1月7日~10日に米ラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催された。5Gの商用サービスが世界各地で本格的に立ち上がる2020年に、エレクトロニクスも次の世代にあるべき形へと変貌を遂げつつあった。

毎年変わるCESのトレンド 今年は何が一番注目された?

 EV(電気自動車)が普及してから、CESのようなエレクトロニクスの展示会にオートモーティブのメーカーが数多く出展するようになった。2020年のCESは筆者が得意とするオーディオ・ビジュアルに関連する展示が減った代わりにオートモーティブの話題が賑わっていた。
 
CES 2020が開催された米ラスベガス・コンベンションセンター。メイン会場の入口のほかにも至る所に
デモカーなどオートモーティブ関連の出展が埋め尽くす

 考えてみれば5Gの影響を最も強く受けるエレクトロニクスのデバイスはオートモーティブかもしれない。自動車そのものだけでなく、信号機などのインフラ、パーキングシェアなどの自動車に関連するサービスもすべてネットワークにつながり、クラウドAIにより管理されるようになると、いずれは街全体がスマート化する未来図が見えてくる。自動車メーカーであるトヨタが今年のCESで「Toyota Woven City」というコネクテッド・タウン構想を立ち上げたことに必然性はあると思う。
 
トヨタはCES 2020で発表したスマートシティ構想
「Toyota Woven City」(トヨタ・ウーブン・シティ)を発表

 ただ、あまり視線の倍率を“街全体”にまで広げてしまうと、個々のエレクトロニクスの技術がどの辺りまで来ているのかが見えづらくなる。本稿では目立った製品・技術の分野にズームインしながら5Gとエレクトロニクスの現状の関わりを読み解きたいと思う。

クアルコムのSoCから“スマホのようなクルマ”が生まれる

 5Gの時代には通信のキャパシティが強化され、大容量のデータが高速に遅延なく送受信できるようになると言われる。これ以外にも「多接続」、つまり家の中にあるさまざまな家電機器や、街の信号機や水道メーターまでもがネットワークにつながることも考えられる。

 クラウドに送られたデータを元にした生活に役立つサービスの誕生をいま私たちは心待ちにしているわけだが、その代表例のひとつが「自動運転」だ。5Gのネットワーク革新による多接続の恩恵を最も色濃く受けるエレクトロニクス機器は“クルマ”になるかもしれない。

 今年のCESで米国の大手半導体メーカーであるクアルコムは、スマホやタブレットなどモバイル端末向けのSoCとして名をはせる「Snapdragon」シリーズを、自動運転などADAS(先進運転支援システム)を搭載したコネクテッドカー向けのプラットフォームに仕立てた「Qualcomm Snapdragon Ride Platform」を自動運転向けのソリューションとして発表した。
 
クアルコムの自動運転向けのソリューション「Qualcomm Snapdragon Ride Platform」には、
レベル2+の安全運転支援からレベル4+の完全自動運転まで、スケーラブルに対応するSoCが提供される
 
Qualcomm Snapdragon Ride PlatformのSDK、リファレンスキットなど
開発のために必要なツールが自動車メーカーなどに提供される

 クアルコムのクリスチアーノ・アモン社長は、同社が車載器向けのテレマティクスに長い経験を蓄積してきた企業であり、新しいSnapdragonの名を継ぐプラットフォームが自動運転に限らず、モビリティが走るためのインフラまわりのコネクテッド化を実現するセルラーV2Xの無線技術や、ドライバーへの情報伝達や自動運転車の操縦を支援するデジタルコックピットの技術革新を支える柔軟性も備えていることをアピールした。Snapdragonを搭載する“スマホのようなクルマ”は2023年ごろに街を走ることになりそうだ。

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