Apple Watchが初めて市場に登場したのは2015年4月。当時のスマートウォッチは高級モデルが中心で出荷台数は予想より伸び悩み、市場はこのままニッチで終わるのではないかという悲観的な意見も多かった。しかし、市場の最新動向をみると、3年半でユーザーは確実に拡大していることが分かる。

Apple Watchの初登場から3年半。ウェアラブルデバイス市場は着実に成長しつつある

ウェアラブルデバイスは出荷台数1億台の市場に成長

 12月3日にIDCが発表したレポートによると、18年第3四半期のウェアラブルデバイス出荷台数は世界全体で前年同期比21.7%増の3200万台と大幅に伸長。同レポートでは通年の合計出荷台数は、前年比6.2%の1億2300万台と予測している。

 世界全体に占めるシェアは少ないものの、日本市場の成長にも目を見張るものはある。18年第3四半期のウェアラブルデバイス出荷台数は前年同期比は40.1%増の21万台。成長率だけなら世界平均を上回っている。

 成長の様相は世界各地で画一的というわけではない。中国をはじめとしたアジア地域では、シンプルな情報通知やヘルスチェック機能を搭載した比較的安価なモデルが伸びている。メーカーではXiaomiが大躍進し、黎明期からシェアトップを走り続けてきたアップルを上回った。

 一方で、米国ではより高機能なモデルを販売するメーカーが選ばれる傾向にあるようだ。IDCのアナリストは「新規ユーザーの獲得から買い替えやアップグレードを行う二次需要層中心へと軸足を移してきた」と分析している。

来年はスマートウォッチ以外のカテゴリーにも注目

 腕時計型・リストバンド型がウェアラブルデバイス市場をけん引する状況はしばらく続きそうだが、19年は異なるスタイルのウェアラブルデバイスの成長にも期待できそうだ。

 最有力候補なのが、耳かけ型、つまり多機能を搭載するイヤホン・ヘッドホンだ。特にキーワードとなるのが“翻訳”。17年に登場したGoogleの翻訳機能を搭載したイヤホン「Pixel Buds」は市場では期待外れとの評価が多かったが、現在はクラウドファンディングなどでより洗練された翻訳イヤホンが登場してきている。使い勝手にすぐれる完全ワイヤレスイヤホンの市場が成熟してきたこともあり、来年の注目カテゴリーになりそうだ。
 
翻訳機能搭載のイヤホンが続々と登場中(写真はアスタイルの「TwoBow(ツーボー)」)

 ここ数年はトピックの少なかったゴーグル型についても、新たなアプローチのモデルが登場する兆しがある。かつてはレンズにさまざまな情報が表示されるディスプレイとしての機能がフォーカスされたが、いま注目されているのは“音”。耳にかかるつるの部分にスピーカーを搭載したり、骨伝導技術を用いたりすることで、情報にアクセスする手段の模索が進んでいる。
 
韓国のメガネメーカーが開発した「SEESUN BCON-10」など、ゴーグル型のウェアラブルデバイスも再び脚光を浴び始めている

 リング型もこれからの成長が楽しみなカテゴリーの一つだ。12月18日にはOrigami Labsが骨伝導技術と音声アシスタント機能を融合した「ORII(オリー)」という製品をリリース。このほかにも、さまざまなユニークな製品が発表されている。まだ通話やメッセージの通知確認といった限定的な機能が中心だが、ジェスチャーによる操作などの機能が拡張してくれば、実用的なデバイスとして市場に広く受け入れられるかもしれない。
 
12月18日に家電量販店やECサイトで販売を開始した「ORII(オリー)」。税別価格は2万3800円

 ビジョンだけは近未来的で、実際に使用すると落差にがっかりすることも多かったウェアラブルデバイスだが、ここにきて先進的でありながら、実用レベルにまで昇華した製品が増えてきている。現在は発表段階であったり、クラウドファンディングで資金を募っている段階のものも多いが、19年の市場は一段と盛り上がりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)