「ニトリの家電」ってどうなの?元家電量販店長が品定め

 【家電コンサルのリテールマーケティング 特別編】 家電量販店が家具や日用雑貨を扱うように、家具・インテリアのニトリでも自社PBの家電製品を販売している。モノづくりにも定評のあるニトリの家電はどうなのだろうか。シングル家電商戦真っ只中ということもあり、話題の「シンプル家電シリーズ」を考えてみたい。

9万円以内で新生活の8商品が揃うニトリの「シンプル家電シリーズ」

 家具・インテリアのニトリが1月9日に、32型でWチューナー内蔵のIPS液晶テレビを税別価格2万7182円で発売すると発表。全自動洗濯機や2ドア冷蔵庫、電子レンジ、炊飯ジャー、オーブントースター、電気ケトル、スティッククリーナーを含む新生活に必要な8商品が9万円以内でそろうとして話題になっている。

 筆者の結論からいえば、「一人暮らしに“食の楽しみ”が加わる調理家電はお薦め」だと考えている。その理由は次の通りだ。

 家電製品を購入する際に決め手になるのは主に、(1)機能、(2)デザイン、(3)アフターサービスの三つと、「価格との比較」にある。このときのベースとなる価格では、テレビや冷蔵庫、洗濯機といった大型家電などの配送・設置料も合わせて判断する必要があるだろう。

 ニトリの場合、自分で設置する場合は基本的に商品が宅配便で届くが、具体的な料金については店舗で確認してほしいとのことだった。ニトリの配送員が設置する場合は、冷蔵庫や洗濯機で価格に応じて4400~1100円の設置費用がかかる。
 


白物家電は1年保証

 また低価格商品の場合、消費者が気になるのがアフターサービスだろう。「安かろう悪かろう」では、結果的に高くつくと感じるユーザーが多い。

 ニトリの白物家電には長期保証はなく1年保証のため、最悪の場合、1年経過直後に故障した場合、購入金額分が無駄になる可能性がある。しかし、一般的に家電製品の故障は1年未満の発生が一番多いといわれているため、確率的には保証で対応してもらえるケースが多いことになる。

 そこで気になるのが、修理の期間だ。サポートセンターに冷蔵庫・洗濯機の場合で確認したところ、「目安として状態確認の訪問までに約1週間、修理が必要な場合はそこから約2週間の計約3週間が掛かる」との回答を得た。

 これは、通常の家電量販店より1週間程度長い期間になる(この回答は電話を受けた担当者個人の回答であり、あくまで目安だということを明記しておく)。

 このサポート内容に納得でき、かつ低価格に満足して購入するならお薦めできる。白物家電は1年保証だが、テレビは3年保証になっている。今や一人暮らしをする若い人にとっては、スマートフォンがあれば32型の小型テレビは必需品ではないかもしれないが、安さに納得するのならお薦めできる。

 また、1年保証であっても洗濯機は6kgのため、まとめ洗いで洗濯回数を減らせば機器への負荷も減らすことができるだろう。冷蔵庫のように複数アイテムのある商品は、一番安いボトムを選べば金銭的負担も低減される。

 8商品のシンプル家電シリーズ以外にもニトリの家電はあるが、筆者がお薦めしたいのは調理家電だ。ミニホットプレートや焼肉プレート、ワイドホットサンドメーカーなど家電メーカーにはない面白い商品もある。衝動買いできる価格だし、万が一、故障しても修理期間を我慢できる商品である。

 何より、シングルライフでは通常、味わえない「食の楽しみ」と「内食での節約」の利点が得られるのは魅力だろう。ニトリで家電を選ぶなら、トータルコストが抑えられる分、調理機器も追加で検討してみて、一人暮らしを謳歌してみてはいかがだろうか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。