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スマホ決済がビジネスに好循環、ヴィレヴァンがメルペイを選んだ理由

 唯一無二の店舗づくりで根強いファンが多い「ヴィレッジヴァンガード(ヴィレヴァン)」が、2月28日にスマートフォン(スマホ)決済サービス「メルペイ」を全店で導入した。今後は、一部店舗で「メルカリ教室」を定期的に開催。共通点がみえづらい両社が、なぜがっつり手を組むことにしたのか。それぞれの担当者から話を聞いた。

サブカルの聖地として根強いファンが多い「ヴィレッジヴァンガード」。
メルカリと手を組む狙いは?(写真は渋谷本店)

メルペイならではの独自性 加盟店にもメリット

 両社の意図を説明する前に、まずは直近のメルペイの加盟店開拓戦略を確認しておきたい。数々のスマホ決済サービスが乱立する中、メルペイが独自性として打ち出しているのが、フリマアプリ「メルカリ」との親和性だ。

 メルカリは、日本で馴染みの薄かった消費者間取引を根付かせた。その影響は、周辺産業にまで及んでおり、郵便局やクリーニング店、修理店などが潤い、2018年7月時点の調査で最大752億円の経済効果を生んでいるというデータももある。

 これを受けて、コインランドリー「TOSEI」や修理店「ミスターミニット」などの店舗がメルペイの導入を決定。TOSEIは、一部店舗でメルカリ出品者のための撮影ブースを用意するなど、単なる決済手段としてだけでなく相互に好循環を促す仕掛けとして活用している。
 
コインランドリー「TOSEI」は一部店舗でメルカリ出品者のための撮影ブースを用意

 リペア業界ではなく小売業界からみたとき、メルペイのメリットになるのは、チャージしたお金とメルカリで売り上げたお金を同じように利用できるということだ。買って、売って、買って、というサイクルがアプリ内で完結する。「不要になったら売ればいいや」という心理が働き、購入のハードルが下がるので加盟店にも利点になる。

“無駄遣い”を促進 取り扱いアイテムの相性も◎

 前段が長くなったが、ヴィレヴァンがメルペイを導入した決め手も「購入ハードルが下がる」というメリットによるところが大きい。実は、同社はこれまでスマホ決済サービスを導入してこなかった。営業企画室の守屋真課長は、「ずっとどこと組むのがベストか精査していて、メルペイとなら良い相互作用が生み出せると結論した」と経緯を説明する。
 
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 営業企画室の守屋真課長

 店舗を訪問したことのある人なら分かると思うが、ヴィレヴァンには必需品が売っていない。趣味嗜好の高い商品、しかも万人受けしない尖った商品を多く扱っている。「語弊があるかもしれないが、当社は“無駄遣い”をしてもらうところ。日常の中の非日常を売っているといってもいい」(守屋課長)。

 販売している商品のカテゴリーにも親和性がある。メルカリでは、「おもちゃ・ホビー」の取引が増加しており、19年実績で17年と比べて約1.6倍に伸びている。衝動買いしたユニークな商品をメルカリで販売、そこで得た売上金でまた衝動買いする。こんな循環を作り出す環境がすでに出来上がっている。
 
メルカリでは「おもちゃ・ホビー」の取引が増加中。ヴィレヴァンの取り扱い商品とも相性がよい

「メルカリ教室」を4月以降に開講 リアルの場できっかけづくり

 まずは決済手段として対応することからスタートするが、4月以降、発送の手順や梱包テクニックなどをレクチャーする「メルカリ教室」を店舗や商業施設の催事スペースで開講する。これまでメルカリ社員を派遣して教室を開くことはあったが、メルカリから認定されたヴィレヴァン社員が講師を務める。店舗サイドが講師側に立つのは、今回が初めてだという。

 「若者にいまさら教室?」と疑問に思ったが、メルペイ アカウントマネジメントの井本陽子マネージャーによると「意外と若者の中でも“手間がかかりそう”とメルカリに腰が重い人は多い」そうだ。SNSで情報発信する若者にとって魅力的なリアルの場を用意することで、新規ユーザーを開拓する狙いもある。
 
メルペイ アカウントマネジメントの井本陽子マネージャー

 メルカリの利用ユーザー数は現時点で1538万人。一方、メルペイは急成長しているもののまだ600万人にとどまっている。井本マネージャーは、「全てのメルカリユーザーにメルペイを使ってもらえるようにしたい。伸びしろはまだまだある」と意気込む。
 
メルペイユーザーはまだメルカリユーザーの半分に満たない。伸びしろは十分にある

 冗談半分に両社担当者からは、「コラボレーションしたおしゃれな梱包材でも作りたいですね」という話題が出たが、けして不可能な話ではない。キャンペーン合戦の話題に終始しがちなスマホ決済だが、水面下では新しいビジネスにつながる可能性の模索が始まっている。(BCN・大蔵大輔)

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