積水ハウスは1月8日から11日まで、米国ラスベガスで開催された世界最大級のエレクトロニクスの見本市「CES 2019」に出展し、IoTテクノロジーを活かした新しいスマートホーム事業「プラットフォームハウス」を立ち上げることを発表。構想の内容を展示で見せた。

積水ハウスがCESに出展。「プラットフォームハウス」の構想を発表した

 積水ハウスにとってはこれが初めてスマートホームの領域にビジネスを拡大する機会になる。同社の新規事業企画部部長である吉田裕明氏はプラットフォームハウスの構想を「住まいに暮らす人々のデータを基にて健康・つながり・学びという無形の資産を生み出し、人を幸せにする家を提供するサービス」であると説く。
 
積水ハウスがCESに出展。「プラットフォームハウス」の構想を発表した

 サービスの本格導入は2020年春以降であると伝えられた。当初は吉田氏の説明にあった三つのテーマから“第1弾”として「健康」を軸にしたサービスをメインに揃える。その中身をさらに細かく分けると「急性疾患対応」「経時変化」「予防」に大別される。例えば、家で暮らしている際に発症する可能性の高い“脳卒中”“心筋梗塞”などの急性疾患からプラットフォームハウスに暮らす人々をIoTの力で見守るイメージだ。

 CESの会場には特設ステージを設けて、動画プレゼンテーションでサービスの概略を紹介していた。そのシナリオはこうだ。

 「プラットフォームハウスに暮らす働き盛りの男性が、いつもの起床時間に眼を覚ますと、急に頭をおさえながら床に倒れてしまう。そのまま倒れて動かない。室内に配置されたセンサーが住まい手の状態をセンシングして、倒状であると判断すると、登録されている専門家を要する緊急窓口に自動通知が送られる。窓口から本人に安否確認を連絡するが応答がない。緊急事態と判断して、窓口が本人に代わって救急へ緊急通報を入れる。以後適切な処置が取れたことで、急性疾患に対する適切な治療処置が取れて、予後の後遺症による負担も大幅に軽減された。」
 
ブースでプレゼンテーションを行いながらプラットフォームハウスのコンセプトを紹介

 プラットフォームハウスは住まい手がベッドで寝ている状態の心拍、体動など生体データ、ならびに通常生活時の習慣データを定期的にセンシングすることによって、例示されたような緊急駆けつけサービスを提供する。
 
生体データと習慣データをセンシング。住まい手の健康を見守る

 室内の温度・湿度・照度などの住環境データも常時取得することによってさらに精度の高いサービスを実現するとしているが、具体的な技術の詳細についてはまだCESの段階では語られなかった。ただ吉田氏は「住まいに暮らす方々がセンサーの存在を意識することなく暮らせる工夫」を凝らすことができるノウハウを持つことが、家づくりのスペシャリストである積水ハウスならではの強みであると話す。
 
センシングデバイスの存在を住まい手に悟られないように設置する

 積水ハウスではプラットフォームハウス構想の実現を単独ではなく、それぞれの専門分野に特化する先進企業と手を組みながら、オープンイノベーションとして発展させていくことを明らかにしている。

 第1弾の「健康」に関する取り組みについてはNEC、NTTコムウェア、慶應義塾大学理工学部、慶應義塾大学病院、コニカミノルタ、産業技術総合研究所、日立製作所という錚々たる顔ぶれがパートナーに名前を連ねている。

 慶應義塾大学理工学部の大槻知明教授は「人々の健康をサポートするための研究成果を、積水ハウスのプラットフォームハウスを通じて提供することによって社会に貢献したい」といった趣旨のコメントを、プロジェクトの発表に際して寄せている。積水ハウスの吉田氏は今後もプロジェクトの窓口を開いて、必要なアライアンスは積極的に実現していく考えを述べていた。

 先述の通りプラットフォームハウスの提供開始時期は20年春ごろを予定する。当初は新築物件にプラットフォームハウスを組み込んだ商品を用意する。初年度の販売目標には月間100棟を掲げているが、将来的には全棟への導入を目指す。
 
将来はホームセキュリティやエネルギーマネージメントにも発展していく計画だ

 CESの展示会場に積水ハウスがブースを構える機会は今年が初めてだったこともあり、会場には大勢の来場者が足を運んで同社の展示とプレゼンテーションに注目していた。記者が訪れた際にも同社のブースはとても賑わっており、吉田氏も出展の手応えに満足を感じている様子だった。

 プラットフォームハウス構想は積水ハウスが2020年に創業60周年を迎えることからスタートしたプロジェクトでもある。テクノロジーに偏らず、住まいに暮らす人々の「幸せ」をテーマに立ち上がったスマートホームのサービスが、今後どのように積水ハウスらしいものに仕上がっていくのか楽しみだ。(フリーライター・山本敦)