LINEとLINE Payは5月21日、スマートフォン(スマホ)決済サービスのLINE Payで5月20日11時からスタートした「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」が、開始からわずか1日の5月21日18時時点で90億円分が送付されたと発表した。900万人に1000円相当の「LINE Payボーナス」が送付された計算だ。22日早々に100億円相当に達する予定だという。ただ、LINEにとっては銀行口座などと紐づける「本人確認」の登録者数が増えないと、300億円のマーケティング費用が“空振り”に終わってしまう。

「祝!令和300億円祭」で1000円分のLINE Payボーナスが得られた画面

900万人の何割が「本人確認」済みか

 キャンペーンは、5月20日11時から29日23時59分までの10日間に、総額300億円相当分をLINEの友だちに送り、それを受け取った友だちが1回限り1000円相当の「LINE Pay ボーナス」がもらえるというもの。300億円に達した時点で終了することと、1回に送ることができる友だちが最大500人、1日に5000回まで送れることから「早い者勝ち」となっている。

 実際に受け取った1000円相当のボーナスを、LINE Pay加盟店などで使うためには、身分証と顔写真で登録できる「かんたん本人確認」か「銀行口座による本人確認」「郵送本人確認」の三つの方法から本人確認を行う必要がある。

 逆に、本人確認しなかった場合、1000円相当のLINE Payボーナスは失効となる。本人登録のタイムリミットは、6月30日23時59分に設定されている。

 このため、開始1日で900万人に90億円相当が送付されても、本人確認していないユーザーは「仮登録」状態というわけだ。残念ながら、900万人のうちの何割が本人確認済みなのかは非公表となっている。

3000万人の実稼働数がカギ

 公開情報から紐解くと、14年12月にスタートしたLINE Payは、それから2年4カ月後の17年5月に日本の登録ユーザー数が3000万人を突破した。17年3月末時点でLINEの月間利用者数(MAU)が6800万人であったことから、LINEでは「約半数が登録する決済基盤」としてアピールしている。
 
17年5月に3000万人を突破したLINE Payだが

 しかし、実情は少し違うようだ。仮に3000万人がLINE Payを日ごろから使っているのなら、今回の300億円相当のキャンペーンは瞬時に送付しあって完了するはず。19年12月期第1四半期の売上規模553億円のLINEが、300億円という膨大な費用をかけて、そんなムダ打ちをするはずがない。

 19年12月期第1四半期の決算資料によると、LINE PayのMAUはグローバルで430万人(前年同期比85.2%増)となっている。国内のMAUは非公表だが、最大の430万人で見積もっても、国内登録ユーザー3000万人(直近のユーザー数は非公表)の14%しか稼働してないことになる。
 
LINE Payの月間利用者数(MAU)はグローバルで430万人

 このことからも今回のキャンペーンの狙いが、LINE Payの登録者3000万人をいかに稼働させるかにあるといえよう。残り86%のユーザーがLINE Payを「登録しただけ」とならないよう、3000万人に1000円相当をばら撒いて本人確認を促す。LINEにとっては100億円から先が勝負となりそうだが、仮に300億円分の送付が完了しても手放しで喜べない。真の闘いは、本人確認の期限となる6月30日23時59分まで続きそうだ。(BCN・細田 立圭志)