携帯電話普及期からの慣習を引きずり、日本では、スマートフォン(スマホ)本体が安く、その分、通信料金が高かった。しかし、そうした商習慣を強制的に変える改正電気通信事業法の施行(10月1日)を前に、9月後半の土日は、スマホ販売店に購入希望者が殺到。10月1日からの消費増税も重なり、最終日の平日9月30日もかなりの混雑したようだ。

増税と法改正が重なり駆け込みが発生。
店頭では「スマホは9月30日までの購入がトク」と強く煽っていた

 「通信料金と端末代の分離」「行き過ぎた囲い込みの是正」を目的に改正された電気通信事業法では、「通信契約の継続を条件とする端末代の値引きは原則禁止、経過措置として当面は上限は税抜2万円(例外事項あり)」「契約期間の上限は2年」「契約期間中の解除による違約金の上限は1000円」「契約期間の有無による料金の差は税抜月額170円」などが定められ、9月30日をもって、まだ継続していた、通信契約を伴う大幅な端末割引や、MNPを含む新規契約を優遇する各社のキャンペーンはそろって終了した。
 
「利益の提供(端末代の値引き)」「行き過ぎた期間拘束の是正」に関するガイドライン

 改正電気通信事業法の施行にあわせ、ソフトバンク、ワイモバイル、UQ mobile、楽天モバイルは、2年間の定期契約という仕組み自体を撤廃。長期間、同一キャリアに拘束する3年契約もなくなった。一方、ドコモは「dカードお支払割」という奇策を導入し、自社のクレジットカード「dカード」保有者限定で実質的に定期契約を無効化。auは、ストレートに170円の差額で定期契約あり/なしを選べるようにした。
 
ドコモの10月1日以降の料金体系。定期契約自体は残るものの、「dカードお支払割」適用で、
定期契約あり/なしの差額は0円になる(プラン変更の場合、適用は次回の更新月から)

 なお、ソフトバンクの端末購入補助プログラム「半額サポート+(プラス)」は、総務省の指摘を受け、「トクするサポート」に名称変更。同様の内容となるauの「アップグレードプログラムDX」も、11月に大幅見直しを実施する方針と報じられている。

9月最終日曜、9月29日の販売台数は9月としては直近3年間で最多

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、19年9月第1週(19年9月2日~8日)の販売台数を1とすると、第2週(9月9日~15日)が1.06、第3週(9月16日~22日)が1.89。第4週(9月23日~29日)に関しては、2.30で前週比121.9%と、週を追うごとに増加した。9月第3週と第4週は、平日より多く売れる土日・休日の日数が1日多かったとはいえ、第4週が前週と同じ土日・祝日数であり、直前で駆け込みのヒートアップした状況がうかがえる。
 

 また、直近3年間のスマホの日別販売台数を集計すると、9月最後の日曜日である9月29日が期間中5位、その1週間前の日曜日である9月22日が9位にランクイン。上位は3月の日曜ばかりであり、前日土曜のテレビ報道の影響か、取り置き分をまとめて手続きしたのか、9月後半の日曜は、年間で最も携帯電話が売れる春商戦に匹敵する水準だった。いいかえると、半年、商戦期を前倒ししてしまったようなもので、来春はここ1、2年より低調にとどまると予想される。
 
上位は2019年がずらりと並ぶ。1位は今年3月31日

 一部のMVNOも10月1日以降、料金プランや提供条件などを変更。ドコモがずっとドコモ特典」の進呈ポイント数を、10月1日以降の申し込み分から引き下げたように(ケータイプラン新規契約者で3rd/4th/プラチナステージのみ、ギガホ/ギガライトは変わらず)、改正電気通信事業法に基づき、長期継続利用者に対する還元を圧縮するケースもあるようだ。スマホの料金・契約に関する一連の見直しは、必ずしも全員に値下げをもたらす結果にはなっていない。

 また、依然として、各社の「光セット割引」の条件となる固定通信回線(光ファイバー・CATVなど)には、契約解除料と自動更新の定期契約が残り、いったんセットで利用すると、固定回線の契約解除料がネックとなって他のキャリアに乗り換えづらい。かたちをかえて今後も縛りは続く。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。