大手旅行代理店のJTBは12月11日、「第三の創業」として新規事業の人材価値を創造する「JTB EVP(Employee Value Proposition)」を展開すると発表した。従業員に課題を分析・抽出して可視化することで気づきを与え、自律的な人材の育成を支援する新サービス「flappi(フラッピ)」を、2020年4月からJTBグループをはじめ数社に導入する計画だ。20年度中に10社以上、5年後に200社への導入と、flappi単体で売上高20億円を目指す。flappiの価格は4月に正式発表する予定だが、企業規模に応じて月額社員1人当たり数百円~数千円を想定する。

JTBの第三の創業について語る高橋広行社長

 JTBの高橋広行社長は、「旅行業モデルからソリューションモデルへの転換を図る。これまでは旅行のパッケージ販売が目的だったが、これからは企業の人材育成の課題解決を目的とし、旅行はその手段にすぎない」と語り、第三の創業に向けた意気込みについて語った。

 同社にとっては創業期のチケット代売モデル、第二の創業のパッケージ旅行販売に次ぐ大きなビジネスモデルの転換となる。同じ領域で事業展開する企業との差異化について高橋社長は、「課題の可視化からレコメンド、打ち手の提供までワンストップでできるのはJTBだけだ」と自信を示した。

 flappiは、「企業が従業員を選ぶ」関係性から「従業員が企業を選ぶ」関係性にパラダイムシフトをしている中で、人材と組織の自律創造性を高めるツールだという。
 
従業員が企業を選ぶ時代に

 具体的には、従業員の人事データや能力・資質データ、価値観、ライフスタイルなどのパーソナルデータに加えて、各種サービスの利用状況から行動データを収集してAIなどで分析する。

 結果から一人ひとりにあった多様な研修や体験など、自分では探し切れなかったり、気づかないような最適なサービスを推奨する。打ち手である実践としては、例えばボランティアといった社会貢献プログラムなどを通じて他者との交流や体験、共感などを得るようにする。

 AIによる解析でデータの精度を高めたり、周囲からのフィードバックを反映させたりすることで従業員の成長を促し、新しい気づきを与えるという一連の「flappiループ」を回していくという。
 
従業員の分析結果を可視化して推奨や実践、成長につなげる

 福利厚生や健康支援事業を展開するJTBベネフィットの中村一郎社長は、「一般的なHRツールは企業が従業員をマネジメントするものが多いが、flappiは従業員の自律的なアクションをサポートするツールだ」と語った。
 
flappiを発表するJTBベネフィットの
中村一郎社長

 組織や上司からの指示待ちタイプではなく、自発的な動機(will)を醸成することで自律創造型人材を育成するという。
 

 flappiの開発やサービス提供では、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)のコンサルティングで実績のあるシグマクシスと資本提携し、リーダー育成の実績と知見のあるグロービスと戦略的提携を結んでいる。