富士キメラ総研は、ヒアラブルデバイスとして注目度が高まっているワイヤレスイヤホン/ヘッドホンやHDDからの切り替えが進んでいるSSDなどのエレクトロニクス製品の市場を調査し、その結果を「2020 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」として5月27日に発表した。

主要エレクトロニクス製品の世界市場規模予測
(「2020 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」富士キメラ総研)

 今回の調査では、AV機器11品目、白物家電4品目、情報通信機器/インフラ12品目、OA機器/産業機器6品目、モビリティ/車載電装機器9品目、ユニット製品・部品9品目について市場の現状を調査し、将来を予想した。

 注目市場として、ワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの市場は、19年が2億1000万台、25年が5億7100万台(19年比2.7倍)と予測する。さまざまなユーザーに対して、性能や価格帯などの選択肢が広がり需要が増加していることで市場は大幅に拡大している。

 今後は、スマートフォンの付属品としてや、音楽を聴くだけではなく、ハンズフリー通話、生体情報のモニタリング、同時通訳などの機能が付加された耳に装着するヒアラブルデバイスとしての需要増加が期待される。

 ワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの需要は、特定の地域に関わらず増加している。日本では、「iPhone」ユーザーの比率が高いことから、「AirPods」の需要が増加している。中国では、性能面よりも価格面が重視されることが多く、低価格帯品の需要が増加している。

 北米や欧州では、音質などの性能面が重視されることが多く、他の地域と比較して高価格帯品の需要が高い。しかし、近年では、各社がさまざまな製品をラインアップしており選択肢が広がっているため、今後、低価格帯品も需要の増加が予想される。

 SSD(Solid State Drive)の市場は、19年が2億4070万台、25年が3億4810万台(19年比144.6%)と予測する。SSDは、HDD(Hard Disk Drive)の代わりにNANDフラッシュメモリを記憶媒体とした記憶装置。市場は、SSDの価格下落によってPCでHDDからの切り替えが急速に進行し、SSD搭載率が大幅に上昇していることや、サーバー・データセンター向けで需要が増加しているため拡大している。

 20年以降は、引き続きHDDからの切り替えが進むことやサーバー・データセンター向け、外付けSSDなどの需要増加が期待される。

 サーバーの市場は、19年が1540万台、25年が2172万台(19年比141.0%)と予測する。データトラフィックの増大に対応するため、データセンター向けを中心に市場は拡大している。中国では、基地局やデータセンターの新設が相次いでおり、クラウドベンダーとしても成長著しい企業が多いため、今後大幅に伸びると予想され、市場の拡大に寄与するとみられる。

 現状は、中国での生産が最も多いものの、米中貿易摩擦の影響で今後は中国から大手EMSメーカーの本社拠点地となる台湾や東南アジアなどへ徐々に生産シフトが進むとみられる。しかし、中国ではサーバー需要が高まっており、中国メーカーによる自国生産をはじめ、中国生産量も順調に増加していくと予想される。

 なお、サーバーの対象は、x86系、IA-64、RISCなどのオープンアーキテクチャを採用したオープン系サーバーと大規模システム向けにフルカスタマイズで生産されるホワイトボックスサーバーとなる。

 スマートフォンの市場は、19年が14億1100万台、25年が14億8000万台(19年比104.9%)と予測する。先進国でのスマートフォン市場は飽和を迎え、18年に続き19年も縮小した。20年は5G通信対応端末への買い替え需要で拡大に転じるとみられるが、その後は横ばいで推移していくと予想される。

 スマートフォンは、中国の生産比率が高くなっている。しかし、中国人労働者の賃金が上がっていることに加え、米中貿易摩擦の影響によって生産拠点がほかのアジア諸国に移り始めている。とくに、ベトナムやマレーシアでの生産量が増加している。

 エレクトロニクス製品市場全体については、これまでけん引してきたスマートフォンや自動車の需要が先進国を中心に飽和しており伸び悩んだことから停滞している。20年は、中国経済の停滞が予想されることから、自動車が厳しい状況になるとみられる。

 一方、スマートフォンは5G通信対応端末の市場投入が進むことによって買い替え需要が喚起され、5G対応の基地局新設が期待される。また、スマートグラスは5G通信と組み合わせることで、シームレスなARが体験可能となるためメーカーによる製品開発が進むとみられる。

 また、近年ではITベンダーがOSやサービスのプラットフォーム提供を目的にエレクトロニクス製品市場に参入している。主な製品例として、スマートスピーカーが挙げられる。

 ITベンダーは、製品供給を進めるとともに、プラットフォーム提供の取り組みを強化し、スマートホームの実現に向けて展開している。こうしたビジネスはGoogleやAmazonなどのITベンダーの取り組みが早かったが、中国ITベンダーも家電メーカーと提携を進めるなど、取り組みを強化している。