今年4月8日の緊急事態宣言を受け、テレワークを急きょ導入した企業のうち、宣言解除後、通常勤務形態に戻す企業と、在宅勤務やモバイルワークを原則とした新しい勤務形態に移行する企業とに対応が分かれた。とはいえ、完全フルリモートワークを実施する企業は少数派で、オフィスに出勤しないテレワークでの勤務日は、前月や前週を期限とした事前申請制となっているようだ。

 しかし、過去の調査では、在宅勤務のメリットとして、悪天候時や鉄道ダイヤの乱れ発生時に出社せずに済む点を挙げる人は多く、勤務日当日より前の事前申請必須の在宅勤務は、ワークライフバランスの「ライフ優先」にはつながらず、メリットが半減すると言わざるを得ない。台風・大雨なら週間天気予報からある程度予想できるが、時に復旧まで半日かかることもある、不慮の事故による鉄道の運転見合わせの発生は予測不可能だからだ。

 早ければ今年9月から順次開始予定の「Go To EATキャンペーン」の施策は、地域の登録飲食店で使える「プレミア付食事券」と「オンライン飲食予約」の二つ。食事券は宅配も対象となり、電話やインターネット、スマートフォン(スマホ)アプリで注文して配達してもらう飲食デリバリーサービス、事前に注文して受け取りにいくモバイルオーダーがますます注目を集めそうだ。
 
 
一部の飲食チェーンや「ス―パーアプリ化」を目指す決済サービスが取り組み始めたモバイルオーダー。
しかし、まだ一部のエリア・店舗にとどまっており、認知~利用状況を調査したところ、半数は「全く知らない」と回答した

 テレワーク勤務日の事前申請、飲食デリバリーサービス、モバイルオーダー、そして「不在による再配達の多さ」による配送業者の負担増を解消する方法の一つ、配達時間帯指定に共通するデメリットは、確実にいったん定めたスケジュール通りに行動しなければならないこと。アポイントの順守は当然のマナーとされているが、記者の経験上、1日に複数の時間指定の予定を入れた、時間刻みの行動はなかなか難しい。また、重要度の低いプライベートの予定だと、少し体調が悪いといった些細な理由で、キャンセル・延期したくなるため、可能なら事前予約は避けたいところだ。
 
厚生労働省が公表した「新しい生活様式」では、「買い物は計画を立ててすばやく」「飲食は持ち帰りやデリバリーも」「娯楽・スポーツは予約制を利用してゆったりと」など、「計画性」を重視する項目が挙げられている

 しかし、将来的には、レジや店内の混雑を避けるため、長時間滞在する有名飲食店やテイクアウト品の注文、店頭での相談・商談は、全て予約必須となるかもしれない。あらかじめ最大人数を設定しておけば「密集」は阻止できるからだ。

 すると、旅先や初めて訪問した街・エリアで通りがかった人気店の訪問は不可能になり、スケジュール通りの行動が苦手な社会人や幼い子どものいる家族は、外食や対面での買い物・打ち合わせは難しくなる。その結果、対面に比べ、時間の制約が少ないオンラインショッピング(お取り寄せグルメ)、オンライン相談やバーチャル内覧会に流れそうだ。

 春以降の新型コロナ禍を経て、感染拡大傾向が終息すれば全てが元通りに戻ると楽観視する層は少数派だろう。自分専用の1台以上のPC・スマホを所有し、インターネットと主要アプリを使いこなすスキルのある層に向けた商材は、過渡期を経て、全てデジタル・オンライン起点へと、がらりと変わる予感がする。(BCN・嵯峨野 芙美)