帰って』と言われた(50代/男性/北海道)」「非難の落書きを郵便受けに投げ込まれた(60代/男性/大阪府)」といった声が挙がった。

 帰省したことに対して冷たい言葉を浴びるだけでなく、石を投げられたり、郵便受けに心ない言葉を書いた落書きを入れられたりと、場合によっては傷害などの事件になりかねない誹謗中傷を受けた人がいるということが分かった。

 「誹謗中傷を受け、どのように対策をしたか」と質問したところ、「家族や友人に相談(52.9%)」と回答した人が最も多く、次いで「警察に相談(27.5%)」「役所などにある新型コロナウイルスに関する窓口に相談(19.6%)」「何もしていない(15.7%)」「引越し(13.7%)」「学校または勤めている企業に相談(9.8%)」「友人宅に宿泊(9.8%)」と続いた。

 家族や友人に相談するだけでなく、警察や自治体などが開設している窓口に相談してみるのも一つの手かもしれない。さらには、誹謗中傷を受け“引越し”を余儀なくされた人もいることが分かった。近所に噂が回ってしまい、引越しせざるを得ない状況に追い込まれてしまった人もいると思われる。
 

 「知人や友人で、新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷を受けた人はいるか」と質問したところ、10.8%の人が「はい」と回答した。約10人に1人の割合で、知人や友人が新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷を受けているようだ。
 

 知人や友人が受けた誹謗中傷については、「同じ会社内で陽性者が出た際にSNS上や地域内で会社名を名指しして非難されることがあった(20代/女性/愛知県)」「コロナウイルスにかかった友人がSNSでざまぁみろとか自業自得など心ない言葉を言われていた(20代/女性/鳥取県)」「県外ナンバーであることで絡まれた(40代/男性/神奈川県)」「名前や職業や子どもの事が拡散された(50代/男性/鳥取県)」「濃厚接触者で自宅待機していたら家の回りに人が集まりSNSで拡散された(60代/女性/神奈川県)」などが挙がった。

 SNS上で心ない書き込みが書かれるだけでなく、個人情報なども拡散されてしまうといった被害にあっている人がいることが分かった。また、県外ナンバーというだけで、非難されてしまう人もいることから、新型コロナウイルスにまつわる誹謗中傷について深刻であることがうかがえる結果となった。