グローバルで米マイクロソフトのAIを活用したクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を導入する小売業が増えている。日本マイクロソフトは11月18日、米国本社からシェリー ブランステン コーポレートバイスプレジデントGlobal Retail&Consumer Goods担当を呼んで「流通と消費財」分野の最新アップデートを発表した。

米マイクロソフトのシェリー ブランステン コーポレートバイスプレジデント
Global Retail&Consumer Goods担当

小売を再創造する

 ブランステン バイスプレジデントは、「小売業では、オフェンスとディフェンスの両方を毎日対応しなければならない。ホテルや医療など、他業界との境もあいまいになっている」とし、「あまりに多くの小売がレガシーシステムに頼っていて、その中で使われていないデータを活用することが、マイクロソフトが導入企業に選ばれている理由だ」と語った。

 具体的に、小売のインテリジェント化を実現するための四つのシナリオとソリューションを紹介。まずは、顧客を理解するため、部門別に散在する顧客データを統合してAIで分析することで、顧客別の新しい小売の体験を提供する。

 例として、スーパーで買い物する顧客のカートのタブレット画面に、売り場を通過すると今日の料理レシピなどを表示する機能を挙げた。全ての来店客に同じメニューを表示するのではなく、AIによるパーソナルな分析で個人ごとに最適なメニューを表示するのが、これまでと異なるソリューションだ。

 ブランステン バイスプレジデントは、「以前のマーチャンダイジングでは、正しい商品を提供していれば売れた。しかし今は、まず顧客を360度のさまざまな角度から理解しなければならない」と表現する。
 
インテリジェントな小売を実現する四つのシナリオ
 
 次に、在庫管理やサプライチェーン、物流、倉庫など、バックオフィス機能のインテリジェント化だ。とりわけ、食材の調達から店頭に並ぶまでのトレーサビリティーや透明性を実現しないと顧客満足にはつながらないという。

 「5年前は、どこで採取された豆が自分のカップまで、どれぐらいの時間がかかっているのか気にしなかったが、今はそれぐらい透明性が求められている」と語る。さらに、従業員の生産性を向上させながら、小売そのものを再創造するというシナリオを描く。
 
 

 流通分野でMicrosoft Azureを導入する企業の代表としてウォルマートやKroger、ユニリーバ、スターバックス、coles、セブン-イレブン、Albertsons、Walgreens Boots Alliance、Loblaws、H&Mなどを紹介した。

 また、今後のリアル店舗に求められる価値については、糖尿病や心臓病を患う顧客に何かトラブルが起きたときに、遠くの病院に行くよりも近くの店舗で一次対応するようなモデルを見通す。モノを売る拠点から、サービスや金融、ホスピタリティーを提供する拠点になるとの見方を示した。

 ほかにも、消費財メーカーの導入事例として、イタリアの家具メーカーNatuzziで顧客の自宅をイメージできるMRのようなテクノロジーを使って成約率を上げたことによって経費を50%削減したケースや、ユニリーバの石鹸Doveで月1%の生産性を向上させただけで、年間約6兆円の利益向上につながったケースなどが紹介された。(BCN・細田 立圭志)