「働き方改革」の実現に向けて、労働の効率化が求められている今、場所を問わずに同じ環境で作業できる仕組みづくりが急務となっている。そこで注目すべきファイルフォーマットがPDFだ。PDFでは、PC、スマホ、タブレットなど、デバイスやOSの垣根を越えて、同じレイアウトで文書を確認でき、必要な場合にはコメントを付け、承認などの作業ができるからだ。

 そんなPDFの基本的な知識と活用法をレクチャーするセミナー「ドキュメントワークハックセミナー-働き方をデザインしよう-」が、アドビの主催で開催された。
 
アドビがセミナー「ドキュメントワークハックセミナー-働き方をデザインしよう-」を開催

 講師はアドビの大倉壽子氏で、まずPDFのおさらいとして、「PDFとは、Officeファイルをはじめ、さまざまな形式の文書を、OSやデバイスの垣根を越えて同じ体裁で確認できるファイルフォーマットである」と説明。PDFには、テキストや画像だけでなく、音楽、動画、3Dモデルなど、多彩なメディアを格納可能できる。セキュリティ機能も搭載し、ファイルの暗号化をはじめ、電子署名やタイムスタンプ、アクセスコントロールなどにより、情報の漏えい防止および同一性の保持を実現する。
 
アドビの大倉壽子氏が講師となって説明
 
PDFのイメージイラスト。多彩なフォーマットのデータを格納できる

「Acrobat DC」を選ぶ理由の一つは高い信頼性

 PC向けにアドビが提供するPDF関連ソフトには、「Adobe Acrobat Reader(Acrobat Reader)」と「Adobe Acrobat DC(Acrobat DC)」がある。Acrobat Readerは、無償で利用できるソフトで、PDFファイルの閲覧のほか、コメントの挿入やラインマーカーなど、簡易的な校閲機能を備えている。

 一方、Acrobat DCはPDFの作成をはじめ、ページの入れ替えやテキストの上書きなどの編集機能を備える。最近ではクラウドベースのサービスが充実し、業務改善や生産性向上にも活用できる。そこで、まずはAcrobat DCの特徴について解説した。

 一つが互換性だ。Acrobat DCで作成したPDFファイルは、事実上のデファクトスタンダードとなっているAcrobat Readerでの閲覧を保証している。ウェブなどを通じて公開して不特定多数に配布することも多いPDFだけに、この利点には重きを置くべきだ。さらに、国際標準規格「ISO-32000-1」に完全準拠したPDF作成ソフトは、Acrobat DCのみ。文書の同一性や長期保存が重視される企業ユースにおいて、ISO-32000-1準拠の事実には価値がある。
 
「Acrobat DC」で作成したPDFファイルは「Acrobat Reader」での閲覧を保証

セキュリティ対策も施されたアドビのPDF

 続けて、大倉氏はPDFファイルを公開する時の注意点を解説した。主に2点ある。まずは、ファイルの作成者の氏名やメールアドレスといった個人情報を、メタデータに紛れ込ませないこと。また、編集機能を備えたソフトによるデータの改ざんを防止することだ。Acrobat DCを利用すれば、メタデータをはじめとする「非表示情報」の一括削除ができる上、アクセスコントロールや暗号化などのセキュリティを施して、安全にPDFを公開できる。

 また、データを受け取る側になった時も、Acrobat DCとAcrobat Readerを利用すれば安心。OSのシステムから分離した「サンドボックス」でファイルを実行するため、例えばPDFファイルがマルウェアに汚染されていたとしても、その悪影響から逃れることができる。

文書の管理と再利用を大幅に効率化する「Acrobat DC」

 大倉氏は、PDFを作成する際の便利機能についても言及した。職場では、紙の書類をスキャンして、PDFファイルとして電子保管することも多いだろう。Acrobat DCは、読み取り時に傾いていてしまった原稿を、データ上で自動角度補正。さらに、OCRによって文字をテキスト化し、キーワード検索が可能になる。文書管理が大幅に効率アップする。

 また、PDFファイルの再利用にもAcrobat DCは大きな力を発揮する。PDFファイルのテキストを、直接上書き可能。フォントを自動で分析し、同じ書体がない場合には、似たフォントを自動設定してくれるのも便利だ。さらに、Officeに組み込んだAcrobatアドインからPDFを作成した場合、PDFファイルからOfficeファイルへと高精度での変換が再可能。フォーマットを踏襲した文書の作成を省力化できる。
 
PDFファイルからOfficeファイルへと高精度に変換が可能

社内での文書回覧にも「Acrobat DC」

 業務の関係者間で文書を回覧する場合にも力を発揮する。「共有レビュー」機能では、クラウドストレージ「Document Cloud」にPDFファイルをアップロードし、オンラインで複数のメンバーが同時にレビュー可能。付箋やコメント機能を利用すれば、プリントアウトした文書をチェックしているのと同様の感覚で、内容のチェックできる。

 さらに、文書の承認プロセスも効率化。電子スタンプでの承認のほか、「Adobe Sign」を利用することで、手描きでのサインや陰影を登録した印鑑による承認フローを簡単に構築できる。

 いつでも同じ環境で作業できるだけでなく、文書の管理や再利用にも役立つAcrobat DCは、ビジネスパーソンの働き方改革の頼もしいパートナーとなるだろう。