迷走か英断か みずほ銀行の「ネット銀行化」への舵切り

 みずほ銀行は、無料の会員制サービス「みずほマイレージクラブ」の「うれしい特典」のサービス内容を大幅に改定し、2020年1月31日の取引条件判定に基づき、3月1日から適用する。

 変更点は多岐にわたり、一部だけピックアップすると、ファミリーマートなどに設置されているイーネットATMを除き、コンビニATM利用手数料無料の優遇措置は終了し、ATMでの振込手数料は例外なく有料となる。一方、取引条件に、日本初の「情報銀行」P認定を取得したAIスコアリングサービス「J.Score」やスマートフォン決済サービス「J-Coin Pay」など、新しいフィンテックサービスが加わり、PCやスマホをある程度使いこなせれば、3段階の優遇プログラムのうち下の2つ、「Bステージ」や「Aステージ」は、預金残高に関係なく達成できるようになる。
 
 
「うれしい特典」の主な変更点

キャッシュレス決済移行に待ったなし 1回110/220円の手数料負担は重い

 一方、最高ランクの「Sステージ」の条件は、住宅ローン利用、資産運用商品残高100万円以上などハードルは高く、かなり対象者を絞った印象だ。すでに変更初月の判定期間は過ぎており、資産運用商品を購入するなど、今すぐ対策を取っても適用はおおよそ1カ月後。ただ、今回、サービス変更の発表から実施までの周知期間はかなり長く、コンビニATMから頻繁に引き出す現金中心の生活スタイルに固執すると手数料が余分にかかり、割に合わないと利用者に考える時間を与えた、なかなか良心的な対応ではないだろうか。
 
みずほ銀行の2020年3月1日以降のコンビニATMのATM利用手数料(Aステージの場合)。
みずほ銀行・イオン銀行ATMは回数を問わず無料だが、コンビニATM無料の対象は、イーネットATM限定のみ
 
主要スマホ決済サービスと同様、多くの店舗で使えるJ-Coin Pay。
毎月利用するだけで、イーネットATMの無料利用回数が月2回に増える

 J-Coin Pay、みずほWalletなど、複数のキャッシュレス決済サービスを手掛けるみずほ銀行は、都市銀行でありながら、「インターネット銀行」を目指しているように感じる。今回のサービス内容変更を「改悪」だと切り捨て、メインバンクを他のインターネット専業銀行や地方銀行に切り替えるくらいなら、そのまま利用を継続し、インターネットバンキング、スマホ決済、クレジットカード決済を組み合わせた、キャッシュレス決済中心の生活スタイルに変える、またとない見直しのチャンスだ。(BCN・嵯峨野 芙美)